狭小地の売却

狭小地の査定額はなぜ会社で違う?見られる7つのポイントと査定書の読み方

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「3社に査定を頼んだら、金額が数百万円も違った」。狭小地の査定では、こうしたことが珍しくありません。どの金額を信じればいいのか、迷ってしまいますよね。

狭小地は、広い土地に比べて「その土地にどんな家が建つか」の影響が大きい土地です。そのぶん、会社ごとの見立ての違いが査定額に表れやすくなります。

この記事では、査定額が会社によって違ってくる理由と、狭小地の査定で見られる7つのポイント、受け取った査定書の読み方をお伝えします。

結論
狭小地の査定額が会社で違うのは、仲介の査定額と買取価格が混ざっている、比較できる取引事例が少ない、建てられる家の見立てが違う、という事情が重なるためです。
査定で見られるのは、面積・間口・接道・形・用途地域と建ぺい率・容積率・周辺の需要・境界の7つ。
金額の高さより、査定書に書かれた取引事例と根拠が具体的かどうかで会社を比べましょう。

査定とは?取引事例比較法と、仲介の査定額・買取価格の違い

査定とは、不動産会社が「この価格なら売れる見込みがある」と見積もる金額のことです。売れる価格を保証するものではありません。多くの会社は、査定額の根拠として「取引事例比較法」という方法を使います。

ことばの解説:取引事例比較法

近くで実際に売買された、似た条件の土地の価格を集め、面積・接道・築年数などの違いを補正しながら価格を組み立てる方法です。土地の査定でもっとも広く使われています。

ここで混同しやすいのが、仲介の査定額と、業者の買取価格です。仲介の査定額は「この価格で売り出せば、これくらいの期間で売れそうだ」という見込みの数字。買取価格は、不動産会社が自分のお金で買う、実際の取引価格です。買取価格は仲介の査定額より低くなりやすいことが知られています。仲介と買取、それぞれの価格の決まり方の違いは買取価格が仲介の査定額より低くなりやすい理由で詳しく説明しています。

3社の金額がばらついたときは、仲介の査定額と買取の概算価格が混ざっていないか、まず確認しましょう。

査定の種類 方法 分かること 向いている場面
机上査定(簡易査定) 登記情報や周辺の取引事例などから算出 おおよその価格帯 まず相場感をつかみたい
訪問査定 現地・役所で調査して算出 接道・境界・古家の状態を反映した価格 売却を具体的に検討している

狭小地は、現地の状況で評価が大きく変わる土地です。売却を具体的に考えているなら、訪問査定を選びましょう。

狭小地の査定で見られる7つのポイント

7つのうち、いちばん影響が大きいのは接道です。残りの6つは、突き詰めると「どのくらいの家が建つか」「売りやすいか」を確かめる項目です。

1. 面積

狭小地は面積が小さいぶん、坪単価(1坪=約3.3㎡あたりの価格)が広い土地より高く出ることがあります。ただし、比較できる同じくらいの面積の取引事例がそもそも少ないため、担当者によって選ぶ事例が変わりやすい点には注意が必要です。面積と価格の関係は坪単価だけで判断してはいけない相場の調べ方で詳しく説明しています。

2. 間口(道路に接している幅)

間口が広いほど、建物を設計しやすく、駐車スペースも確保しやすくなります。反対に間口が狭いと、評価は下がりがちです。工事車両が入りにくい、1階に玄関と駐車場を並べにくい、といった事情があるためです。

3. 接道(道路との関係)

建築基準法上の道路道路に2m以上接している建て替えできる接している幅が2m未満原則、建て替えできない1.5m
接道義務:建物を建てるには、敷地が建築基準法上の道路に2m以上接している必要があります(建築基準法の接道の規定)。

家を建てる土地は、建築基準法上の道路に2m以上接していなければなりません(接道義務)。満たしていなければ、原則として建物を建てられません。

前の道路が4m未満の狭い道(2項道路)なら、道路の中心から2m下がって建てる必要があります(セットバック)。後退した部分は建物を建てられる面積から除かれるため、査定額もそのぶん低くなります。仕組みはセットバックで敷地が狭くなる考え方で解説しています。

私道に面している場合は、通行や掘削(水道管の工事などで道路を掘ること)の承諾が得られるかも確認されます。詳しくは接道義務と、道路に2m接していない土地の売り方をご覧ください。

4. 形

道路家を置ける範囲使いにくい使いにくい
不整形地:面積が同じでも、四角い家を置ける範囲が狭いと、買い手の評価は下がります。

正方形や長方形に近い土地(整形地)は、評価が高くなります。三角形や旗竿地などの形のいびつな土地(不整形地)は、建物を建てられない部分が出るため、評価が下がる傾向があります。狭小地では、ほんの少しの欠けでも影響が大きく出ます。

5. 用途地域と建ぺい率・容積率

ことばの解説:用途地域

住宅向け・商業向けなど、その場所に建ててよい建物の種類や大きさを決める区分です。区の都市計画図で確認できます。

建ぺい率は敷地のうち建物で覆ってよい割合、容積率は床面積の合計の上限を決める割合です。狭小地では、容積率がそのまま「売れる家の広さ」に直結します。第一種・第二種低層住居専用地域では、建物の高さが10mか12mまでに制限され、3階建ての設計が難しくなることもあります。前面道路の幅が12m未満だと、道路の幅によって容積率が制限されることもあるため、指定された容積率を、そのまま使えるとは限りません。

6. 周辺の需要

近所で似た広さの土地や建売住宅が、いくらで、どのくらいの期間で売れているか。業者の査定では、ここが特に重視されます。建売業者は、新築の販売価格から逆算して土地の価格を決めるからです。個人向けに売る想定なら、駐車場や庭を求める層がどのくらいいるかも見られます。逆算の考え方は建売業者が新築の価格から土地の値段を決める仕組みで説明しています。

7. 境界

道路境界標が見つからないあなたの土地=境界標
境界標:土地の角にある杭やプレート。なくなっていると、隣の人の立会いのもとで境界を確定させる必要があります。

境界標が見当たらない、隣の屋根や塀が越境している。こうした状態だと、査定額に幅を持たせたり、確定測量が済んでから正式な金額を出す条件付きの査定になったりします。狭小地は境界の1本のずれが面積に与える影響も大きいため、他の土地より慎重に見られる傾向があります。



接道義務とは?道路に2m接していない土地の売却方法

査定額の差が大きくて、どの数字を信じればいいか迷ったときは、査定書の読み方を一緒に確認します。

査定額に差が出る4つの理由

差が生まれる背景には、主に4つの事情があります。特に大きいのは、建てられる家の見立てが会社ごとに違うことです。

1. 比較できる取引事例が少ない

狭小地は、同じくらいの面積・条件の取引事例がそもそも多くありません。事例が少ないほど担当者が選ぶ事例に差が出て、金額もばらつきやすくなります。

2. 「建てられる家」の見立てが違う

同じ土地でも、会社によって建つ家の見立てが分かれることがあります。役所でどこまで調べたかによっても変わります。

見立てが違うと査定額が変わる(例)

A社の見立て

  • 3階建てで延べ80㎡取れる
  • 新築の販売価格を高めに見込む
  • 査定額は高くなる

B社の見立て

  • 高さ制限で3階部分が小さくなる
  • 売れる床面積を少なめに見込む
  • 査定額は低くなる

3. 建売業者への出口を知っているか

建売業者に土地を仕入れてもらった経験が多い会社は、「この面積・この形なら、建売業者にいくらで売れるか」という相場観を持っています。建売業者への売却ルート(出口)を持っている会社ほど、実際に売れる価格に近い査定額を出しやすいと考えられます。反対に、そうした経路を普段扱っていない会社では、査定額が実際の売買から離れることもあります。

買い手はここを見る

買い取る会社の担当者が査定額を出すとき、頭にあるのは「この土地に建てた新築を、いくらで、どれくらいの期間で売れるか」という出口の見通しです。近くで建売住宅がよく動いているエリアなら数字を出しやすく、動きが少ないエリアでは慎重な金額になります。同じ土地でも会社によって数字が離れるのは、この出口の情報量に差があるからです。

4. 媒介契約を取るための高めの査定がある

ここに注意

売却の依頼(媒介契約)を取るために、売れる見込みより高い査定額を出す会社もあると指摘されています。高い金額で売り出して売れ残り、値下げを繰り返すことにならないよう気をつけましょう。



建売業者に土地を売るには?業者が買う土地・買わない土地の違い

査定書の読み方と、依頼前に準備するもの

査定額を受け取ったら、金額より先に査定書に書かれた根拠を確認しましょう。宅地建物取引業法では、不動産会社が価格について意見を述べるときは、その根拠を明らかにするよう定められています。準備は、法務局の書類と手元の納税通知書をそろえておくことです。

査定書で確認すること

査定書には、参考にした取引事例が載っていることが多いです。面積・時期・場所が、自分の土地に近いかどうかを見てください。事例が遠い場所だったり、面積が大きく違ったりする場合は、根拠として弱くなります。

担当者に聞きたい5つの質問

  • 参考にした取引事例(面積・時期・場所)はどれか
  • どんな買い手を想定しているか
  • 建てられる家の延べ床面積をどう見ているか
  • 売れるまでにどれくらいかかりそうか
  • 境界や越境、私道など、減額の要因をどう見ているか

根拠を具体的に説明できる会社ほど、実際の売却でも見立てが外れにくいと考えられます。自分でも相場を調べておくと、査定書に書かれた取引事例が妥当かどうかを比べやすくなります。方法は査定書の取引事例を自分でも確かめる方法で解説しています。

事前に用意しておくと良いもの

登記簿謄本(登記事項証明書)、公図、地積測量図は、法務局で取れます。固定資産税の納税通知書は、毎年届いているものを用意してください。古家があるなら、建築確認済証・検査済証や、建てたときの図面も探しておきましょう(なくても査定は受けられます)。境界標があるか、隣の屋根や塀がはみ出していないかも、メモしておくと役立ちます。

査定を比べた後、依頼する会社を1社に決めたら、媒介契約の種類も選ぶことになります。3種類の違いは専任媒介と一般媒介、狭小地ならどちらを選ぶかで比べています。一括査定サイトを使うか迷っている方は、一括査定サイトは狭小地に向いているかも参考にしてください。



一括査定サイトは狭小地に向いている?メリット・デメリットと使い方

自分の土地がいくらくらいで売れそうか、まずは複数の会社の査定額を並べてみると、相場の幅がつかめます。

よくある質問

Q. 査定は無料ですか?

不動産会社が売却の依頼を受けるために行う査定は、一般に無料です。不動産鑑定士による鑑定評価は有料で、相続や裁判など、公的な根拠が必要な場面で使われます。

Q. 査定額が一番高い会社に依頼すべきですか?

必ずしもそうではありません。査定額は、売れる価格の保証ではないからです。根拠の説明と販売の計画を比べて選びましょう。高すぎる価格で売り出すと、売れ残りの原因になります。

Q. 仲介の査定額と、業者の買取価格。どちらを比べればいいですか?

まずは同じ種類の数字どうしを比べてください。仲介の査定額どうし、買取価格どうしで比べないと、差の理由が分からなくなります。そのうえで、仲介と買取の両方を並べると、売り方を選ぶ材料になります。

Q. 古家があると査定額は下がりますか?

建物の価値がほとんどない古家なら、解体費の分を差し引いて評価されることがあります。まだ住める状態なら、中古住宅として評価される可能性もあります。

Q. 査定を頼んだら、必ずその会社に売却を依頼しなければいけませんか?

その義務はありません。査定額や説明を比べてから、媒介契約を結ぶ会社を選べます。

まとめ

  • 狭小地の査定は、面積・間口・接道・形・用途地域と建ぺい率・容積率・周辺の需要・境界の7つで決まる
  • 仲介の査定額と、業者が自分で買う買取価格は別物なので、比べるときは混同しない
  • 査定額の差は、比較できる取引事例の少なさ、建てられる家の見立ての違い、建売業者への出口の有無、媒介契約を取るための高め査定から生まれる
  • 査定書を受け取ったら、金額の高さより先に取引事例の中身と根拠を確認する

査定の後の売り方選びは、狭小地を売る3つの方法で比べています。

自分の土地にどんな家が建つのか、査定書の根拠が妥当かどうかを役所の情報と照らし合わせたい方は、お気軽にご相談ください。

この記事の監修者:十坪とつぼさん(宅地建物取引士)
東京23区で土地の仕入れ営業を担当する宅地建物取引士。狭小地・旗竿地・古家付き土地など、小さくて売りにくい土地を日々見ている。

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