土地が売れない原因の見分け方|買い手が「できないこと」から探す
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「売りに出して何か月もたつのに、問い合わせがほとんど来ない」。そんなとき、まず頭に浮かぶのは値下げかもしれません。ただ、値下げで解決するのは、原因が値段にあるときだけです。
土地が売れない原因は、売主の側から見ると「狭い」「古い」「形が悪い」といった、土地の名前で語られがちです。でも買う人の側から見ると、見え方が違います。買い手が知りたいのは、その土地で「何ができないのか」です。この記事では、その見方で原因を5つに分け、自分の土地がどれに当たるかを絞り込みます。
結論
売れない原因は、買い手の側から見ると「建てられない」「ローンを組めない」「すぐ使えない」「権利が整っていない」「値付けが合っていない」の5つに分けられます。
それぞれ、役所や法務局で確かめられる場所があります。原因が絞れれば、次に読む記事も、仲介で進めるか買取も比べるかも決まります。買取が答えになるとは限りません。
買い手の側から見ると、土地が売れない原因は5つに分かれる
買い手は、土地を買う前に、頭の中でだいたい次の順番で確かめています。ここで引っかかると、売主がどれだけ待っても、問い合わせは増えません。
買い手が土地を見るときの5つの確認(診断の順番)
- 建てられるか道路との接し方、建物の大きさ、がけや擁壁
- ローンを組めるか銀行が担保として見てくれるか
- すぐ使えるか古家・荷物・境界のはっきりしなさが残っていないか
- 権利が整っているか名義・共有・差押えなど、買っても大丈夫か
- 値段が合っているかその土地を欲しがる人の数に見合う価格か
売主の事情(相続した、急いでいる)は、この5つの確認には出てきません。買い手は、土地が自分にとって使えるかだけを見ています。だから診断も、買い手の順番で進めます。
ポイント:
「狭小地だから売れない」「旗竿地だから売れない」と考えると、手が止まります。「建てられないのか、ローンなのか、権利なのか」と分けて考えると、確かめる場所が決まります。土地の形そのものの解説は、それぞれの記事に譲ります。ここでは「どれに当たるか」を決めるところまでです。
複数に当たる土地もよくあります。1つ当たったら終わりにせず、5つとも確認してみてください。古い家が建っている土地なら、家のせいか土地のせいかを先に分ける方法を築古の家が売れないときで説明しています。
診断1|買い手はそこに家を建てられるか
建てられるかどうかは、買い手が最初に見るところです。建てられない、あるいは希望の家が建たない土地は、住宅を探す人がそもそも候補に入れません。
自分の土地が当たるかは、区役所で分かります。 区役所の建築の担当窓口(名称は区によって違います)に、地番を伝えて、次の3つを聞いてください。窓口が分からないときは、区役所の代表窓口で「建築の指導を扱う課はどこか」と聞けば案内してもらえます。
- 家の前の道は、建築基準法上の道路か
- 敷地が、その道路に接している幅はどれだけか
- 建て替えのときに、敷地を後ろに下げる必要(セットバック)はあるか
家を建てる土地は、原則として道路に2m以上接していないといけない決まり(接道義務。建築基準法の接道の規定)があります。ここを満たさないと、建て替えができません。
答えごとに、読む記事が変わります。
| 区役所で言われたこと | 次に読む記事 |
|---|---|
| 前の道が道路ではない、または接する幅が足りない | 再建築不可の土地の売却方法、道路に2m接していない土地の売り方 |
| 通路の幅で敷地に入る形(旗竿の形) | 旗竿地の評価と売り方 |
| 道路の中心から下がる必要がある | セットバックが必要な土地の売却 |
| 三角や台形など、形がいびつ | 不整形地の価値の決まり方 |
| 道路より高い、または低い。擁壁がある | 高低差・擁壁のある土地の売却 |
土地の前の道が建築基準法上の道路かどうかは、見た目では分かりません。舗装されて車が通っていても、道路として扱われていないことがあります。
診断2|買い手は住宅ローンを組めるか
個人の買い手の多くは、住宅ローンを使って買います。銀行がその土地を担保として低く見ると、ローンが通りにくくなり、買える人が現金で買える人だけに絞られます。問い合わせが少ない大きな理由です。
自分の土地が当たるかは、診断1の答えと、登記事項証明書(法務局で取れる、土地の名義や権利を記した書類)で分かります。 次の3つのどれかに当たると、ローンは慎重に見られることがあります。ただし、判断は金融機関や土地の状況によって分かれます。
- 診断1で「建て替えできない」と言われた
- 土地は人から借りていて、建物だけが自分のもの(借地権)
- 土地が共有名義で、自分の持分だけを売りたい
もう1つ、簡単に確かめる方法があります。査定を頼むとき、不動産会社に「住宅ローンを使う買い手を想定した査定ですか、現金で買う人を想定した査定ですか」と聞いてください。答えが「現金の買い手」なら、その会社は、ローンが使いにくい土地だと見ている可能性があります。
- ローンが使いにくい理由が建て替えできないこと:再建築不可の土地の売却方法
- 建ぺい率・容積率がいまの基準を超えている家:既存不適格建築物の売り方
- 借地権の建物:借地権付きの家の売却方法
- 共有持分:自分の持分だけ売る方法
こと
お金を貸した銀行が、返してもらえないときに、代わりに売って回収できる土地や建物のことです。売っても回収しにくい土地は、担保としての評価が低くなり、ローンが通りにくくなります。
診断3|買い手は買ってすぐ使えるか
買ってから手間がかかる土地は、買い手が避けます。解体、片付け、境界の確認。費用も時間もかかるからです。個人の買い手はこの手間を嫌い、業者は手間の分を価格から引きます。
自分の土地が当たるかは、現地で3つ見れば分かります。
- 古い建物が建ったままか。中に家財や荷物が残っていないか
- 隣との境に、境界標(境目を示す杭や金属のプレート)があるか。角を見て回ってください
- 隣の屋根や塀、枝が敷地にはみ出していないか。逆に、自分の物がはみ出していないか
境界標が見つからなければ、法務局で「地積測量図」(土地の面積や境界を測った図)が取れるかを確認します。図がなければ、測量が必要になることがあります。
| 現地で見たこと | 次に読む記事 |
|---|---|
| 古い家が建ったまま | 古家付き土地の売却と解体の判断、木造の解体費用 |
| 境界標が見つからない、隣と話していない | 境界が決まっていない土地の進め方 |
| 屋根や塀がはみ出している | 越境の覚書と解消のしかた |
| 測量した図がない | 土地の測量費用 |
ここに
古家を先に解体してから売り出すのは、判断を急がないでください。解体費用をかけても、その分だけ高く売れるとは限らないからです。まず原因が診断3なのかを確かめ、解体するかは、売り方を比べてから決めます。
原因が診断1〜3にあるかもしれない、と感じたら、次の一歩を一緒に考えることもできます。
診断4|権利は整っているか
権利が整っていない土地は、買い手が決まりかけても、契約の直前で止まります。売る側が1人で決められない、または名義が違うと、買い手は安心して買えません。
自分の土地が当たるかは、登記事項証明書で分かります。 法務局で取れます。次の3点を見てください。
- 所有者の欄が、いま売ろうとしている人の名前になっているか。亡くなった親の名前のままではないか
- 所有者が複数いないか(共有名義)
- 差押えなど、自由に売れなくなる登記がついていないか
| 登記で見つかったこと | 次に読む記事 |
|---|---|
| 名義が亡くなった親のまま | 相続登記の義務化と土地の売却、相続した土地を売る流れ |
| 兄弟などとの共有名義 | 共有名義の土地を売るには、共有持分の売却 |
| 差押えがついている | 不動産に差押えがついたら |
権利の問題は、土地の形や建物と違い、外から見えません。だから売主自身が気づいていないことも多いのです。名義は一度、登記事項証明書で見ておきましょう。差押えの登記がついていたときの進め方は、不動産に差押えがついたらにまとめています。
診断5|値段の付け方が、その土地の買い手に合っているか
診断1〜4のどれにも当たらないなら、原因は値段の付け方かもしれません。ここが、仲介で売れる土地との分かれ目です。
土地の値段は、周りの広い土地の相場をそのまま当てはめると、ずれることがあります。その土地を欲しがる人の数は、広い土地より少ないからです。買い手の母数が小さい土地に、母数の大きい土地の相場を当てると、割高に見えて反響が出ません。
自分の土地が当たるかは、反響の数で分かります。 売り出し中なら、不動産会社に次の3つを聞いてください。
- 問い合わせは何件あったか。内覧まで進んだのは何件か
- 問い合わせをした人は、どんな買い手だったか(個人か、業者か)
- 近い条件で成約した取引の価格は、いくらだったか
問い合わせも内覧も少ないなら、値段か売り先に問題があります。内覧はあるのに決まらないなら、診断1〜4のどこかで、内覧のあとに買い手が引いている可能性があります。
相場の調べ方は土地の相場の調べ方、査定額が会社で違う理由は査定額の見られ方、値下げの前に見直すことは狭小地が売れない理由と対策にまとめています。
診断のあと|仲介で進める土地と、買取も比べる土地
診断の結果によって、進み方は変わります。診断5だけに当たる土地は、まず仲介で進められます。診断1〜4のどれかに当たる土地は、一般の買い手が限られるため、専門の買取業者も比べる価値があります。
診断の結果と、進み方の目安
診断5だけに当たる
- まず仲介で、値付けと売り先を見直す
- 複数の会社の査定額を比べる
- 反響を見て、価格を調整する
診断1〜4のどれかに当たる
- その問題を扱える相手に相談する
- 仲介と買取の両方で条件を比べる
- 隣地や関係者に売る道も探す
診断1〜4のうち、時間をかければ直せるもの(名義の変更、境界の確認、荷物の片付けなど)は、直してから仲介に出す道もあります。直しにくいもの(建て替えできない土地、借地権、共有持分)は、そのまま買える相手を探す道もあります。
診断の
- 区役所で、前の道の種類と接している幅を聞いたか
- 銀行のローンが使えるかを、不動産会社に聞いたか
- 現地で、建物・荷物・境界標を見たか
- 登記事項証明書で、名義と差押えを確かめたか
- 問い合わせと内覧の数を聞き、値付けを確かめたか
売り方の全体像は、訳あり不動産の種類と、買取の使いどころで整理しています。買取会社に相談する場合は、買取業者の選び方で見積もりの確認点を先に読んでおくと安心です。複数社の査定を比べたいときは、一括査定サイトの使い方も参考になります。
建築や権利の理由でふつうの仲介では買い手が見つかりにくいときは、その状態のまま買取価格を出してくれる会社があります。買取は仲介より価格が下がりやすいので、仲介の査定と並べて比べてください。申し込むと、電話やメールで連絡が来ます。対象の土地や地域は会社ごとに違います。
申し込みのときは、物件の種類を選ぶ欄があります。選択肢は、共有持分・再建築不可・事故物件・借地・底地・空き家・その他です。いちばん近いものを選び、合うものがなければ「その他」を選んでください。状況は、画面の案内に従って伝えます。
よくある質問
Q. 土地が売れないとき、まず値下げしたほうがいいですか?
先に原因を確かめてください。建てられない、ローンが組めない、権利が整っていないといった原因は、値下げをしても解決しにくいからです。診断1〜4に当たらないと分かってから、値付けを見直しても遅くありません。
Q. どの診断に当たるのか、自分では判断できません。
区役所で前の道の種類と接する幅を聞き、法務局で登記事項証明書を取れば、診断1と診断4はご自身で確かめられます。診断2と診断5は不動産会社への質問で分かります。それでも迷うときは、売り方を整理する相談も使ってください。
Q. 診断に当たっても、買取に出さなければならないのですか?
そんなことはありません。診断に当たった内容によっては、仲介や隣地への売却で進む土地もあります。買取は選択肢の1つです。仲介と比べて、価格・時間・手間で選んでください。
Q. 複数の診断に当たっています。どれから手をつければいいですか?
診断1(建てられるか)と診断4(権利)を先に確かめてください。この2つは、あとから売り方が変わる原因になりやすいからです。1と4の結果しだいで、診断2、3の見え方も変わります。
まとめ
- 売れない原因は、買い手から見ると「建てられない・ローンが組めない・すぐ使えない・権利が整っていない・値付けが合っていない」の5つに分けられます。
- 区役所で前の道を聞き、法務局で名義と差押えを確かめ、現地で建物や境界標を見れば、自分の土地がどれに当たるかは、ご自身で絞り込めます。
- 診断5(値付け)だけに当たる土地は、まず仲介で進められます。診断1〜4のどれかに当たる土地は、買取も比べて選んでください。
- 値下げは最後の手段です。原因を確かめてから、次の一手を決めるのが近道です。
原因の見当がついたら、次の一歩の進め方を一緒に整理します。



