建売業者に土地を売るには?業者が買う土地・買わない土地の違い
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23区の周辺区を歩くと、古い家が取り壊された跡に、細長い3階建ての新築が2棟並んでいる光景をよく見かけます。こうした住宅を建てて売っているのが、建売業者です。
建売業者は、狭小地や古家付き土地の主な買い手のひとつです。個人の買い手が見つかりにくい土地でも、業者の目で見て「新築が建てやすい土地」なら、すんなり売れることがあります。
この記事では、建売業者に土地を売る方法、業者が買う土地・買わない土地の違い、契約で確認したい点を順に説明します。
結論
建売業者は「新築を建てて、いくらで売れるか」から逆算して土地を買います。
仕入れ担当が見るのは、主に「分割できるか」「3階建てが建つか」「販売価格帯に合うか」の3点です。
業者に直接売る場合も、複数社の条件を比べ、契約条件(停止条件・測量・決済時期)まで確認しましょう。
建売業者とは?土地を買う目的
建売業者は、土地を仕入れて新築の一戸建てを建て、土地と建物をセットで売る会社です。分譲住宅会社やパワービルダーとも呼ばれます。土地の値段は、完成した新築の販売価格から逆算して決まります。
業者にとって、土地の仕入れは事業の一部です。土地を買い、建物を建て、売り切るまでを一つの計画として考えます。
建売業者が土地の仕入れ価格を決める流れ
- 販売価格を見込むその場所の新築一戸建てが、総額いくらで売れるか
- 費用を引く建築費、解体費、測量費、登記などの諸経費
- 持っている間のコストを引く販売までの期間の金利など
- 利益を引く残った金額が、土地の仕入れ価格の上限になる
仮の数字で計算してみると
言葉で説明されてもピンと来ないかもしれません。仮の数字を当てはめて、計算の流れを追ってみます。この表の数字はすべて仮の数字です。実際の金額ではなく、解体費や測量費の相場を示すものでもありません。特定の土地の話でもありません。
| 項目 | 仮の金額(実際の金額ではありません) |
|---|---|
| 新築(木造3階建て)の販売価格の見込み | 4,500万円 |
| 建築費 | −2,200万円 |
| 解体費(古家) | −150万円 |
| 確定測量費 | −40万円 |
| その他の諸経費(登記・仲介手数料・税金など) | −250万円 |
| 持っている間のコスト(金利など) | −60万円 |
| 利益 | −600万円 |
| 土地の仕入れ価格の上限 | 約1,200万円 |
この仮の例では、土地の仕入れ価格の上限は約1,200万円という計算になります。解体費や測量費がもっとかかる土地なら、上限はさらに下がります。例えば隣地の数が多く、道路の管理者との境界確認(官民査定)まで必要な土地では、確定測量費が上がります。この記事では、解体費や測量費の実際の金額は書いていません。費用の決まり方は、木造の解体費用は何で決まる?と確定測量の費用は何で決まる?を見てください。
買い
この逆算は、机上の空論ではありません。仕入れ担当は物件ごとに、解体費・測量費・建築費をその土地の条件に当てはめて計算し直します。旗竿地で重機が入らなければ解体費が上がり、隣地の数が多ければ測量費も上がる。同じ広さの土地でも仕入れ値に差が出るのは、たいていこの計算のどこかが変わっているからです。
この仕組みがあるので、個人向けの相場とは別の物差しで価格が決まります。条件が合えば、個人に仲介で売る場合に近い価格が出ることもあります。
建売業者の仕入れ担当が見る3つの条件
仕入れ担当が確かめるのは、「分割できるか」「3階建てが建つか」「販売価格帯に合うか」の3つです。どれも、新築をいくつ、どのくらいの広さで、いくらで売れるかにつながります。
1. 分割できるか
ある程度の広さがある土地では、2区画以上に分けて売れるかが見られます。例えば、30坪前後の土地を2つに分けて、15坪前後の3階建てを2棟建てるといった計画です。分けられるかどうかは、次の条件で決まります。
- 分けた後のそれぞれの区画が、道路に2m以上接するか(接道義務)
- 区や地域で、敷地の広さの下限(敷地面積の最低限度)が決められていないか。建築基準法の敷地面積の最低限度の規定にもとづき、用途地域や地区計画で定められることがあり、上限は200㎡と決まっています。指定の有無や数値は区・地区によって違うため、区役所の都市計画課・建築指導課で確認してください。最低限度より狭い土地でも売れるのかもあわせてどうぞ
- 旗竿形に分ける場合、東京都建築安全条例の路地状部分(竿の部分)の幅の規定を満たすか
東京都建築安全条例では、竿の部分(路地状部分)の長さに応じて、必要な幅が決められています。長さ20m以下なら幅2m以上、20mを超えるなら幅3m以上です。延べ床面積が200㎡を超える建築物は、耐火建築物と準耐火建築物を除き、必要な幅がそれぞれ1m広がります。20m以下なら3m以上、20m超なら4m以上です(木造に限りません。出典:東京都建築安全条例。知事が安全上支障がないと認める場合の例外もあります。個別の土地は区の建築指導課で確認してください)。さらに同条例の別の規定により、路地状部分の幅が4m未満の敷地には、耐火・準耐火建築物以外の3階建て以上を建てられません。狭小地の建売で人気の木造3階建てを旗竿地に計画するなら、通路の幅がそのまま仕入れの可否を左右します。旗竿地ならではの注意点は旗竿地の売却と価格が下がる理由で解説しています。
旗竿地の買い手が何を不満に感じ、それが価格にどう響くかは、旗竿地で買い手が後悔しやすい点と売り方で説明しています。
10坪・15坪の土地は、分割ではなく単独の計画になりやすい
もともと10坪・15坪くらいしかない土地は、分割の話にはなりません。仕入れ担当が考えるのは、その1区画のままで何階建て・何㎡の家が建つかです。10坪だと延べ床面積が絞られ、単身者向けや店舗併用の企画になりやすく、15坪ならもう少し部屋数を確保した企画も検討できます。同じ坪数でも、間口の広さや前面道路の幅によって、実際に使える延べ床面積は変わります。10坪・15坪それぞれに建つ家の目安は、10坪・15坪の土地は売れる?建つ家と売り方で仮の数字を使って計算しています。
2. 3階建てが建てられるか
23区の狭小地では、木造3階建てが建てられるかどうかで、売れる床面積が大きく変わります。仕入れ担当は、次の点を確認します。
- 用途地域と、建物の高さの上限(低層住居専用地域の10m・12mなど)
- 道路斜線・北側斜線・日影規制・高度地区といった高さの制限
- 容積率(前面道路の幅による制限も含む)
- 防火地域・準防火地域の指定と、それに伴う建築費
3. 販売価格帯に合うか
業者は、そのエリアで売れやすい価格帯をつかんでいます。土地の価格に建築費を足した販売価格が、エリアの買い手の予算を超えてしまう。そんな場合は、仕入れを見送ることがあります。
業者が買う土地・買わない土地の違い
業者が買いやすいのは、道路にしっかり接し、形が整い、3階建てが無理なく建つ土地です。見送られやすい土地にも、別の売り先は見つかります。
| 項目 | 業者が買いやすい土地 | 業者が見送りやすい土地 |
|---|---|---|
| 接道 | 公道または承諾がそろった私道に2m以上接する | 接道義務を満たさない(再建築不可) |
| 形状・間口 | 整形地で間口が広め | 間口が極端に狭い、形がいびつ |
| 建てられる家 | 木造3階建てが無理なく建つ | 高さ制限で2階建てしか建たない |
| 道路・工事 | 工事車両が入れる道幅がある | 道が狭く重機が入れない |
| 境界 | 境界標があり、確定測量ができる | 隣地とトラブルがあり、境界が決まらない |
| 立地 | 駅や生活施設に近い | 販売価格帯に合う需要が見込めない |
古家が残っている土地でも、多くの建売業者は解体前提でそのまま買い取ります。解体費用も、逆算の計算にあらかじめ組み込んで仕入れ値を出すからです。古家付きのまま売るか、先に解体してから売るかで迷っている場合は、古家付き土地のまま売るか、解体して売るかを先に読むと判断しやすくなります。
ただし、その土地や家で過去に人が亡くなっている場合は、解体を前提にしていても仕入れの評価が慎重になることがあります。告知が必要かどうかの判断は、事故物件を売るときの告知義務の基準を参考にしてください。
見送られやすい土地でも、あきらめる必要はありません。再建築不可や形のいびつな土地を専門に扱う買取業者や、隣地の所有者が買い手になることがあります。
自分の土地に3階建てが建つのか、分割できるのか。役所での調べ方が分からない場合は、調査の手順を無料でお伝えします。
建売業者に土地を売る方法
方法は、不動産会社を通すか、業者に直接問い合わせるかの2つです。どちらでも、1社だけで決めずに複数社の条件を比べましょう。
建売業者への売り方の比較
不動産会社(仲介)を通す
- 複数の建売業者に打診してもらえる
- 業者どうしの競争で価格が上がることもある
- 価格交渉や契約条件の調整を任せられる
- 仲介手数料がかかる
業者に直接問い合わせる
- 仲介手数料がかからない
- 多くの業者が土地の仕入れ窓口を設けている
- 1社だけだと価格の妥当性が分かりにくい
- 交渉は自分で行う
方法1:不動産会社(仲介)を通して打診する
仲介会社は、複数の建売業者とつながりがあることが多いものです。条件を比べながら売り先を探してもらえます。仲介手数料はかかりますが、価格交渉や契約条件の調整を任せられるのは心強い点です。
方法2:業者に直接問い合わせる
建売業者の多くは、土地の買取・仕入れの窓口を設けています。直接売れば仲介手数料はかかりません。ただ、1社だけでは価格の妥当性を判断しにくいので、何社かに問い合わせるのが基本です。
どちらが良いか
直接なら手数料を省けます。仲介を通せば、業者どうしの競争で価格が上がることもあります。手取り額と手間を並べて判断しましょう。業者に売る場合と仲介で個人に売る場合の違いは、狭小地の買取と仲介の違いで解説しています。
打診する前にまとめておきたい情報
業者は、情報がそろっている土地ほど早く検討できます。回答までの時間が短くなり、価格の根拠も聞きやすくなります。
打診の
- 登記簿謄本・公図・地積測量図(あれば確定測量図)。法務局で取れる
- 用途地域、建ぺい率・容積率、防火規制、高度地区の指定。区の都市計画図で確認
- 前面道路の種類と幅(公道か私道か、2項道路か)。区役所の道路・建築の窓口で確認
- 境界標の有無、越境の有無
- 古家の有無と、残置物の量
- 希望する引き渡し時期
契約で確認すべき条件
建売業者との契約では、「どんな条件なら白紙に戻るか」を最初に確認します。あわせて、測量・古家・責任の範囲・お金の受け取り時期も見ておきましょう。
ここに
「建築確認が取れること」「分割できること」などを条件にした契約があります。条件が満たされなければ、契約が白紙になることがあります。どんな条件が付いているか、いつまでに決まるのかを必ず確かめてください。
そのほか、次の点も契約書で確認します。
- 測量・境界確定:確定測量を売り主の負担で求められることが多いです。費用は、隣地の数と、道路の管理者との境界確認(官民査定)が要るかどうかで決まります。金額はこの記事では書いていません。費用の決まり方は確定測量の費用は何で決まる?を参照してください
- 古家・残置物:古家付き・残置物ありのまま引き渡せるか。解体費は、手壊しが必要な狭小地では追加になることもあります。金額はこの記事では書いていません。費用の決まり方は木造の解体費用は何で決まる?を参照してください
- 契約不適合責任:業者が買い主なら、免除の特約を付けるのが一般的。契約書に明記されているかを見る
- 手付金と決済時期:手付金の額と、残りの代金を受け取る時期
自分の土地がいくらくらいで売れそうか、まずは複数の会社の査定額を並べてみると、相場の幅がつかめます。
よくある質問
Q. 建売業者の買取価格は、仲介より安いですか?
一般的には、仲介より低くなりやすいです。とはいえ、新築を建てやすい土地なら、仲介に近い価格が出ることもあります。仲介の査定と、複数社の買取価格を並べて比べましょう。
Q. 10坪・15坪の小さな土地でも、建売業者は買い取ってくれますか?
条件が合えば対象になります。ただし間口が狭かったり、前面道路の幅が足りなかったりすると、3階建てを建てにくくなり、仕入れ価格の評価は下がります。10坪・15坪の土地に建つ家の目安は10坪・15坪の土地は売れる?建つ家と売り方で計算しています。
Q. 古家が建ったままでも買ってもらえますか?
多くの建売業者は、古家付きのまま買い取ります。解体は業者側で行うので、売り主が解体費を先に払わなくて済むのが一般的です。条件は会社ごとに確認してください。
Q. 業者から「境界確定をしてほしい」と言われました。必要ですか?
建売業者は、分割や建築のために、境界が確定していることを求めることが多いです。費用も期間もかかるので、測量を誰が負担するかは価格とあわせて交渉します。詳しくは境界が決まっていない土地の売却をご覧ください。
まとめ
- 建売業者は、新築の販売価格から解体費・測量費などを差し引いて、土地の仕入れ価格の上限を決める(仮の数字の例では約1,200万円という計算になった。実際の金額ではない)
- 仕入れ担当は「分割できるか」「3階建てが建つか」「販売価格帯に合うか」を見る。10坪・15坪くらいの土地は、分割ではなく単独の企画として検討されやすい
- 接道・形状・高さ制限・工事車両の入りやすさで、買う土地と見送る土地が分かれる
- 古家付きのままでも、解体費を織り込んで買い取る業者は多い
- 仲介経由でも直接でも、複数社の条件を比べ、停止条件・測量・契約不適合責任・決済時期まで確認する
建売業者以外の売り先も含めて比べたい方は、狭小地の売却方法と選び方も読んでみてください。
建売業者を含め、複数の業者の買取価格の目安を比べたい方は、お気軽にご相談ください。


