古家・空き家・相続

空き家の3,000万円控除|使えるかどうかの確かめ方と相談先

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親が1人で住んでいた古い家を相続したものの、空き家のまま。売ると税金がかかると聞いて、なかなか踏み切れない――という声をよく聞きます。

こうしたときに名前が挙がるのが「空き家の3,000万円控除」です。ただ、この特例は要件が細かく、改正も入っています。自分が使えるかどうかを、ネットの記事だけで決めるのは危険です。

この記事では、どういう特例なのか、なぜ確認が必要なのか、確認する先はどこか、そして相談前に手元にそろえておくものを整理します。

結論
相続した空き家を売ったとき、譲渡所得から控除を受けられる特例が国にあります。要件が細かく、期限つきで改正も入っているため、使えるかどうかは税務署か税理士に確認してください。売る時期で変わる特例なので、売る前に聞いておくほうが安全です。

空き家の3,000万円控除とは

正式には「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。相続した空き家とその土地を売ったときに、売って出た利益(譲渡所得)から一定額を差し引ける国の特例です。

古い家が空き家のまま放置されるのを防ぎ、売却を後押しするためにできた制度で、通称「空き家の3,000万円控除」と呼ばれています。差し引ける額や対象になる家の条件は、この記事では書きません。動きやすい部分なので、確認先で最新の内容を聞いてください。

ことばの解説:譲渡所得(じょうとしょとく)

土地や家を売って得た「利益」のこと。売った値段そのものではなく、売った値段から、買ったときの値段(取得費)と売るためにかかった費用を引いた金額です。税金はこの利益にかかります。

なぜ、使えるかどうかの確認が必要なのか

理由は3つです。要件が細かいこと、改正が入っていること、期限つきの特例であることです。

家の建った時期、亡くなった方の住まい方、相続してから売るまでの使い方、売り方など、見られる点が多い特例です。どれか1つが違っただけで、対象から外れることがあります。

さらに、制度は改正で内容が変わってきました。期限つきの特例なので、いつ売るかによっても扱いが変わります。以前に聞いた話や、古い記事の情報のままでは、今の自分に当てはまるか分かりません。

ここに注意

「使えるはず」と思って進めたあとで、対象外と分かることがあります。売る時期や、家の解体・改修のタイミングが関わるため、売ったあとでは取り返しがつかないことも。動く前に確認しておくのが安全です。

実家を売るときの「3,000万円控除」は2つある

「実家を売ると3,000万円控除が使える」と聞いて調べたら、似たような制度が2つ出てきて混乱した方もいるのではないでしょうか。3,000万円控除には、親が住んでいる家を売るときのものと、相続した空き家を売るときのものがあり、条件が違います。

1つは「居住用財産の3,000万円特別控除」。もう1つが、この記事で扱う「空き家の3,000万円控除」です。売主がだれか、家がどんな状態かによって、当たる制度が変わります。それぞれの要件はここでは書きません。どちらに当たるかは、税務署で確かめてください。

名前が似た2つの特例(条件は別々)

居住用財産の3,000万円特別控除

  • 親が住んでいる家を売る場面で出てくる
  • 条件は空き家の特例と別

空き家の3,000万円控除(この記事)

  • 相続した空き家を売る場面で出てくる
  • 条件は居住用財産の特例と別

1階が店舗で2階が住まい、という建物を売るときは、その手前に「どこまでが居住用か」を分ける話が出てきます。居住部分の割合をどう見るかは、店舗兼住宅を売る|3,000万円控除が効くのは居住部分だけ?で整理しています。

どちらに当たるか、あるいはどちらにも当たらないのかは、家の状況を見ないと分かりません。親が住んでいる家をいつ売るか迷っている方は、実家の売却で、親が住んでいるうちに売るか相続後かの判断も読んでみてください。



実家の売却|相続・兄弟・税金と、後悔しない進め方

特例が使えそうか迷っているなら、売り方や進める順番を先に整理しておくと、確認先での話も早くなります。

売値が低い土地には、3,000万円控除とは別に、売る価格が500万円以下(区域により800万円以下)の土地で使える100万円の控除もあります。同じ売却で両方は使えないため、違いは低未利用土地の100万円控除で説明しています。

確認する先は「税務署」と「税理士」

確認先は2つです。相続した家がある地域の税務署と、税理士。

税務署は、税金の相談を受け付けている国の窓口です。特例の考え方や、申告の手続きについて聞けます。税理士は、あなたの家と相続の状況を見たうえで、使えるかどうか、ほかの特例と比べてどちらが有利かまで相談できる専門家です。

区役所には、この特例を使うときに必要な書類を扱う窓口があります。ただし、書類の名前や申請先、手続きの中身は、税務署や税理士に聞くときに一緒に確かめてください。

確認先 向いている相談
税務署(相続した家がある地域) 特例の考え方、申告の手続き、必要な書類の確認
税理士 自分の場合に使えるか、ほかの特例との比較、申告の代行

監修者の話:3,000万円控除は、売る予定を組む前に確かめる

監修者の話を、編集部がまとめたものです。売主から「3,000万円控除を使いたい」と相談されることは少なくないそうです。買い取る会社の担当者が気にするのは、売る時期と、家の状態がその方針に合っているかだといいます。使える前提で売却の予定を組んだあとに、前提が崩れるのが一番もったいないので、先に税務署や税理士に聞いておくことをすすめている、と話しています。

相談前に手元にそろえておくと話が早いもの

税務署や税理士に行く前に、次の4つがあると話がスムーズです。「これがあれば使える」というものではなく、聞くための材料として集めてください。

相談前にそろえておきたいもの

  • 登記簿謄本(登記事項証明書):法務局で取れる、土地と建物の情報が載った書類
  • 建物の建築年が分かるもの:登記簿の記載、建築確認の書類、固定資産税の通知など
  • 相続の経緯が分かるもの:いつ、だれが相続したのか、遺産分割の内容が分かるもの
  • いつ・いくらで売る(売った)かが分かるもの:売却の予定時期、査定額、売買契約書など

全部そろっていなくても、相談はできます。分かる範囲で持っていき、足りないものを聞くのが近道です。

売る前に聞いておくほうが安全な理由

この特例は、売る時期によって使えるかどうかが変わる種類の制度です。売ったあとに気づいても、間に合わないことがあります。

家を残して売るか、解体して売るかといった売り方の選択にも関わってくるので、売却の段取りを決める前に確認しておくと安心です。解体の費用や手続きは木造住宅の解体費用と区の助成で、売り方の考え方は古い家を残して売るか、壊して売るかの判断で解説しています。

売る前の確認の流れ

  1. 資料を集める登記簿謄本など、聞くための材料をそろえる
  2. 税務署か税理士に聞く自分の場合に使えるか、いつまでに何をするか
  3. 売り方を決める仲介・買取、古家付き・解体などを比べる
  4. 売却・申告確認した手順に沿って進める


古家付き土地の売却|相場・注意点と解体するかの判断基準

相続した土地を売る全体の流れと、ほかの税金の特例は相続した土地を売るまでの8ステップで、売るときの費用と税金の考え方は手取り額の計算方法で説明しています。



相続した土地を売る流れと税金|登記・特例・期限の注意点

売るかどうかを家族で話し合う前に、複数の会社の査定額を並べておくと、税務署や税理士に相談するときの材料にもなります。

よくある質問

Q. 自分が空き家の3,000万円控除を使えるか、どこで確認できますか?

相続した家がある地域の税務署か、税理士に確認してください。要件が細かく、改正も入っているため、この記事やネットの情報だけで判断しないほうが安全です。

Q. 相続してから時間がたっていますが、まだ使えますか?

期限つきの特例なので、いつ売るかで変わります。使えるかどうかは、相続の経緯と売る予定の時期を持って、税務署か税理士に聞いてください。

Q. 親が住んでいる家を売る場合も、この空き家の特例を使えますか?

親が住んでいる家を売るときは、別の制度である「居住用財産の3,000万円特別控除」の話になることがあります。2つは条件が違うので、どちらに当たるかを税務署で確かめてください。

Q. 空き家の管理のために、たまに泊まっていました。影響しますか?

影響するかどうかは、個別の状況によります。いつ、どのくらい使っていたかを整理して、税務署や税理士に伝えてください。

Q. 相談に行くとき、何を持っていけばいいですか?

登記簿謄本、建物の建築年が分かるもの、相続の経緯が分かるもの、売る(売った)時期と金額が分かるものがあると話が早くなります。そろっていなくても、分かる範囲で構いません。

まとめ

  • 空き家の3,000万円控除は、相続した空き家を売ったときの国の特例。通称で、正式名称は別にある。
  • 要件が細かく、改正も入っている。期限つきなので、いつ売るかで変わる。
  • 確認先は、家がある地域の税務署と税理士。
  • 登記簿謄本、建築年、相続の経緯、売る時期と金額を「聞くための材料」として持っていく。
  • 売る時期で変わる特例なので、売る前に聞いておく。

早く現金化したい場合は、空き家の買取|仲介で売れない家を業者に買ってもらう方法と価格の目安も選択肢のひとつです。

特例を確認しながら、解体して売るか古家付きで売るかを決めたい方は、段取りを一緒に組み立てます。

この記事の監修者:十坪とつぼさん(宅地建物取引士)
東京23区で土地の仕入れ営業を担当する宅地建物取引士。狭小地・旗竿地・古家付き土地など、小さくて売りにくい土地を日々見ている。

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