仲介の売主が囲い込みを確かめる方法|レインズの登録証明書と、狭小地で起きやすい理由
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不動産会社に頼んで売り出したのに、1か月たっても内覧がほとんど入らない。そんなとき、ふと「うちの土地は囲い込まれているのでは」と心配になる方がいます。
ただ、狭小地や旗竿地、古家付きの土地は、もともと買い手が限られます。反響が少ないだけで、囲い込みと決めつけることはできません。この記事では、疑う前に「確かめる」手順をまとめました。レインズの登録証明書、他社サイトの掲載、反響の報告の3つを、営業担当への聞き方まで書いています。
結論
囲い込みかどうかは、レインズの登録内容・他社サイトでの掲載・反響の報告という3つの材料で確かめられます。
狭小地は単に売れにくいだけのことも多いので、まず「事実」を集め、そのうえで担当者に聞くのが順序です。確かめた結果、不安が残るなら、媒介契約の切り替えも選べます。
囲い込みとは?売主に起きる損
囲い込みとは、売主から預かった物件を、ほかの不動産会社に紹介しないで抱え込むことです。売主と買主の両方から手数料をもらう「両手取引」をねらって起きるとされています。
こと
1つの不動産会社が、売主と買主の両方から仲介手数料をもらう取引のことです。両手取引そのものは違法ではありません。問題になるのは、そのために他社からの紹介を断ってしまう場合です。
なぜ売主に損なのか。例えば土地価格が3,000万円の取引(仮の数字)で、仲介手数料の上限は「3,000万円×3%+6万円」で96万円、税込みで105万6,000円になります。1社が売主と買主の両方から上限まで受け取れば、その倍の211万2,000円(税込み)になる計算です。会社には魅力の大きい取引です。
一方、売主にとっては、買い手を探す窓口が自社のお客さんだけに狭まります。本当は買いたい人がほかにいても、その人に情報が届かない。これが売主にとっての損です。手数料の上限の考え方は、仲介手数料の上限と、払う額の計算のしかたで整理しています。
狭小地・旗竿地で「囲い込みか売れにくいだけか」迷う理由
狭小地は、囲い込みを疑う状況と、単に売れにくい状況が、外から見るとほとんど同じに見えるのが難しいところです。どちらも「問い合わせが少ない」「内覧が入らない」という形で現れるからです。
売れにくさの理由は、土地の側にもあります。
- 旗竿地は、通路の幅や形で、建てられる家が大きく変わる
- 古家付きの土地は、買い手が解体費を気にする
- 狭小地は、3階建てが建つか、駐車場が取れるかで判断が分かれる
- 買い手の中心が建売業者などに限られ、一般の人の問い合わせが少ない
ここに
「反響が少ない=囲い込み」とは限りません。土地の条件が理由なら、会社を変えても結果は同じです。まず事実を確かめてから、担当者に話を聞きましょう。土地の条件で売れにくいときの原因の探し方は、土地が売れない原因の見分け方にまとめています。
見分ける材料は3つです。次の章から順に見ていきます。
囲い込みか売れにくいだけかを確かめる3ステップ
- レインズの登録を見る登録証明書で、登録の日付・内容・取引状況を確かめる
- 他社サイトでの掲載を見る複数の不動産サイトで、同じ土地が出ているか調べる
- 反響の報告を聞く問い合わせ・内覧の数と、断られた理由を担当者に聞く
レインズの登録証明書で確かめる
最初に見るのは、レインズです。専任媒介・専属専任媒介の契約では、売主は登録証明書を受け取れます。ここから登録の状況を確かめます。
こと
レインズは、不動産会社どうしが物件の情報を共有するネットワークです。登録証明書は、物件を登録したことを示す書類で、売主に渡されます。仕組みは専属専任・専任・一般媒介の違いでも解説しています。
見るポイントは次のとおりです。
- 登録された日付は、契約日から決まった日数以内か(専任媒介は7日以内、専属専任媒介は5日以内。休業日を除く。宅建業法施行規則)
- 物件の情報(価格・面積・道路の条件など)が、媒介契約の内容と合っているか
- 「取引状況」が、実際の状況と合っているか
取引状況とは、「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3つの表示です。国土交通省によると、2025年(令和7年)1月1日から、専任媒介・専属専任媒介の物件について、この取引状況をレインズに登録することが不動産会社の義務になりました(宅建業法施行規則の改正。出典:国土交通省の報道発表「レインズの機能強化について」2024年12月24日)。
売主は、登録証明書に載っている二次元コード(2025年1月4日から掲載)から、売主専用画面を開けます。画面を見るには、証明書にある確認用のIDとパスワードが要ります。画面の使い方が分からないときは、担当者に聞いてください。
見つけやすい違和感は、たとえば次のようなものです。
登録証明書で
- 登録の日付が、契約から大きく遅れている
- 取引状況が「書面による購入申込みあり」なのに、売主は何も聞いていない
- 取引状況が「売主都合で一時紹介停止中」なのに、そう頼んだ覚えがない
- 価格や面積が、媒介契約書と違う
一般媒介の契約では、レインズへの登録は法律上の義務ではありません(宅建業法は専任媒介契約の登録義務を定めています)。登録証明書の交付義務も、専任系の契約についてのものです。レインズの状況を確かめたいなら、契約前に「レインズに登録してもらえますか」「登録証明書は受け取れますか」と聞き、契約書にどう書いてあるかも見ておきましょう。なお、買いたいという申込みがあったときに、遅滞なく売主へ知らせる義務は、一般媒介を含むすべての媒介契約にあります。
他社サイトでの掲載と、反響の報告で確かめる
レインズが「公開中」でも、それだけで安心はできません。実際に他社が扱っているかを、売主自身の目で確かめます。
他社サイトに載っているかを見る
SUUMOやアットホームなどの不動産サイトで、自分の土地の所在地・面積・価格で検索します。ポイントは次のとおりです。
- 担当会社以外のサイトにも、同じ土地が出ているか
- 掲載の情報(写真・間取りの想定・道路の条件)が、担当会社が出した資料と同じか
- 価格が、売り出し価格と合っているか
ほかの会社が掲載しているなら、レインズ経由で情報が流れているサインです。ただし、載っていないから囲い込みだとは言い切れません。狭小地は、載せても反響の少ない土地です。会社が広告を絞る場合もあります。「載っていない」は、疑いではなく、担当者に聞くきっかけと考えましょう。
反響の報告をもらう
専任媒介は2週間に1回以上、専属専任媒介は1週間に1回以上、販売の状況を売主へ報告する義務があります。契約の有効期間は3か月が上限です(出典:宅建業法)。その報告の中身を見てみます。
見たいのは、問い合わせと内覧の件数、そして「他社からの紹介の有無」です。ここが抜けた報告なら、聞く価値があります。
他社の意見を聞くときの注意
もう1つ、ほかの不動産会社に「この土地をどう見ますか」と相談し、意見を聞く方法があります。査定や売り方の意見は、媒介契約を結んでいなくても聞けます。
ただし、守ってほしいことが2つあります。
- 買い手のふりをした問い合わせを、頼まない。 実際には買う気のない問い合わせは、相手の会社の手間になり、事実でない話を伝えることにもなります。「確かめるため」でも、虚偽の依頼はやめましょう
- 専任媒介・専属専任媒介の契約中は、ほかの会社に売却の仲介を頼まない。 意見を聞くのは構いませんが、仲介の依頼は契約違反になります
物件が他社に紹介できる状態かは、まず売主専用画面の取引状況と、担当者への質問で確かめられます。それでも疑いが残るときは、次の章の動き方を考えましょう。
営業担当への聞き方と、疑いが残ったときの動き方
確かめる材料がそろったら、担当者に聞きます。責めるのではなく、「状況を教えてください」と頼む言い方が大切です。そのほうが、事実を正直に出してもらいやすくなります。
聞き方の例を並べます。
| 確かめたいこと | 聞き方の例 |
|---|---|
| レインズの登録 | 「登録証明書を見せていただけますか。取引状況の欄も確認したいです」 |
| 他社からの問い合わせ | 「ほかの不動産会社から、紹介の問い合わせは何件ありましたか」 |
| 断った理由 | 「紹介を断った案件があれば、理由を教えてください」 |
| 反響の中身 | 「内覧が入らないのは、価格・形・道路の条件のどれが理由だと見ていますか」 |
| 今後の方針 | 「次の2週間で、広告や価格をどう見直しますか」 |
担当者の答えが具体的で、数字や記録が出てくるなら、疑いは小さくなります。「ちょっと調べて連絡します」と言われたなら、その連絡がいつ来るかも確かめておきましょう。回答が曖昧、あるいは記録を出さないという場合は、次の動きを考えます。
疑いが残ったときの2つの動き
今の会社に続けてもらう
- 報告の頻度や中身を、書面で頼む
- 価格や広告の見直しを話し合う
- 期間満了までに結果が出なければ見直す
契約を切り替える
- 期間満了で、一般媒介に切り替える
- ほかの会社の査定や意見も聞く
- 途中解約は、費用の請求がありうる
専任媒介・専属専任媒介の有効期間は3か月以内で、自動では更新されません。切り替えの仕方や、途中で解約したときの費用は、媒介契約の記事に書いています。まず期間満了のタイミングを確認しておくと、慌てずに済みます。
仲介会社を悪者にする必要はありません。多くの会社は、他社との情報共有を当たり前に行っています。大切なのは、事実を確かめる売主の姿勢です。事実に沿って聞いてくれる売主には、担当者も事実で答えやすくなります。
ポイント
確かめるのは、疑うためではありません。土地の売れにくさを、担当者と同じ事実で見られるようにするためです。担当者を変える前に、事実を2〜3個そろえておきましょう。
今の会社の動き方に不安があり、ほかの会社の意見も聞いてみたい。そんなときは、売却の進め方を整理するところから、一緒に考えます。
囲い込みを避けるために、契約前にできること
囲い込みを完全にゼロにする方法はありません。ただ、契約の前にいくつか確かめておくと、後で見えにくくなる事態を減らせます。
契約前に
- レインズに登録して、登録証明書を渡してもらえるか
- 他社から問い合わせがあったとき、どう対応するか
- 報告は、いつ・どの方法で・何を知らせてもらえるか
- 広告は、どのサイトに、どのくらいの範囲で出すか
- 売り出し価格の根拠(周辺の取引事例など)
もう1つの手は、複数の会社に査定を頼んでおくことです。査定額と、土地への見方を並べると、どの会社が土地の条件を理解しているかが見えてきます。査定額が会社で違う理由は、狭小地の査定額が会社で違う理由で解説しました。窓口を1つにして比べたいときは、一括査定サイトの使い方も参考になります。
売り出してから反響が少なくても、「会社を変えれば売れる」とは限りません。土地の条件が理由なら、売り方の見直し(価格・古家を解体するか・買取も比べるか)が必要になります。形が難しい土地については、旗竿地が売れない理由と売り方や狭小地が売れない理由と売る方法も役に立ちます。
土地がいくらくらいで売れそうか、複数の会社の査定額を並べてみると、今の売り出し価格が妥当かどうかも見えてきます。
よくある質問
Q. 囲い込みは違法ですか?
両手取引そのものは違法ではありません。一方、国土交通省は、囲い込みを「売主・買主双方の媒介を行うことを目的として、故意に物件の取引状況を隠し、売主の意向に反して物件の紹介を行わないような行為」と説明し、売主や買主の利益を損なう可能性があるものとしています。例として、事実に反して「売主都合で一時紹介停止中」と登録することを挙げています(出典:国土交通省「レインズの機能強化について」2024年12月24日)。
ただし、どの行為が宅建業法のどの規定に当たるかは、個別の事情で変わります。この記事では、特定の会社が違法かどうかを判断しません。判断に迷うときは、不動産会社を指導する都道府県の宅建業の窓口や、弁護士などの専門家に相談してください。
Q. 一般媒介なら囲い込みは起きませんか?
一般媒介は複数の会社に頼めるので、1社だけに情報が閉じ込められる形にはなりにくいと言えます。ただ、よその会社で売れると自社の報酬にならないため、広告や調査の手間を抑える会社もあります。起きにくいことと、起きないことは別です。レインズへの登録や報告は、個別に頼んでおきましょう。
Q. 登録証明書をもらえないと言われました
専任媒介・専属専任媒介の契約では、売主はレインズの登録証明書を受け取れるはずです。専任媒介の登録をした不動産会社は、登録証明書を、遅滞なく売主に渡さなければなりません(宅建業法)。契約書の内容を確認し、交付がない理由を担当者に聞いてみてください。説明に納得できなければ、期間満了で別の会社に切り替える方法もあります。
Q. 反響が少ないのは、囲い込みでしょうか、それとも土地のせいでしょうか?
外からは見分けにくいので、この記事の3つの材料(レインズの登録・他社サイトの掲載・反響の報告)で確かめましょう。それでも判断がつかないときは、別の会社の意見を聞くと、土地の条件による売れにくさなのか、売り方の問題なのかが見えやすくなります。
Q. 買取業者に売れば、囲い込みを気にしなくてよいですか?
買取業者に直接売る取引は、仲介ではないため、囲い込みは起きません。ただし、価格は仲介より下がりやすくなります。仲介と買取のどちらが合うかは土地の条件しだいなので、土地の売却の相談先で窓口の違いを整理してから決めると安心です。
まとめ
- 囲い込みとは、預かった物件を他社に紹介せず抱え込むこと。売主は、買い手に届く窓口が狭まる損を受けやすい
- 狭小地・旗竿地・古家付き土地は、囲い込みと「単に売れにくい」が外から同じに見えるため、決めつけない
- 確かめる材料は、レインズの登録証明書・他社サイトの掲載・反響の報告の3つ
- 担当者には、責めずに「状況を教えてください」と聞く。回答が曖昧なら、期間満了での切り替えも選べる
- 契約の前に、レインズ登録・報告の方法・他社対応を確かめておくと、後で見えにくくなる事態を減らせる
売り出し中の土地の進め方に不安がある方は、下のボタンから、状況を整理するところから相談を受け付けています。


