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木密地域・不燃化特区とは?古い木造住宅が建つ土地の売り方と助成制度

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古い木造住宅が並ぶ地域にある実家や、相続した土地。売ろうと思ったとき、「道が狭くて建て替えできないかもしれない」と心配になっていませんか。「区から不燃化特区のお知らせが届いたけれど、売却と関係あるの?」という方もいるでしょう。

木造住宅が密集した地域(木造住宅密集地域、通称・木密地域)の土地は、法律の制限が多く、売りにくいと言われがちです。けれど、東京都と区は燃えにくい街にするための支援制度を用意しています。上手に使えば、売却の負担を減らせる場合があります。

この記事では、木密地域・不燃化特区の仕組みと、売る前に確認すべきこと、売却先の選び方を解説します。

結論
木密地域の土地は「接道」と「防火規制」で建てられる家が決まり、価格もそれで変わります。
不燃化特区の解体助成や税の減免は、工事の前に区へ相談することが大前提です。
助成を使うか、古家付きのまま売るかは、手取り額で比べて決めましょう。

木密地域・不燃化特区とは

木密地域は、古い木造住宅が多く集まり、道路が狭く、空地が少ない地域のことです。その中でも、東京都が特に重点的に改善を進める地区として指定したのが不燃化特区です。特区の中なら、解体や建て替えに区の支援が受けられます。

木密地域とは

木密地域では、公園などの空地も少なく、大きな地震が起きたときに火災が燃え広がりやすいことが課題とされています。

東京都では、JR山手線の外側を中心に、こうした地域が広く分布しています。都は「防災都市づくり推進計画」で、特に改善が必要な地域を「整備地域」として定め、区と一緒に対策を進めています。

もともとのきっかけは、東京都が2012年度(平成24年度)から始めた「木密地域不燃化10年プロジェクト」です。このプロジェクト自体は2020年度(令和2年度)で終わりましたが、その考え方は「防災都市づくり推進計画」に引き継がれ、不燃化特区の制度や、燃え広がりを防ぐ道路(特定整備路線)の整備は今も続いています。

不燃化特区とは

ことばの解説:不燃化特区

正式には「不燃化推進特定整備地区」といいます。木密地域の中でも、特に重点的に改善を進める地区として、東京都が指定した地区です。区が、古い建物の解体や燃えにくい建物への建て替えを支援しています。

不燃化特区は区ごとに指定されていて、区内のどこでも対象というわけではありません。同じ町でも、丁目や番地で対象・対象外が分かれることがあります。

支援の期間も一律ではありません。東京都は2025年度(令和7年度)に「防災都市づくり推進計画」の基本方針を改定し、対象地区を見直したうえで、2030年度(令和12年度)まで不燃化特区・特定整備路線の取り組みを続ける方針を示しました(出典:東京都都市整備局「防災都市づくり推進計画」)。ただし、燃えにくい建物や空地の割合(不燃領域率)が目標に達した地区は、その時点で対象から外れることもあります。対象地区・支援期間の扱いは区や地区ごとに違うため、自分の土地がある地区が今も対象かどうかは、区の不燃化担当窓口で確認するのが確実です。

区ごとの制度や相場の調べ方は、各区のガイドにまとめています。気になる区から読んでみてください。

木密地域の土地が売りにくくなりやすい理由

木密地域の土地が売りにくいと言われる理由は、主に5つです。どれも「どんな家が建つか」が制限されることにつながっています。逆に言えば、理由が分かれば対策も立てられます。

  1. 道路が狭い:幅4m未満の道路(2項道路)に面した土地があります。建て替えのときにセットバック(道路の中心から2m下がること)が必要で、使える面積が減ります。細い通路の先に敷地がある旗竿地と組み合わさると、使える面積がさらに小さくなることもあります。
  2. 接道義務を満たさない:建物を建てるには、敷地が建築基準法上の道路に2m以上接している必要があります。満たさない土地は、原則として建て替えができません。
  3. 建築費が上がりやすい:東京都の「新たな防火規制」(東京都建築安全条例が定める区域)があります。この区域では、原則としてすべての建物が準耐火建築物以上、延べ面積500㎡を超える建物や地上4階建て以上の建物は耐火建築物以上とすることが求められます。燃えにくい建物にする分、建築費が上がります。
  4. 解体費が上がりやすい:重機が入れない路地では、手作業での解体が必要です。費用も期間もかかります。
  5. 権利関係が複雑なことがある:借地、私道の共有、隣家との越境など、売る前に整理が必要な問題を抱えていることがあります。境界がはっきりしないまま何十年も経っている土地も少なくありません。

ポイント:木密地域の解体と測量は費用が上がりやすい

木密地域の解体では、重機が奥まで入らず、手作業(手壊し)が中心になる路地状の土地は、そのぶん費用が高くなりやすいです。境界もはっきりしないまま何十年も経っている土地が多いので、売る前に確定測量を入れることも珍しくありません。確定測量の費用は、隣地の数や、道路の管理者を含む官民立ち会いが要るかどうかで決まります。

建て替えができない土地にも、売り方はあります。建て替えできない土地の売り方や、セットバックが必要な土地の売却で詳しく解説しています。狭い通路の先に敷地がある形の土地なら、旗竿地が売れない理由と売り方も参考にしてください。



再建築不可の土地は買取できる?売却方法と価格が下がる理由

不燃化特区で受けられる主な支援

不燃化特区の支援は、大きく分けて「解体・建て替えの助成」「相談・住み替えの支援」「税の減免」の3つです。名称・金額・条件は区によって違います。個別の内容は、必ず区と都税事務所で確認してください。一般的には、次のような内容が案内されています。

支援の種類 内容の概要 主な確認先
老朽建築物の除却(解体)助成 古い木造建物などを解体する費用の一部を助成 区の不燃化・まちづくり担当
建替え助成 燃えにくい建物(準耐火・耐火建築物など)への建て替えの費用の一部を助成 区の不燃化・まちづくり担当
専門家の派遣・相談 建て替えや権利関係、住み替えの相談に専門家を派遣 区の担当課
住み替えの支援 解体などに伴う住み替えを支援する制度を設けている区もある 区の担当課
建替え後の住宅の税の減免 不燃化のために建て替えた住宅の固定資産税・都市計画税を減免 都税事務所
解体後の土地の税の減免 古い住宅を解体した後の土地の固定資産税・都市計画税を減免 都税事務所(区の証明書が必要)

上の表はよくある支援の型を示したもので、すべての区・地区にあるとは限りません。自分の土地がある区に何があるかは、区の不燃化・まちづくり担当の窓口で確認してください。

除却助成だけを区ごとに横断してまとめたものは、東京23区の解体助成金・補助金まとめにも一覧があります。売主にとっていちばん大事なのは、その助成が「売る人」にも使えるのかという点です。助成は、自分で建て替える人や解体する人のための制度として作られていることが多く、売ると決めた人が使えるかどうかは、制度ごとに違います。解体してから売るのか、古家のまま売って買った人に解体してもらうのか。この選び方で、使える制度も、税の扱いも変わります。

2026年10月から助成が始まった文京区の千駄木二・五丁目と根津二丁目については、壊す前の順番を文京区の千駄木・根津で、売る前に解体助成を使う順番に分けて書いています。

その窓口では、次のことを聞いてみてください。電話でも聞けますが、地番(登記簿に載っている土地の番号)か住所を手元に置いておくと話が早く進みます。

区の窓口で聞くこと

  • 自分の土地は、不燃化特区の区域に入っているか
  • いま申し込める制度は何か(終わった制度や、見直された制度がないか)
  • 解体と建て替えのどちらが対象か、両方か
  • 土地を売る場合も使えるのか。使えるのは自分か、買った人か
  • 申請はいつまでに、工事や解体の前に出す必要があるか

制度は区ごとに違い、期限が決まっているものもあります。解体の工事を始めてから申請しても、対象にならない場合があるので、解体の契約をする前に窓口で確かめるのが安全です。税の減免を使いたいときは、区の窓口に加えて都税事務所にも聞いてみてください。

解体後の土地の税の減免

住宅が建っている土地は、固定資産税の「住宅用地の特例」で税が軽くなっています。解体して更地にすると、この特例がなくなります。翌年度から税が上がるのが一般的です。

そこで東京都は、不燃化特区で古い住宅を解体した土地について、税を軽くする仕組みを案内しています。

8割・最長5年度不燃化特区で古い住宅を解体した土地の、固定資産税・都市計画税の減免(一定の要件を満たした場合)

主な要件は、次の3つです。いずれも区が証明します。

  • 住宅の耐用年限の3分の2を超えていること
  • 区が定めた期間内に解体したこと
  • 更地を適切に管理していること

申請は毎年度必要で、固定資産税・都市計画税の第1期分の納期限(毎年6月30日)までに、区の証明書を添えて土地のある区の都税事務所へ申請します。減免を受けている間に土地を売って所有者が変わると、その時点で減免は打ち切られます(出典:東京都主税局「不燃化特区内における老朽住宅等除却後の土地に対する固定資産税・都市計画税の減免」)。売却を予定している場合は、その年度の減免が受けられるかどうかも含めて、事前に都税事務所へ確認しておきましょう。

木密地域の土地で、どの助成や減免が使えるか、役所で何を確認すればよいか分からない場合は、無料で調査の手順をお伝えします。

売却前に確認する5つの手順

売る前の確認は、「特区かどうか」から「助成を使うか」まで、5つの手順で進めると迷いません。いちばん大事なのは、解体業者と契約する前に区へ相談することです。

木密地域の土地、売却前の確認手順

  1. 不燃化特区の対象地区か確認する区のホームページで対象地区を見る。番地単位の判断は区の担当課に問い合わせる
  2. 道路と接道を確認する前面道路が建築基準法上の道路か、2項道路かを、区の建築担当の窓口で調べる
  3. 都市計画を確認する用途地域、建ぺい率・容積率、防火地域・準防火地域、新たな防火規制の区域か
  4. 特定整備路線にかかっていないか確認する燃え広がりを防ぐために都が整備を進める道路の計画線にかかるか
  5. 助成を使うかどうかを比べる解体費・助成額・税の変化・売却価格の違いを並べ、手取り額で判断する

手順4の特定整備路線は、東京都が木密地域の延焼を防ぐために整備を進めている道路です。計画線にかかる土地・建物は、事業に着手すると個別に調査のうえ土地の取得価格・物件の補償額が算定され、都と契約して用地を売り渡す形になります。あわせて、移転先情報の提供や建替えプランの提案、弁護士・税理士など専門家への無料相談といった生活再建の支援も用意されています(出典:東京都建設局・東京都都市整備局の案内)。無料相談の回数など細かい条件は路線ごとの相談窓口で決まっているため、そちらで確認してください。自分の土地が計画線にかかっているかは、区の道路担当や東京都の相談窓口で確認できます。

区の窓口の探し方

区役所には、地番が分かる書類(固定資産税の納税通知書や登記事項証明書など)を持っていきましょう。「不燃化特区の対象か」「前の道路の種類は何か」を同じ日に聞いておくと、二度手間が省けます。

担当課の名前は、区によって「防災まちづくり課」「市街地整備課」「不燃化推進課」などまちまちです。区のホームページで「不燃化特区」と検索するか、区役所の代表電話に「木密地域の不燃化を担当している課につないでほしい」と伝えれば、迷わずつながります。

ここに注意

助成は、工事の契約・着工の前に申請するのが一般的です。先に解体業者と契約したり、工事を始めたりすると、助成の対象外になることがあります。まず区に相談してから、解体業者の見積もりを取りましょう。

解体費の決まり方は、木造住宅の解体費用で解説しています。



木造の解体費用は何で決まる?見積もりの取り方と狭小地の注意

古家付きで売るか、解体して売るか

解体助成があると、「解体してから売ったほうが得かな」と考えたくなります。けれど、答えは土地しだいです。特に建て替えができない土地は、解体すると売りにくくなることがあります。

道路古家付きのまま売る築40年解体して更地で売る更地
古家付き土地:解体すると買い手は見つけやすくなる一方、解体費がかかり、固定資産税の軽減もなくなります。

古家付きのまま売る? 助成を使って解体する?

古家付きのまま売る

  • 解体費は買主が負担(価格から差し引かれやすい)
  • 住宅用地の特例が続く
  • 建物の状態が分かりにくい
  • 建物の不具合を告知する必要がある

助成を使って解体してから売る

  • 解体費は売主が負担(助成で一部を軽減)
  • 特例がなくなる(減免制度の対象か確認)
  • 土地の形や広さが分かりやすい
  • 建て替えできない土地は、解体で買い手が減ることも

建て替えができない土地を解体してしまうと、今の建物を使い続けたい買い手や、リフォームして使いたい買い手がいなくなります。解体の前に、必ず建て替えの可否を確認しましょう。

迷っている間、古い家をそのまま放っておくのも考えものです。木密地域は特に、区が「特定空家」や「管理不全空家」に指定する対象になりやすい地域でもあります。指定されると、固定資産税の住宅用地の特例が受けられなくなったり、区から指導を受けたりすることがあります。詳しくは空き家を放置するリスクをご覧ください。

判断の考え方は、古家を残すか解体するかの判断ポイントで詳しく解説しています。

相続した空き家なら3,000万円控除も確認

相続した空き家を売る場合、売却の利益にかかる税金を軽くできる特例があります。この特例は要件が細かく、改正も入っています。そのため、この記事では控除額や条件を書いていません。使えるかどうかは、税務署か税理士に確認してください。

不燃化特区の古い木造住宅は、この特例が使えることもあります。助成を使って解体する場合も、特例に影響しないか、先に確認しておきましょう。確かめ方は相続した空き家の3,000万円控除をご覧ください。個別の税額の判断は、税理士にご相談ください。



空き家の3,000万円控除|使えるかどうかの確かめ方と相談先

木密地域の土地の売却先の選び方

売却先は、土地の条件で選びます。建て替えができて駅に近いなら仲介、難しい条件があるなら買取業者や隣地の所有者が候補です。1つに決めつけず、複数の売り先を比べるのがおすすめです。

  • 仲介(個人の買い手を探す):建て替えができ、駅に近いなど条件が良い土地に向いています。時間はかかりますが、高く売れる可能性があります。
  • 建売業者への売却:3階建てなどの家が建てられる土地なら、建売業者が買い手になることがあります。木密地域は準耐火建築物以上が求められる分、建築費を織り込んで価格を出す業者が多いです。どんな土地なら買うのか、建売業者に土地を売るには?で解説しています。
  • 買取業者への売却:建て替えが難しい土地や、古家・残置物が多い土地でも、現状のまま買い取ってもらえることがあります。価格は仲介より下がるのが一般的です。
  • 隣地の所有者への売却:隣の土地と合わせることで、接道や広さの問題が解消する場合があります。隣地にとって価値が高くなることもあります。
  • 共同での建て替え:隣接する複数の土地をまとめて解体・建て替える方法です。区によっては、複数の敷地をまとめて共同化すると助成が上乗せされる制度を用意していることがあります。ただし関係者全員の合意が必要で、時間がかかります。制度の有無・条件は区の不燃化・まちづくり担当の窓口で確認してください。

ポイント

借地や共有名義など、権利の問題がある場合は、権利の整理が先です。持分の交渉などは、弁護士に相談してください。



建売業者に土地を売るには?業者が買う土地・買わない土地の違い

木密地域の土地は、会社によって評価が大きく分かれることがあります。複数の会社の査定額を並べて比べてみましょう。

よくある質問

Q. 自分の土地が不燃化特区かどうかは、どこで分かりますか?

区のホームページの不燃化特区のページに、対象地区が案内されています。町丁目の一部だけが対象の場合もあります。番地単位の判断は、区の担当課に問い合わせてください。

Q. 不燃化特区の解体助成は、売却する予定でも使えますか?

区によって条件が異なります。申請者の要件や、解体後の土地の使い方の条件が決まっていることがあります。売却予定であることを伝えたうえで、区に確認してください。

Q. 買主が建て替えるときに、助成を使えますか?

区の建替え助成は、建て替えをする人が申請するのが一般的です。買主が使えるか、期限に間に合うかは区で確認しておきましょう。売却の広告や説明で伝えられれば、買い手の判断材料になります。

Q. 木密地域の土地は、必ず安くなりますか?

必ずしもそうではありません。駅に近く、建て替えができる土地なら、需要が見込めることもあります。価格は接道や建てられる建物で決まるため、近い条件の取引事例で確認してください。

まとめ

  • 木密地域の土地は、接道・セットバック・防火規制で建てられる家と価格が決まる
  • 不燃化特区では、解体助成・建替え助成・税の減免などの支援がある(内容や期間は区・地区ごとに異なる)
  • 助成は工事の前に区へ相談し、申請するのが大前提
  • 建て替えできない土地を先に解体すると、かえって売りにくくなることがある
  • 売却先は、仲介・建売業者・買取業者・隣地から、土地の条件に合わせて選ぶ

助成を使って解体してから売るか、古家付きのまま売るか。木密地域の土地の売り方に迷っている場合は、進め方を無料でご相談いただけます。

この記事の監修者:十坪とつぼさん(宅地建物取引士)
東京23区で土地の仕入れ営業を担当する宅地建物取引士。狭小地・旗竿地・古家付き土地など、小さくて売りにくい土地を日々見ている。

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