土地を分筆して売るときの費用と手順|分けられない土地と、見積もりで聞くこと
本ページにはプロモーション(広告)が含まれています。
「土地を半分にして、片方だけ売れないだろうか」「隣の人が裏の一角だけ欲しいと言っている」。相続した土地や、広めの敷地を持て余している方には、こうした場面があります。
ただ、分筆(土地を登記の上で2つ以上に分けること)は、費用の心配より先に「そもそも分けられるのか」を確かめないと、お金と時間をむだにしかねません。この記事では、狭い土地を分けて売る場面と、隣地の人に一部だけ売る場面に絞って、費用の内訳、手順、期間、分けられない土地の見分け方をまとめます。
結論
分筆の費用は、土地の広さではなく、境界がすでに決まっているかどうかで大きく変わります。金額は地域や条件で動くため、この記事では断定せず、見積もりの取り方を示します。
費用を調べる前に、分けた後の各区画が「敷地面積の最低限度」と「道路に2m接する」の両方を満たすかを、役所で先に確かめるのが近道です。
分筆して売るのはどんな場面か
分筆して売るのは、土地の一部だけを売りたいときです。大きく分けて2つの場面があります。
1つ目は、広めの土地を2区画に分けて、それぞれ売る場面。2つ目は、隣の人に、境の一角だけを売る場面です。どちらも、売る前に登記の上で土地を分けておく必要があります。
こと
登記簿の上で、1つの土地(1筆)を2つ以上に分けることです。分けた土地には、それぞれ別の地番がつき、別々に売買や担保の対象にできます。逆に、隣り合う土地をひとつにまとめる登記を合筆(がっぴつ)といいます。
分筆と似た言葉に、境界の位置を確かめる測量があります。境界が決まっていない土地は、分筆の前にそこから始めることになります。測量の費用は確定測量の費用は何で決まる?流れと期間・売主負担の理由で詳しく説明しているので、あわせてご覧ください。
費用を調べる前に、分けられる土地か確かめる
分筆で一番もったいないのは、費用をかけて測量したのに、分けた土地が建て替えできないと分かることです。見積もりを取る前に、次の3つを役所で確かめてください。
1つ目は、敷地面積の最低限度(この広さより小さい敷地には建物を建てられない、という下限のルール)です。2つ目は、分けた後の各区画が道路に2m以上接しているか(接道義務)。3つ目は、今ある建物を残す場合に、建ぺい率や容積率(敷地に対して建てられる建物の大きさの上限)を分けた後の敷地で満たせるかです。
仮の数字で考えてみます。ある地域の最低限度が60㎡だとします。約100㎡の土地を半分に分けると、それぞれ約50㎡。どちらも60㎡に届かないので、分けた土地には新しく家を建てられません。この場合は、分けて売る計画そのものを見直すことになります。最低限度の調べ方は敷地面積の最低限度とは?下回る土地の売り方と分筆の条件に書きました。
もう一つの落とし穴は、道路に面した幅です。間口(道路に面した幅)が6mほどの土地を奥行き方向に前後2つに分けると、奥の区画は細い通路だけで道路につながる形になります。この通路が2mを切ると、奥は建て替えできない土地になります。通路を2m確保して旗竿地にすれば条件は満たせますが、旗竿地は評価が下がりやすいので、分けた合計が分ける前より高くなるとは限りません。詳しくは旗竿地が売れない理由と売り方をご覧ください。
ここに
分筆の登記を法務局が受け付けるかどうかと、そこに家を建てられるかどうかは、別々の判断です。この記事では、最低限度を下回る分け方の登記が受け付けられるかを、一次資料で確かめられませんでした。登記の可否は法務局で、建築できるかは役所で、それぞれ確認してください。買い手が建て替えられない土地を分けても、売り先は見つかりにくくなります。
役所の窓口では、「この地番を2つに分けたとき、それぞれの区画で建築できますか」と聞きます。持っていくのは、地番が分かる書類(固定資産税の課税明細書など)と、おおまかな分け方を書いた地図です。担当は区によって名前が違い、建築指導課や都市計画課などです。
母屋のほかに離れ・倉庫・車庫がある土地を分けるとき
母屋のほかに離れや倉庫、車庫が建っている土地は、建物をまたぐ線で分けると、分けたあとの敷地として認められないことがあります。分筆の登記ができるかどうかとは別に、建築基準法の上でそれぞれが敷地として成り立つかを見る必要があります。
建築基準法の施行令には、敷地とは何かを定めた規定があります。中身は、「一つの建築物、または用途上不可分の関係にある二つ以上の建築物がある一団の土地」を敷地という、というものです。
こと
建物どうしが、使い方の上で切り離せない関係にあることです。たとえば、母屋の暮らしに付属して使う物置や車庫が当てはまることがあります。この関係にある建物がのった土地は、全体で一つの敷地として扱われます。
母屋と離れが、この「用途上不可分」の関係にあると見られる場合を考えます。建築の上では、両方を合わせて一つの敷地です。そこに分筆の線を入れて2筆にしても、母屋の側と離れの側が、それぞれ別の敷地になるとは限りません。離れの側だけを買った人は、その土地で新しい建築の手続きが進められない、ということも起こりえます。
ここに
「不可分かどうか」は、売主が自分で決められません。建物の使い方や設備の状況を見て、役所の建築指導の窓口(区によって、建築指導課や建築課などの名前です)が判断します。同じ離れでも、自治体によって取扱いの基準が違うことがあります。この記事では、周辺区の取扱いを確かめられていないので、どちらに当たるかの目安は書きません。
売主が先にやることは、判定ではなく、役所に聞くための材料をそろえることです。
役所の
- 敷地全体の配置図(どの建物がどこに建っているか、分けたい線の案を書き込んだもの)
- 各建物の用途(母屋、離れ、倉庫、車庫など。誰がどう使っているか)
- 建物ごとの登記簿や固定資産税の課税明細書(建築年や種類を確かめる書類)
- 道路に接している部分の状況(接している幅、前の道路の種類)
- 聞くこと:「この線で分けたとき、それぞれが別の敷地として扱われますか」
もう一つ、建物を残したまま分けるなら、分けたあとの敷地で建ぺい率や容積率、道路に2m接する条件を満たすかも見ます。満たさなくなると、今ある建物が建築基準法に合わない状態になるおそれがあります。ここは建築士など専門家の領域なので、図面を見てもらう前提で、役所と専門家の両方に確認してください。境界の線を引く作業そのものは、土地家屋調査士に相談します。
分けられないと分かったときは、離れを取り壊して更地にしてから分ける、分けずに一体のまま売るといった選び方があります。壊す場合の費用は古家の解体費用、古家付きのまま売る場合は古家付き土地の売り方を参考にしてください。
分筆の費用は何で決まるか
分筆の費用は、「境界がもう決まっているか」で大きく変わります。ここでは金額を書きません。土地家屋調査士(測量や表示の登記を専門にする国家資格者)の報酬は、事務所ごとに決まり、地域・土地の形・筆数でも動くからです。この記事では、相場の数字を確かめられませんでした。
費用の内訳は、おおよそ次の表のとおりです。
| 項目 | 内容 | 金額の決まり方・確かめ方 |
|---|---|---|
| 土地家屋調査士の報酬 | 現地調査、測量、分筆登記の申請 | 土地の広さ、形、分ける数で変わる。複数の事務所で見積もりを取る |
| 境界の確認・立会い | 隣地の人や、道路(役所)との境の確認 | 境界標が残っていれば軽く済む。道路との境の確認は役所との協議が入る |
| 登録免許税(分筆の登記) | 登記のときに国に納める税金 | 所有権の登記がある土地の分筆は、分けたあとの土地1筆ごとに1,000円(登録免許税法)。調査士の見積もりに含まれているか確認 |
| 所有権移転の登記(分筆とは別の登記) | 売った土地の名義を買主に変える | 司法書士に依頼する。登録免許税は、評価額をもとに計算する。軽減措置と期限があるため、司法書士か法務局で確認 |
| 地積測量図などの書類 | 分筆登記に添付する図面 | 調査士の報酬に含まれるか、見積もりで確かめる |
分筆の登記(土地家屋調査士の仕事)と、売った後の名義変更(司法書士の仕事)は、別の登記です。登録免許税も別々にかかります。所有権移転の税率には軽減措置があり、期限が定められて、延長されてきました。いまの税率と期限は、申請の前に法務局か司法書士に確認してください。この記事では、その数字を書いていません。調査士の報酬の組み立て(現地調査・測量・申請の費用の分け方)も、事務所ごとに違うため、内訳を見積書で確かめてください。
見積もりを頼むときは、「分筆登記だけ」なのか、「境界の確定測量から」なのかを最初に伝えます。ここがずれると、金額が数倍違って見えます。前に測量をしたことがあり、境界の確認書がある土地は、費用が軽くなる可能性があります。確定測量の書類が残っていないか、権利証や契約書をしまってある場所を探してみてください。
見積もりを
- 境界の確定測量が、見積もりに含まれているか
- 隣地・道路との境の立会いに、何回分の費用が入っているか
- 地積測量図の作成や、法務局への申請の報酬は、含まれているか
- 完了までの目安の期間は、どれくらいか
- 売買の決済日に間に合わせたいと伝えたうえで、可能か
調査士の探し方は、売主が付き合いのある不動産会社に紹介してもらう方法と、地元の土地家屋調査士会の相談窓口に問い合わせる方法があります。仲介を頼む会社が決まっているなら、仲介会社の提携先を使うと日程の調整が楽です。ただし、紹介の1か所だけで決めず、別の事務所の見積もりも並べてください。
分筆から引き渡しまでの手順と期間
分筆して売る流れは、測量と境界の確認が一番時間がかかる部分です。ここがスムーズなら、全体も早く進みます。
土地を分筆して売るまでの流れ
- 役所で、分けられるか確認最低限度・接道・建ぺい率などを窓口で聞く
- 調査士に見積もりを依頼境界の確定測量の有無を伝えて、複数社を比べる
- 測量と境界の確認隣地・道路との境を確認し、境界標を入れる
- 分筆登記の申請法務局で、土地が2つに分かれる
- 売買契約・名義変更・引き渡し代金の受け取りと同時に、所有権移転の登記をする
期間は、事務所の予定、境界がすでに決まっているか、隣地の人や役所との確認が長引くかで変わります。この記事では、期間の目安を確かめられなかったため書いていません。見積もりの段階で、完了までの目安を聞いてください。
売買契約と分筆の順番は、売買契約を先に結び、引き渡し(決済)の日までに分筆登記を終える進め方もあります。買主が住宅ローンを使う場合は、金融機関が分筆の完了をいつまでに求めるかを、買主側に確認し、決済日から逆算して日程を組みます。売却全体の流れは土地売却の流れと期間にまとめています。
隣地の人が協力してくれない、境界が分からないといった場面は、境界が決まっていない土地は売れる?隣が協力しないときの進め方が参考になります。
分筆するかどうかで、売れる値段や買い手の層は変わります。分けたほうがよいか、そのまま売るかを決めかねているときは、状況を一緒に整理します。
隣の人に一部だけ売るときの進め方
隣の人に一角だけ売る場合は、売る側の残る土地が、分けた後も建て替えできるかを最初に確かめます。隣の人は、買った部分を自分の土地につなげる(合筆する)ので、広さの問題は出にくい一方、残る側が小さくなるのは売主です。
たとえば、裏の一角を隣の人に売ったら、残った土地の道路に面した幅が2mを切ってしまった、という失敗があります。残る側が最低限度を下回らないか、接道を保てるか、今ある建物が建ぺい率に収まるかを、売る前に必ず確認してください。
隣の人と話すときは、次の点を先に決めておくと、後で揉めにくくなります。
- 売る範囲(図面に線を引いて、お互いに確認する)
- 分筆と測量の費用を、どちらが負担するか
- 代金と、名義を変える日
費用の負担は、話し合いと売買契約で決めます。民法には、売買契約の費用は双方が等しい割合で負担するという原則の規定がありますが、契約で別の取り決めをすることもできます。分筆の費用がその規定に当たるかは、この記事では確かめていません。契約書に「誰が、いくらまで負担するか」を書いておくと、後で揉めにくくなります。
隣地の人に売ると、買い手探しの手間が少なく、広告も要りません。そのかわり、値段の相場を知らないまま話が進みやすいので、近くの取引や査定額を見たうえで、金額の根拠を持っておきましょう。税金は、一部だけ売っても、売って利益が出れば、その分に譲渡所得の税金がかかります。仕組みは土地売却の税金と費用で説明しています。
三角形の形の土地など、使いにくい部分だけを隣に譲って形を整える方法は三角地・変形地(不整形地)は売れない?価値の決まり方と売り方にも出てきます。
ここに
土地に住宅ローンの抵当権(お金を借りたときに、担保として土地につけた権利)がついていると、一部だけを売るには、金融機関に抵当権を外してもらう手続きが要ります。先に銀行へ相談してください。詳しくはローンが残る土地の売却と抵当権抹消をご覧ください。
分筆せずに売るという選択
分筆は、やれば必ず高く売れる方法ではありません。分けるほど手間と費用が増えるうえ、1区画あたりの面積が小さくなり、買い手が限られる場合もあります。分筆する・しないを比べてみます。
分筆して売る/そのまま売る
分筆して売る
- 区画ごとに買い手を探せる
- 測量や登記の費用と、数か月の時間がかかる
- 分けられない土地では使えない
そのまま売る
- 費用と手間が少ない
- 広い敷地を買える相手が限られる
- 建売業者などが、自分で分けるつもりで買うこともある
分けられない広さの土地や、分けても得にならない土地は、分けずに一体のまま売るほうが早いことがあります。建売業者は、土地を仕入れて自分で分ける前提で買うこともあるため、分筆の費用を売主が負担せずに済む場合もあります。業者が買う土地の条件は建売業者に土地を売るには?業者が買う土地・買わない土地の違いに書きました。
売り方の全体像は狭小地の売却|小さい土地を売る3つの方法と高く売るコツ、小さな土地の広さと建つ家の関係は10坪・15坪の土地は売れる?建つ家と売り方も参考になります。
分筆して売る場合と、そのまま売る場合を、複数の会社の見解で比べると、どちらが合うかが見えてきます。仲介会社に頼む場合は専属専任・専任・一般媒介の違い、手数料の目安は仲介手数料の計算と、交渉できる場面も確かめておくと安心です。
分筆に必要な書類のうち、権利証や測量図が手元にあるかも、早めに確認してください。一覧は土地売却に必要な書類一覧にまとめています。
よくある質問
Q. 分筆の費用は、いくらくらいかかりますか?
この記事では、金額を断定できませんでした。土地家屋調査士の報酬は、地域、土地の形、分ける数、境界がすでに決まっているかで変わるためです。条件を伝えたうえで、2〜3か所の事務所から見積もりを取って比べてください。
Q. 分筆の登記に、登録免許税はかかりますか?
所有権の登記がある土地を分筆するときは、分けたあとの土地1筆につき1,000円がかかります(登録免許税法の別表)。分けた2筆なら2,000円です。ただし、制度は改正されることがあるので、申請の前に調査士か法務局で確かめてください。売った後の名義変更(所有権移転の登記)は、司法書士に頼む別の登記で、登録免許税も別にかかります。税率の軽減措置には期限があるため、数字はここには書いていません。
Q. 土地の一部だけを売ることはできますか?
分筆をしてから売るのが基本です。分けた後の残りの土地も、最低限度と接道を満たしている必要があります。隣の人に売る場合は、買った側が合筆で自分の土地とつなげることがあります。
Q. 分筆の費用は、売主と買主のどちらが払いますか?
法律で決まっているわけではなく、売買契約で決めます。売買契約で決めるのが基本で、民法には費用を等しく負担する原則の規定がありますが、契約で別の取り決めもできます。契約の前に、誰が負担するかを書面にして確認してください。
Q. 分筆すると、固定資産税は変わりますか?
分けた土地ごとに、税額が計算し直されます。住宅用地の軽減(住居の敷地になっている土地の固定資産税が安くなる仕組み)は、その年の1月1日の土地の使い方で判断されます。分けたあとに、家が建っていない区画ができると、その区画は軽減の対象にならない可能性があります。個別の税額は、23区なら土地の所在地の都税事務所か、税理士に確認してください。
まとめ
- 分筆して売るのは、狭い土地を2つに分ける場面と、隣の人に一部だけ売る場面。まず「分けられるか」を役所で確かめる
- 分けた後の各区画が、敷地面積の最低限度と、道路に2m接する条件の両方を満たす必要がある
- 費用は、境界がすでに決まっているかで大きく変わる。金額は地域と条件で動くので、条件をそろえて複数の調査士から見積もりを取る
- 隣の人に一部を売るときは、売主の残る土地が建て替えできるかを確かめる。ローンの抵当権がある場合は銀行に先に相談する
- 分けるほうが得とは限らない。分筆しない売り方とも並べて比べる
分けて売るか迷うときは、土地の形や広さを伺いながら、一緒に整理します。
出典:建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)の「用語の定義」における敷地の定め。e-Gov法令検索 API v2、版ID 325CO0000000338_20251201_507CO0000000377、施行日 2025-12-01。


