狭小地の売却

狭小地の売却|小さい土地を売る3つの方法と高く売るコツ

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「親から相続した15坪ほどの土地がある」「古い家が建っているけれど、こんなに狭くて売れるのだろうか」。23区の周辺区では、こうした小さな土地の相談がよくあります。

狭小地とは、一般に15〜20坪程度以下の小さな土地を指すことが多い言葉です。広い土地に比べると、買い手は限られます。それでも23区には「小さくても駅の近くに家を建てたい」という人がいます。条件がそろえば、十分に売れる土地です。

この記事では、小さい土地が売れるかどうかを決める条件を最初に説明します。そのうえで、狭小地の売買で選べる3つの方法の違いと、少しでも高く売るための準備を順番にお伝えします。

結論
狭小地でも「建物が建てられる(接道を満たす)」なら、23区では買い手が見つかる可能性は十分あります。
売り方は「仲介」「買取業者」「建売業者への直接売却」の3つ。価格・期間・手間のどれを優先するかで選びます。
高く売るコツは、売り出す前に「何階建てのどんな家が建つか」を調べておくことです。

狭小地は売れる?売却できるかを決める3つの条件

狭小地が売れるかどうかは、広さよりも「その土地にどんな家が建つか」で決まります。見るポイントは「家を建てられるか」「どのくらいの家か」「買い手がローンを使えるか」の3つです。

1. 建物を建てられる土地か(接道義務)

家を建てる土地は、建築基準法で認められた道路に2m以上接していなければなりません。このルールを接道義務といいます。満たしていない土地には、原則として新しい家を建てられません。いわゆる「再建築不可」の状態です。

建築基準法上の道路道路に2m以上接している建て替えできる接している幅が2m未満原則、建て替えできない1.5m
接道義務:建物を建てるには、敷地が建築基準法上の道路に2m以上接している必要があります(建築基準法の接道の規定)。

再建築不可の土地は、一般の買い手が住宅ローンを使いにくくなります。売り先はかなり絞られますが、買い手がゼロというわけではありません。具体的な売り方は再建築不可の土地・家を売る方法で紹介しています。

ことばの解説:接道義務

建物を建てる敷地は、建築基準法上の道路に2m以上接していなければならない、というルールです。家の前の道が「建築基準法上の道路」かどうかは、区役所の道路や建築の担当窓口で教えてもらえます。

土地の形が、道路から細い通路を通って奥の敷地につながる旗竿地の場合は、通路の幅がそのまま評価を左右します。旗竿地ならではの評価のされ方は旗竿地が売れない理由と売り方にまとめています。 通路の部分が他人の土地にかかっているときは、通る権利が登記されているかも確かめます。やり方は旗竿地の通路に通行地役権があるかを登記で確かめる方法に書きました。

2. 何階建て・何㎡の家が建つか

同じ15坪でも、建てられる家の大きさは土地ごとに違います。敷地のうち建物で覆ってよい割合(建ぺい率)と、床面積の合計の上限を決める割合(容積率)があるためです。高さの制限や、火事に備えた建物のルール(防火規制)も効いてきます。

23区の狭小地では、木造3階建てが建てられるかどうかが価格を大きく左右します。3階まで積めれば、狭い土地でも床面積を広く取れるからです。

道路3階2階1階間口 5〜6m約15坪(約50㎡)木造3階建てなら延床25坪前後も
狭小地:15坪前後でも、木造3階建てなら延床25坪前後の家が建つことがあり、建売業者の需要があります。

3. 買い手が住宅ローンを使えるか

狭小地を買う人の多くは、住宅ローンを使う個人です。金融機関によっては、土地や建物の面積が小さい物件の担保評価を低くします。住宅金融支援機構が運営するフラット35は、一戸建ての床面積基準を見直しました。2026年4月の物件検査分から、床面積の基準は70㎡以上から50㎡以上に引き下げられています。出典は住宅金融支援機構「【フラット35】対象となる住宅・技術基準」です。民間の金融機関の面積基準は会社ごとに異なるため、狭小地では複数の金融機関に相談すると安心です。

とはいえ、ローンが使いにくい土地にも買い手はいます。現金で買う業者です。ここが、次に説明する「売り方の選び方」につながってきます。

この3つの条件がそろっていなくても、対策次第で売却の道は残っています。反響が少ないと感じたら、原因の見分け方を狭小地が売れない5つの理由と対策で確認してみてください。

狭小地の売却方法は3つ|仲介・買取業者・建売業者への直接売却

狭小地の売買で使える窓口は「仲介」「買取業者」「建売業者への直接売却」の3つです。どれが正解ということはなく、価格・期間・手間のどれを優先するかで向き不向きが決まります。

売却方法 買い手 価格の傾向 売れるまでの期間 向いている人
仲介 個人・業者(不動産会社が探す) 3つの中で高くなりやすい 数か月以上かかることが多い 時間に余裕があり、少しでも高く売りたい
買取業者 不動産会社(再販目的) 仲介より低くなりやすい 早ければ数週間程度 早く確実に売りたい、古家や荷物をそのまま手放したい
建売業者への直接売却 建売住宅を建てる会社 条件が合えば仲介に近い価格になることも 比較的早い 新築が建てやすい土地を持っている

期間はあくまで目安で、物件の状態や時期によって変わります。

仲介:時間をかけて市場で買い手を探す

不動産会社と「売却活動を任せる契約(媒介契約)」を結び、買い手を探してもらう方法です。会社は広告を出すほか、不動産会社どうしで物件情報を共有する仕組み(レインズ)にも登録します。

個人の買い手にまで情報が届くので、価格は高くなりやすいのが長所です。反面、いつ買い手が見つかるかは読めません。売れたときには仲介手数料がかかります。

買取業者:不動産会社に直接買ってもらう

不動産会社が自分で買い主になる方法です。業者は買った後、リフォームや建て替えをして売り直します。その費用と利益を差し引くので、価格は仲介より下がりやすくなります。

そのかわり、早く現金にできます。売った後に欠陥が見つかったときの責任(契約不適合責任)を、免除する条件になることが多いのも特徴です。詳しい違いは狭小地の買取と仲介の比較にまとめました。

建売業者への直接売却:新築用地として買ってもらう

土地を仕入れて新築を建て、土地と建物をセットで売る会社を建売業者といいます。23区の狭小地では、主な買い手のひとつです。

業者は「ここに建てた新築がいくらで売れるか」から逆算して、土地の値段を決めます。木造3階建てが建てやすい土地なら、条件しだいで仲介に近い価格が出ることもあります。どんな土地が好まれるかは業者が買う土地・買わない土地の違いをご覧ください。



狭小地の買取とは?仲介との違い・買取価格の目安・向いているケース

狭小地を高く売るための5つのコツ

高く売るいちばんの近道は、売り出す前に「ここに何が建つか」を調べておくことです。そのうえで、複数の会社と売り方を比べます。境界・古家・隣地の3つも、先に手を打っておくと価格に効いてきます。

1. 「建てられる家」を先に調べる

買い手や業者が最初に知りたいのは「ここに何が建つか」です。区役所の都市計画や建築の窓口で、次の4つを聞いておきましょう。

  • 用途地域(住宅向け・商業向けなど、建ててよい建物の種類を決める区分)
  • 建ぺい率・容積率
  • 防火地域・準防火地域に当たるかどうか
  • 前面道路の種類

窓口では、住所ではなく地番(登記上の土地の番号)を伝えると話が早く進みます。地番は、権利証や固定資産税の納税通知書に書かれています。ここまで分かっていれば、査定や価格の交渉もスムーズです。

お住まいの区ならではの事情も、知っておくと安心です。例えば足立区の場合は、足立区の土地・狭小地の売却ガイドに相場の調べ方と売れやすい条件をまとめています。

2. 複数の方法・複数の会社で比べる

狭小地は、会社によって評価の差が出やすい土地です。仲介の査定額と、買取業者・建売業者の買取価格を並べてみてください。1社だけでは分からない相場の幅が見えてきます。坪単価をそのまま当てはめて自分で計算すると、実際の相場とずれることも多くあります。坪単価だけで判断してはいけない相場の調べ方もあわせて確認しておくと、査定額が妥当かどうかの物差しになります。

買い手はこう見る

買い取る会社の担当者が土地を見るとき、価格と同じくらい気にしているのが「決済までのスピード」です。相続人が複数いて名義変更にまだ時間がかかりそうな土地は、いくら条件が良くても後回しにされることがあります。狭小地は個人の買い手が限られる分、業者の側も「他社と競合しているか」を強く意識します。1社だけに声をかけるより、2〜3社に同じ条件で聞いてみたほうが、価格の根拠がはっきりしてくると思います。

3. 境界と越境を確認しておく

土地の角には、境目を示す杭やプレート(境界標)が入っていることがあります。これが見当たらない。隣の家の屋根がこちらにはみ出している(越境)。こうした問題は、狭小地では価格に響きやすくなります。数十cmの違いで、建てられる家のプランが変わってしまうためです。

まずは現地で、敷地の角に境界標があるかを見てみましょう。見つからなければ、測量が必要かどうかを不動産会社に相談します。

4. 古家を解体するかは急いで決めない

道路古家付きのまま売る築40年解体して更地で売る更地
古家付き土地:解体すると買い手は見つけやすくなる一方、解体費がかかり、固定資産税の軽減もなくなります。

更地にすると、見た目はすっきりします。ただし解体費がかかりますし、住宅が建っている土地の税金を軽くする制度(固定資産税の住宅用地特例)も翌年から外れます。

買い手が決まってから解体する、という順番もあります。業者の多くは古家付きのまま検討できるので、意見を聞いてから決めても遅くありません。

5. 隣地の所有者にも声をかける

隣の家にとって、あなたの土地は敷地を広げるチャンスかもしれません。単独では建てにくい土地でも、隣地の所有者なら高く評価してくれる場合があります。声をかけるときは、売り主から直接ではなく、不動産会社を通す方が価格交渉がこじれにくく安心です。10坪前後の小さな土地では特に有力な売り先で、10坪前後の土地の売却先の選び方でも詳しく取り上げています。

狭小地の売り方を比べたいけれど、どこから手を付ければいいか分からない。そんなときは、売却の進め方を無料で一緒に整理します。

売却前にそろえておきたい書類と情報

次の書類が手元にあると、査定の精度が上がり、話が早く進みます。ほとんどは法務局で取れるものと、手元に届いている書類です。

書類 どこで手に入るか 何が分かるか
登記簿謄本(登記事項証明書) 法務局(窓口・オンライン請求) 所有者、面積
公図・地積測量図 法務局 土地の形、測量されているか
固定資産税の納税通知書 都税事務所から毎年届く通知 評価額、税額
建築確認済証・検査済証(古家がある場合) 自宅で保管している書類 建物の説明に使う(なくても売却はできる)
登記の名義 登記簿謄本で確認 相続登記が済んでいるか

建築確認済証や検査済証は、見つからなくても売却はできます。あれば買い手への説明がしやすくなる、という位置づけです。

ここに注意:相続した土地の名義

登記の名義が亡くなった方のままだと、その状態では売却できません。先に、名義を相続人に変える手続き(相続登記)を済ませます。手続きは法務局で行い、司法書士に頼むこともできます。詳しくは相続登記の義務化と売却の関係をご覧ください。

狭小地の売却にかかる費用と税金も事前に把握する

狭小地は売却価格が小さいぶん、費用の割合が大きくなりがちです。いくらで売れたかではなく、手元にいくら残るかで判断しましょう。

主な費用は、仲介手数料、売買契約書に貼る印紙代(印紙税)、登記の費用です。登記の費用には、ローンの担保を外す手続き(抵当権抹消)などが含まれます。土地によっては、測量費や解体費も加わります。売って利益が出たときは、その利益に税金(譲渡所得税)がかかります。

ポイント:価格が低い土地の仲介手数料

売買価格が低い土地・建物には、仲介手数料の上限について別の扱いがあります。対象になる価格の線も上限の額も見直しが入っているため、この記事では書いていません。事前に説明を受け、合意したうえでの扱いになるので、小さな土地ほど関係しやすいので、依頼する前に業者に確認しておきましょう。額の確かめ方は仲介手数料の上限は定価ではないにまとめています。

費用の全体像と手取り額の計算方法は、売却にかかる費用と税金の一覧で仮の数字を使って説明しています。



土地売却の税金と費用|内訳と、税額を自分で見積もる手順

自分の土地がいくらくらいで売れそうか、まずは複数の会社の査定額を並べてみると、相場の幅がつかめます。

よくある質問

Q. 10坪以下の土地でも売れますか?

売れる可能性はあります。ただ、建てられる家がかなり小さくなり、住宅ローンの審査でも不利になりがちです。そのため、買い手は一般の個人より、隣地の所有者や業者が中心になります。まずは接道と、建てられる面積を確認しましょう。

Q. 仲介と買取、どちらが得ですか?

価格だけなら、仲介の方が高くなりやすいです。買取は早く確実に売れ、古家や残置物(家に残った家具など)をそのまま引き渡せることが多い方法です。売却にかけられる時間と、家の状態で選んでください。

Q. 古家付きのまま売っても大丈夫ですか?

大丈夫です。「古家付き土地」として売り出すのは、ごく一般的な方法です。解体費がかからず、固定資産税の特例も続きます。建物の不具合についての取り決めだけは、契約で明確にしておきましょう。

Q. 相続した土地で、まだ名義変更していません。売れますか?

名義が亡くなった方のままでは売却できないので、先に相続登記が必要です。2024年4月から相続登記は義務になりました。相続を知った日から3年以内の申請が求められます。

まとめ

  • 狭小地が売れるかは、広さより「接道を満たし、どんな家が建つか」で決まる
  • 狭小地の売却方法は仲介・買取業者・建売業者への直接売却の3つ。価格・期間・手間で選ぶ
  • 売り出す前に、区役所で用途地域や建ぺい率などを調べ、建てられる家をつかんでおく
  • 複数の会社・複数の方法で価格を比べると、相場の幅が分かる
  • 費用と税金を差し引いた手取り額で判断する

相談から引き渡しまでの全体像は、土地売却の8ステップと期間の目安で確認できます。不動産会社以外にどこへ聞けばいいか迷う方は、不動産会社以外の相談先(専門家・公的機関)の選び方で相談先を内容別に整理しています。

仲介と買取のどちらが合うか、業者の買取価格はどのくらいか。比べ方が分からないときは、お気軽にご相談ください。

この記事の監修者:十坪とつぼさん(宅地建物取引士)
東京23区で土地の仕入れ営業を担当する宅地建物取引士。狭小地・旗竿地・古家付き土地など、小さくて売りにくい土地を日々見ている。

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