古家・空き家・相続

売る前に済ませる理由と、自分でやるか頼むかの選び方|建物滅失登記とは

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古い家を壊して更地にしたら、解体業者から「滅失登記は施主さんのほうでお願いします」と言われた。あるいは、これから壊す予定で、その手続きが気になっている。そんな方は多いと思います。

この記事では、建物滅失登記が何をする手続きなのか、なぜ土地を売る前に済ませておきたいのか、期限はいつか、自分でやるか専門家に頼むかをどう決めるかを説明します。申請書の書き方の細かい解説ではなく、「売却を控えた人がどう動くか」に絞りました。

結論
建物滅失登記は、壊した建物を登記簿から消す手続きです。建物が無くなった日から1か月以内に申請するのが決まりで、土地を売るなら、代金の受け渡しの前に済ませておくのが安全です。
自分でやるか土地家屋調査士に頼むかは、平日に法務局へ行けるか、書類がそろうか、相続が絡んでいるかで決まります。費用は、複数の見積もりを取って確かめてください。

建物滅失登記とは?何をする手続きか

建物滅失登記は、「この建物はもうありません」と法務局の登記簿に届け出て、記録を消してもらう手続きです。家を壊しても、登記簿の記録は自動では消えません。現実の建物が無くなっても、書類の上では建っているままになるのです。

ことばの解説:滅失(めっしつ)登記

建物が取り壊されたり、火事や災害でなくなったりしたときに、その建物の登記を閉じる手続きです。「滅失」は「なくなること」の意味です。

たとえるなら、引っ越したあとに住民票を移さないのと同じです。本人はもう住んでいないのに、役所の記録には残ったまま。滅失登記は、登記簿の側で「ここにはもう建物がありません」と伝える作業だと考えてください。

手続きの窓口は、土地の所在地を管轄する法務局です。申請すると、建物の登記記録が閉じられます。

なぜ土地を売る前に済ませるのか

売る前に済ませておきたい理由は、登記簿に古い建物が残っていると、買主側から先に消すよう求められることがあるからです。

決済(代金の受け渡し)の直前に求められると、日程がずれるおそれがあります。避けたいのは、このパターンです。なぜ求められるのかは、法務局の資料で確かめられていないため、この記事では理由を書いていません。求められた場合の扱いは、不動産会社か法務局に確認してください。

主な場面を整理します。

場面 登記簿に建物が残っていると
買主が決まったあと 建物の登記を先に消すよう、求められることがある
決済(代金の受け渡し)の日 直前に求められると、日程がずれるおそれがある
売主の義務 期限内に申請する決まりがあり、放置は過料の対象になりうる

固定資産税にも関係します。家を壊したあとの課税は、年が明けた1月1日時点の状況で決まります。壊す時期によって、翌年の税額が変わることがあるので、売却の予定と合わせて考えましょう。住宅が建っている土地にある軽減が外れる点は、木造の解体費用は何で決まる?でも触れています。登記簿に建物が残っている場合の課税の扱いは、区役所の税の窓口に確かめてください。

1か月以内建物が無くなった日から、滅失登記を申請しなければならない期限(不動産登記法)

期限は、建物が無くなった日から1か月以内と決められています。正当な理由なく申請しないと、過料(行政上の罰金のようなもの)の対象になります。期限を過ぎたからといって諦める話ではありません。気づいた時点で、早めに動くのが基本です。



木造の解体費用は何で決まる?見積もりの取り方と狭小地の注意

誰が申請するのか:登記簿に載っている名義人

申請するのは、その建物の登記簿に名義人として載っている人です。解体業者ではありません。工事を頼んだ側の手続きなので、業者から「そちらでお願いします」と言われるのはこのためです。

ここで、1つ確認しておくことがあります。建物の登記簿を取って、名義が誰になっているか、そもそも登記されているかを見ることです。法務局の窓口や、オンラインで登記事項証明書を請求できます。

ここに注意:元から登記のない建物は、話が別です

登記簿に載っていない建物(未登記建物)は、消す対象の登記そのものがありません。この記事の手続きは、登記されている建物が対象です。未登記の建物を相続した場合の考え方は、未登記建物を相続したらにまとめています。

登記が有るか無いか分からないときは、先に登記事項証明書を取って確かめましょう。土地の名義と建物の名義が別の人、ということもあります。

自分でやるか、土地家屋調査士に頼むか

どちらが正しい、という答えはありません。自分で申請することも、専門家に頼むこともできます。判断の材料を並べます。

自分で申請する・調査士に頼む

自分で申請する

  • 専門家への報酬がかからない
  • 書類集めと申請に、自分の時間が要る
  • 法務局は平日の日中が基本
  • 売却の日程が迫っていると、不安が残る

土地家屋調査士に頼む

  • 書類の作成と申請を任せられる
  • 報酬がかかる(事務所ごとに違う)
  • 平日に動けない人、遠方に住む人に向く
  • 相続が絡む場合も相談しやすい

自分でやるかどうかは、次の4つで見当がつきます。

自分でやれそうかのチェックリスト

  • 登記簿に載っている名義人が、自分自身(または手続きに協力してくれる人)か
  • 平日の日中に、法務局へ行く時間が取れるか
  • 解体業者から、必要な書類を受け取れるか
  • 売却の決済日まで、余裕があるか

全部「はい」なら、自分でやる選択肢は十分あります。1つでも「いいえ」があるなら、調査士に見積もりを頼んで、報酬と手間を比べてみてください。

費用の金額は、この記事には書きません。調査士の報酬は事務所で違い、時期によっても変わります。頼むなら、2〜3か所から見積もりを取って比べるのが確実です。調査士は、土地家屋調査士会に問い合わせて探す方法もあります。

売却の相談を受けた不動産会社が、提携の調査士を紹介してくれることもあります。その場合も、報酬の見積もりを聞いてから決めましょう。

解体業者から先に受け取る書類

滅失登記には、「建物を取り壊した」ことを示す書類を求められるのが普通です。正確に何が必要かは、法務局か土地家屋調査士に確かめてください。取り壊した本人である解体業者に頼むことになるため、解体工事の契約を結ぶ段階で、次の2点を確かめてください。

  • 取り壊しを示す書類を、発行してもらえるか
  • ほかに業者側の書類が必要か、いつまでに受け取れるか

工事が終わってから「出せません」と言われると、手続きが止まります。契約書か見積書に、書類の発行を書いてもらうと安心です。

流れを図にすると、次のとおりです。

解体から滅失登記までの流れ

  1. 登記簿を確認建物が登記されているか、名義人は誰かを見る
  2. 解体を契約取り壊しを示す書類を出してもらえるか、契約前に確かめる
  3. 解体工事建物が無くなった日から、1か月の期限が始まる
  4. 書類をそろえる取り壊しを示す書類などを受け取り、申請書を用意する
  5. 法務局へ申請自分で行くか、調査士に任せる
  6. 登記が閉じたことを確認売却の準備に進む

解体費用と見積もりの見方は、見積もりの内訳の見方で説明しています。自治体の助成を使う場合は、申請の順番に決まりがあるので、契約前に確認が要ります。

工事を頼む前に、解体の見積もりを複数並べておくと、書類の発行のしかたも含めて業者を比べやすくなります。

名義人が亡くなっている相続した建物の場合

登記簿の名義人がすでに亡くなっているときは、手続きが少し複雑になります。相続人の誰が、どんな書類で申請するのか。先に相続登記が必要なのか。この点は法務局の資料で確かめられていないため、この記事では書いていません。法務局か土地家屋調査士に確認してください。

考えておくことが2つあります。

  • 相続人が複数いるとき、誰が申請するのか、他の相続人の同意は要るのか
  • 土地も同じ名義のままなら、売却の前に相続登記も必要になる

土地の名義まで含めると、売却までにやることが増えます。相続登記の期限や流れは、相続登記の義務化と、登記しないと売れない理由で説明しています。全体の順番は、相続した土地を売る流れで整理してください。

ポイント:相続が絡むなら、最初から専門家に相談する

名義人が亡くなっている、相続人が複数いる、というときは、申請を始める前に、土地家屋調査士や司法書士に相談して、進め方を確かめておくと、遠回りしにくくなります。滅失登記と相続登記は、相談先が別のことがあります。



相続登記の義務化とは?期限・過料と、売る前にやること

家を壊す前に、売り方も考える

滅失登記は、壊してから必要になる手続きです。ということは、「壊してから売るか、古家付きのまま売るか」を決める前に、壊した後の手間も見ておくと判断しやすくなります。

古家付きのまま売る場合、解体も滅失登記も買主側で行う形が考えられます。ただし、誰が何をするかは売買の契約の内容で決まるので、不動産会社に確かめてください。一方、更地にして売ると、解体の費用に加えて、登記の手間と固定資産税の変化も自分で持ちます。

どちらが合うかは、土地の形や場所、買い手の層で変わります。比べ方は古家付き土地の売却にまとめています。相続で受け取った土地の扱いは、相続した土地の売り方も参考にしてください。



未登記建物を相続したら|売れるのか、先に確かめること

壊すかどうかを決める前に、解体費用の見当をつけておくと、比べるときの土台ができます。

よくある質問

Q. 滅失登記を忘れたまま、土地を売ることはできますか?

登記簿に建物が残っていると、決済の前に済ませるよう求められることがあります。日程がずれるおそれがあるので、売る前に済ませるほうが安全です。求められた場合の扱いは、不動産会社に確認してください。

Q. 期限を過ぎてしまいました。もう申請できませんか?

期限を過ぎたからといって、申請の義務がなくなるわけではありません。気づいた時点で早めに動いてください。過料の扱いなど、個別の状況は法務局か土地家屋調査士に確認しましょう。

Q. 解体業者に、滅失登記まで頼めますか?

解体業者が、資格なしに報酬を受けて申請を代わりに行うことはできません。他人の依頼で建物の登記の申請を行うことは、土地家屋調査士や司法書士など、法律で決まった資格者の仕事だからです。契約の前に、業者がどこまで対応するのか、資格者の紹介があるのかを聞いてください。

Q. 火事や災害で建物がなくなった場合も、滅失登記は要りますか?

建物がなくなったという点は同じで、取り壊しに限らず、滅失登記の対象になります。証明する書類は、状況によって変わります。法務局か調査士に確認してください。火事で焼けた家の土地を売る場合の全体の順番は、火事で焼けた家の土地を売るにまとめています。

Q. 費用はいくらかかりますか?

金額は事務所ごとに違い、変わることもあるので、この記事では書きません。自分で申請するか、調査士に頼むかでも変わります。複数の見積もりを取って比べてください。

まとめ

  • 建物滅失登記は、壊した建物を登記簿から消す手続きで、建物が無くなった日から1か月以内が期限
  • 登記簿に古い建物が残ると、決済の直前に消すよう求められ、日程がずれるおそれがある。売る前に済ませたい
  • 申請するのは登記簿の名義人。元から未登記の建物は話が別なので、先に登記簿を取って確かめる
  • 自分でやるか調査士に頼むかは、平日に動けるか、書類がそろうか、相続が絡むかで決める。費用は複数の見積もりで比べる
  • 解体の契約前に、取り壊しの証明書を出してもらえるかを確かめておく

この記事の監修者:十坪とつぼさん(宅地建物取引士)
東京23区で土地の仕入れ営業を担当する宅地建物取引士。狭小地・旗竿地・古家付き土地など、小さくて売りにくい土地を日々見ている。

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