敷地面積の最低限度とは?下回る土地の売り方と分筆の条件
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「自分の土地には、敷地面積の最低限度というルールがあるらしい。うちの広さは大丈夫なのだろうか」。相続した土地を売ろうとして、初めてこの言葉にぶつかった方は多いと思います。役所のホームページを見ても、専門用語ばかりで結局どうすればいいか分かりにくいものです。
この記事では、敷地面積の最低限度が何かをかみ砕いたうえで、自分の土地が下回っていたらどうなるのか、それでも売れるのか、2つに分けて売れるのかを、売る側の目線で順番に説明します。
結論
敷地面積の最低限度を下回っていても、土地そのものは売れます。建て替えできるかどうかが買い手の評価に響くだけです。
分けて売る場合は、分けた後のそれぞれが最低限度と接道のルールの両方を満たす必要があります。狭い土地ほど、単純に半分にはできません。
条件が厳しい土地は、隣地の所有者への売却や、この手の土地に慣れた買取業者への相談も選択肢に入れると、売り先の幅が広がります。
敷地面積の最低限度とは何か
敷地面積の最低限度とは、「この広さより小さく土地を分けたり、建物を建てたりしてはいけない」という下限のルールです。区市町村が地域ごとに数値を決めています。
もともとは、住宅地が細切れになって環境が悪くなるのを防ぐための制度です。一区画あたりの広さを一定以上に保つことで、日当たりや駐車スペース、街並みのゆとりを維持する狙いがあります。
ただ、この制度ができたのは比較的あとの話です。すでに小さな土地として建っている家がたくさんある地域にも、あとからこのルールがかぶさってきます。だからこそ、「うちの土地は最低限度より小さいのだが、大丈夫なのか」という相談が絶えません。
こと
建物を建てる土地を、これより小さく分けてはいけないという面積のルールです。区市町村が用途地域や地区計画にあわせて数値を決めます。同じ区の中でも、場所によって数値が違ったり、そもそも定めがなかったりします。
どこで、どうやって決められているか
敷地面積の最低限度は、主に2つの形で決められます。用途地域にあわせて決める方法と、地区計画で個別に決める方法です。
用途地域とは、住宅地・商業地といった土地の使い方の区分けのことです。区市町村は、この用途地域ごとに「この地域では敷地は◯◯㎡以上」と数値を定めることができます。低層の住宅地に指定されているエリアで、よく見られる仕組みです。
この制度の根拠は建築基準法の敷地面積の最低限度の規定です。区市町村が都市計画で定める敷地面積の最低限度は、200㎡を超えてはならないと法律で上限が決められています。実際に指定される数値は地域ごとに異なり、200㎡よりかなり小さい数値になっていることが多いため、自分の土地の数値は個別に確認する必要があります。
もう一つが地区計画です。地区計画は、駅前や再開発された住宅地など、特定のエリアだけに細かいまちづくりのルールを重ねる仕組みで、用途地域とは別に敷地面積の最低限度を上乗せしていることがあります。用途地域の数値と、地区計画の数値の両方をチェックしないと、見落としが起きます。
どちらも「必ず決められている」わけではありません。最低限度そのものが定められていない地域もたくさんあります。まずは自分の土地に指定があるかどうかを確かめるところからです。
自分の土地が対象かどうかの調べ方
調べ方はシンプルです。区市町村の都市計画図(用途地域図)を見て、自分の土地がある地域の数値を確認するのが基本です。多くの区市町村は、ウェブ上の地図サービスで用途地域や建ぺい率・容積率とあわせて敷地面積の最低限度を公開しています。地図だけでは分かりにくい場合は、都市計画を担当する窓口に電話や来庁で聞くのが確実です。
地区計画があるエリアかどうかも、あわせて確認します。地区計画は用途地域図だけでは分からないことが多く、区が公開している「地区計画の一覧」や「地区計画のしおり(図書)」で個別に確かめる必要があります。
窓口で聞くときは、次を用意しておくと話が早く進みます。
窓口に
- 地番が分かる書類(固定資産税の課税明細書や名寄帳など)
- 土地の場所が分かる地図(住宅地図や地番図)
- 登記事項証明書や測量図があれば、あわせて持参
窓口では、「この土地の敷地面積の最低限度は決められていますか」「用途地域の指定と、地区計画の指定の両方を教えてください」と聞くと、確認漏れを防げます。都市計画図を見られるサービスの名前や、地区計画図書を閲覧できる場所は区市町村ごとに違うため、まずは区のホームページで「都市計画図」「地区計画」を検索し、見当たらなければ都市計画の担当窓口に電話するのが確実です。
最低限度を下回っている土地は、建て替えられる?売れる?
ここが一番気になるところだと思います。順番に見ていきましょう。
まず、最低限度が指定される前からすでに建っている家の敷地については、建築基準法の同じ規定のなかに例外の扱いが置かれています。指定日より前から存在する敷地で、その全部を使って建て替える場合は、最低限度を満たしていなくても建築を認める、という考え方です。ただし、この例外に当てはまるかどうかの判断や、許可の要・不要は特定行政庁(区市町村の建築担当部署など)が個別に確認するため、思い込みで進めず、必ず窓口で確かめてください。
ただし、この例外はあくまで「そのままの形で建て替える」場合の話です。土地の一部を分けて売ったり、隣地と敷地の形を変えたりすると、この例外の扱いから外れてしまうことがあります。現状のままなら建て替えられても、手を加えると建てられなくなる、という逆転が起きやすいのがこのルールの厄介なところです。分筆の登記そのものには、土地家屋調査士による測量も必要です。費用や手順は分筆して売るときの費用と手順にまとめました。
ここに
「今建っている家と同じ大きさなら建て替えられる」と「土地を分けても大丈夫」は別の話です。分筆や増築を考えている場合は、着手する前に必ず区の窓口で確認してください。
では、売れるのでしょうか。答えは「売れます」。敷地面積の最低限度を下回っているからといって、土地の売買そのものが禁止されるわけではありません。変わるのは、買い手にとっての建て替えのしやすさです。
- 今の建物をそのまま使う、または同程度の規模で建て替えるなら、大きな支障にならないことが多い
- 建物を建て直して床面積を増やしたい買い手には、条件が合わないことがある
- 住宅ローンの審査で、再建築の可否を金融機関に説明する必要が出ることがある
つまり、買える人・買いたい人の幅は狭まりますが、売却の道そのものが閉じるわけではありません。この土地に何ができるかを正しく説明できるかどうかが、売却のスピードを左右します。
分けて売れるか(分筆の条件)
相続した広めの土地を「2区画に分けて、それぞれ売った方が高くなるのでは」と考える方は多いです。ここで敷地面積の最低限度が直接効いてきます。
分筆(土地を登記のうえで分けること)をして売る場合、分けた後のそれぞれの区画が、最低限度と接道義務の両方を満たしている必要があります。どちらか片方だけでは足りません。
接道義務とは、建物を建てる土地が、道路に2m以上接していなければならないというルールです。分筆すると、奥の区画への通路が細くなったり、道路に接する部分が足りなくなったりしがちで、ここでつまずくケースが目立ちます。
仮の数字で考えてみます。60㎡の土地があり、その地域の敷地面積の最低限度が40㎡だとします。単純に半分の30㎡ずつに分けると、どちらの区画も最低限度を下回ってしまい、分けられません。最低限度をクリアするには、合わせて80㎡以上の土地が必要になる計算です。広い土地に見えても、最低限度の数値次第では分けられないことがある、というのが実際のところです。
買い
分筆できるかを考えるとき、買い手が最初に電卓をたたくのは「分けた後の1区画が、最低限度と接道義務の両方を満たすか」です。片方だけ満たしていても、もう片方で引っかかって計画が止まることがよくあります。特に旗竿地に分けようとするケースは、通路の幅で接道義務を満たせず、最低限度は足りていても分けられない、というケースが多いです。分けられないと分かった時点で、無理に分筆を進めるより、一体のまま売る方向に頭を切り替えたほうが早いことが多いです。
分筆できるかどうかは、区の都市計画・建築の担当窓口で、最低限度の数値と接道義務の両方をあわせて確認しましょう。
自分の土地がいくらくらいで売れそうか、分けて売った場合とそのまま売った場合でどちらが有利か、複数の会社の査定額を並べてみると見えてくることがあります。
最低限度を下回る土地の売り方
分けられない、あるいは分けない方がよいと分かった土地は、どう売ればいいのでしょうか。当てはまりやすい3つの道を比べてみます。
最低限度を下回る土地の売り方
隣地の所有者に売る
- 合わせて最低限度を満たせることがある
- 相手が見つからないと進まない
業者の買取
- 現況のまま、早く確実に売れやすい
- 価格は仲介より下がりやすい
そのまま仲介
- 今の建物を使う買い手が見つかれば高く売れることも
- 買い手が限られ、時間がかかりやすい
隣地の所有者に売る、または一部を買ってもらう。 隣の土地と合わせれば、最低限度をクリアできることがあります。隣地の持ち主にとっても、敷地が広がって建て替えの自由度が増すメリットがあるため、話がまとまりやすい相手です。ただし、隣に買う意思がなければ成立しません。手紙や不動産会社を通じた打診が一般的な進め方です。
土地の買取業者に相談する。 最低限度や接道の条件が厳しい土地は、個人の買い手にとって説明のハードルが高く、住宅ローンも通りにくい傾向があります。こうした事情に慣れた買取業者なら、現況のまま買い取ってもらえることがあります。価格は仲介より下がりやすい一方、売却までの時間は短くなりやすいのが特徴です。
そのまま仲介で売る。 今の建物を使い続けたい買い手、あるいは同程度の規模で建て替えるだけで十分な買い手にとっては、最低限度の指定はそれほど大きな障害になりません。こうした買い手を根気よく探す形になります。
どの道が向いているかは、土地の広さ、最低限度の数値、隣地の状況によって変わります。結論を急がず、複数の売り先を同時に比べてみるのが遠回りに見えて一番早いことが多いです。
再建築不可に近いほど条件が厳しい土地の売り方は、再建築不可の土地は買取できる?売却方法と価格が下がる理由でも詳しく取り上げています。売り方の全体像を先に整理したい場合は、狭小地の売却|小さい土地を売る3つの方法と高く売るコツもあわせてご覧ください。
敷地面積の最低限度に引っかかっていて、分けて売るべきか、まとめて売るべきか判断がつかないときは、状況を一緒に整理します。
土地の広さやこれまでの経緯を伝えていただければ、売り方ごとのおおよその評価の違いを比べられます。
よくある質問
Q. 敷地面積の最低限度は、どこの土地にもありますか?
いいえ、すべての土地にあるわけではありません。用途地域や地区計画で個別に定められるルールなので、定めがない地域もたくさんあります。まずは自分の土地の用途地域と地区計画を確認するところから始めてください。
Q. 最低敷地面積という言葉も聞きますが、同じ意味ですか?
はい、同じ制度を指す言葉です。「敷地面積の最低限度」が制度上の正式な言い方で、「最低敷地面積」は同じ内容を指す言い換えとして使われています。
Q. 今の建物を壊さずに売れば、最低限度は関係ありませんか?
土地の売買自体には関係しません。ただし、買い手が将来建て替える可能性を考えると、最低限度を下回っていることは伝えておくべき情報です。告知せずに売って、あとで買い手が建て替えできないと分かるとトラブルになりかねません。
Q. 隣地と合わせて売ることを、隣の人にどう切り出せばいいですか?
いきなり訪問して交渉するより、不動産会社を通じて打診する方が、お互いに冷静に条件を話しやすくなります。合わせることで最低限度をクリアできる、というメリットを具体的に伝えると、話を聞いてもらいやすくなります。
Q. 分筆する前に、測量は必ず必要ですか?
分筆登記をするには、境界を確定させたうえでの測量が必要です。費用と期間がかかるため、そもそも分けて売れる広さかどうかを先に区の窓口で確認してから、測量に進むかを判断すると無駄がありません。
まとめ
- 敷地面積の最低限度は、土地をこれより小さく分けたり建てたりしてはいけないという下限のルールで、用途地域か地区計画で定められる
- 定めのない地域もあるため、まずは自分の土地に指定があるかを都市計画図と窓口の両方で確認する
- 最低限度を下回っていても、土地そのものは売れる。変わるのは建て替えのしやすさで、買い手の幅がやや狭まる
- 分けて売る場合は、分けた後のそれぞれが最低限度と接道義務の両方を満たす必要があり、単純な二等分ができないことがある
- 分けられない・条件が厳しい土地は、隣地の所有者への売却、買取業者への相談、そのままの仲介という3つの道を比べて選ぶ
どの売り方が合っているか迷ったときは、土地の状況を教えていただければ一緒に整理します。


