不動産に差押えがついたら|売れるのか、先に確かめること
本ページにはプロモーション(広告)が含まれています。
役所や金融機関から「差押え」の通知が届いた。あるいは、登記簿を見たら差押えと書かれていた。頭が真っ白になって、「この家や土地は、もう売れないのだろうか」と考えている方もいるでしょう。
先に言うと、差押えがついたからといって、すぐに何もできなくなるわけではありません。ただ、放っておくと、自分では決められない形で手放すことになりかねません。この記事では、差押えとは何が起きた状態なのか、誰が差し押さえたかで流れがどう違うのか、先に何を確かめるべきか、誰に相談するのかを、順番に説明します。
結論
差押えは、その不動産を自由に売り買いできなくする手続きで、登記簿にも記録されます。それでも、差押えをした側(債権者)と話がつけば、売れる場合があります。
最初にやることは、登記事項証明書で「誰が」差し押さえたかを確かめることです。税金なら役所の納税の窓口、ローンなら金融機関、法律の争いになっているなら弁護士や司法書士と、相談先が変わります。期限は事案ごとにまったく違うので、届いた書面を持って、早めに動いてください。
不動産の差押えとは?何が起きている状態か
差押えとは、お金を返してもらうために、その不動産を勝手に売ったり手放したりできないようにする手続きです。持ち主が変わるわけではなく、まだ名義は自分のままです。
こと
お金を貸した側(債権者)が、返してもらえないときに、相手の財産を押さえて、自由に処分できなくすることです。不動産の場合は、その旨が登記簿にも記録されます。
差押えがつくと、その事実は登記簿の権利部(所有者などが書かれている欄)に載ります。買おうとする人は、売買の前に必ず登記簿を確かめます。そのため、差押えが残ったままだと、ふつうの買い手はまず付き合ってくれません。「売れなくなる」と言われる大きな理由は、ここにあります。
なお、差押えは「所有権がなくなった」という意味ではありません。あくまで、お金が返るまで動かせない状態、と考えてください。
誰が差し押さえたかで、その後の流れが違う
税金の滞納なら役所、ローンの返済ならお金を貸した金融機関が差し押さえます。相手が違うと、話し合いの窓口も、選べる手段も違います。
差押えをした相手による違い
税金の滞納(役所)
- 国税なら税務署、地方税なら課税した都や区市町村の窓口が動く
- 督促の書面が先に届くのがふつう
- 滞納を解消できれば、差押えが解除される
ローンなどの返済(債権者)
- お金を貸した金融機関や保証会社が動く
- 返済が滞ると、裁判所を通した売却手続きに進むことがある
- 債権者の同意があれば、市場で売る道が残る場合がある
税金の滞納の場合、まず督促状が届き、それでも納めないと差押えに進むのが一般的です。差押えのあとは、役所が不動産を売って滞納分に充てる手続き(公売)に進むこともあります。
ローンの場合は、家や土地を担保に入れている(抵当権がついている)のがふつうです。ローンが残る土地の売り方は抵当権抹消の費用と順番にまとめています。返済が続かなくなると、貸した側が裁判所に申し立てて、不動産を強制的に売る手続き(競売)に進むことがあります。その手続きが始まると、差押えの記録が登記簿につきます。
どちらの場合も、「いつまでに何をすればどうなる」という期間は、事案によってまったく違います。この記事では、ありがちな期間の目安は書きません。手元の書面に書かれた期限と、担当窓口で聞いた内容がすべてです。
差押えがついたままでも売れる場合がある
差押えをした債権者が同意すれば、差押えがついた状態から売却に進める場合があります。売却の代金で債権者にお金を返し、差押えを外してもらう、という形です。
ローンの返済が滞った場合に、競売にせず、債権者の同意を得て市場で売る方法を、一般に任意売却と呼びます。
こと
ローンが返せなくなった家や土地を、裁判所の競売にかけず、債権者の同意を得て、ふつうの売買として売ることです。売った代金は、債権者への返済に回ります。
税金の差押えでも、考え方は似ています。売却代金から滞納分を納めて、差押えを解除してもらう、という進め方があります。ただし、役所が応じてくれるかどうかは、滞納の額や状況、担当窓口の判断で変わります。
ここで大事なのは、債権者の同意なしに、自分の判断だけで売ることはできないという点です。買い手も、差押えが外れる見通しが立たなければ、契約に進みません。
競売と、ふつうの売却の違いを、次の表にまとめます。
| 項目 | 競売になった場合 | 債権者の同意で売る場合 |
|---|---|---|
| 売る主体 | 裁判所の手続き | 持ち主自身 |
| 売り方の自由度 | 自分では決められない | 買い手や時期をある程度選べる |
| 売却価格 | 分からない(事案で違う) | 分からない(事案で違う) |
| 債権者の同意 | 不要 | 必要 |
売却価格は、どちらの場合も、物件と状況で変わります。この記事では、どちらが高い・低いという見込みは書いていません。
まず確かめること:登記簿・書面・滞納額
最初にやるのは、「いま何が起きているか」を書面で確かめることです。思い込みで動くと、相談先を間違えます。
確かめることは、次の3つです。
先に
- 登記事項証明書で、差押えが記録されているか。記録されていれば、誰が(債権者の名前)差し押さえたか
- 滞納している税金やローンの総額(元本と、延滞にかかる分を含めた額)
- 手元に届いた督促状・通知書の期限と、問い合わせ先
差押えの通知が来てから、最初にやること
- 届いた書面を全部そろえる督促状・通知書の期限と問い合わせ先を見る
- 登記事項証明書を取る差押えの有無と、債権者の名前を確かめる
- 差し押さえた相手の窓口に連絡する滞納の総額と、今後の手続きを聞く
- 売り方を並べて考える専門家や買取会社の見立ても聞く
登記事項証明書の取り方
法務局の窓口で、地番(土地の住所にあたる番号)か家屋番号を伝えれば取れます。オンラインでも請求できます。
見るのは、権利部の甲区と乙区です。ざっくり言うと、甲区には所有権に関すること(所有者や差押え)が、乙区には所有権以外の権利(抵当権=ローンの担保など)が書かれています。税金の差押えも、競売の開始による差押えも、同じ甲区に載ります。差押えの記録には、債権者の名前や日付が出ています。
書面が届いたら
督促状や差押えの通知書は、捨てずに全部取っておいてください。相談に行くとき、書面があるかどうかで、話の進み方が変わります。「いつまでに」「どこへ連絡を」が書かれているので、まずそこを見ます。
書面を無視するのは、いちばん避けたい対応です。連絡が取れないまま時間が過ぎると、自分で選べる手段がどんどん減ってしまいます。
相談先の使い分け
相談先は、差押えの相手で決まります。ほとんどの場合、最初に話すのは、差し押さえた側の窓口です。
| 状況 | 最初の相談先 |
|---|---|
| 税金の滞納で差押えの通知が来た | 通知に書かれた役所の窓口(税務署、都や区市町村の税の担当窓口など。名称は自治体で違います) |
| ローンの返済が滞っている | ローンを借りた金融機関、または保証会社 |
| 債権者との話し合いや、法的な手続きが必要 | 弁護士(法律の争いや交渉の代理)、司法書士(登記や書類作成) |
| 税金の額や計算に不安がある | 税理士 |
| 今の状態でいくらで売れるか | 訳あり物件を扱う買取会社 |
税金の滞納は、役所によっては分割納付などの相談に応じてもらえる場合があります。応じてもらえるかは、状況と自治体ごとの運用で違うため、この記事では条件や手順を書きません。窓口で、書面を見せながら聞いてください。
債権者との交渉のしかたや、法的な手続きにどう対応するかは、弁護士や司法書士の領域です。この記事では、「こうすべき」という助言はしません。自分で判断せず、専門家に相談してください。総合的な窓口の探し方は弁護士・司法書士など専門家ごとの相談先の表にまとめています。
差押えの通知が来て、まず何を確かめて誰に相談すればいいか分からない場合は、手順を一緒に整理します。
買取が向くのはどんなとき?
債権者の同意が見込めて、なるべく早く現金にしたいときは、買取が選択肢になります。ただし、買取なら差押えが自動的に外れるわけではありません。
買取会社は、その状態の不動産を、そのまま買い取る会社です。差押えがついた物件を扱えるかは、会社ごとに違います。共有名義だったり、再建築不可だったりと、ほかにも訳ありの要素が重なるときは、専門に扱う会社のほうが話が早いことがあります(訳あり物件の全体像は訳あり不動産・訳あり土地とは?で説明しています)。
ポイント:
買取は、仲介で買い手を探すより価格が下がりやすい方法です。差押えを外すには、債権者の同意と、売却代金での返済が前提になります。買取の見積もりが出ても、それだけで差押えが解決するわけではありません。債権者と、買取の見積もりの、両方の話をつなげる必要があります。
向いているのは、たとえば次のようなケースです。
- 仲介で買い手を探す時間が取れない
- ほかに、共有名義・再建築不可・古家など、売りにくい事情が重なっている
- 差押えが解除できる見通しが立ち、売却代金で返済することを債権者が認めている
共有名義のまま差押えが絡むと、話がさらに複雑になります。その場合は共有名義の土地を売却するときの注意点と共有持分の売却も参考にしてください。
差押えがついた物件は、ふつうの仲介では、買い手が見つかりにくいことがあります。訳ありの不動産を専門に買い取る会社なら、今の状態のまま買取価格を出してもらえることがあります。買取は仲介より価格が下がりやすいこと、申し込むと電話やメールが来ること、対象の不動産や地域が会社ごとに違うことは、あらかじめ知っておいてください。
申し込みのときは、物件の種類を選ぶ欄があります。選択肢は、共有持分・再建築不可・事故物件・借地・底地・空き家・その他です。いちばん近いものを選び、合うものがなければ「その他」を選んでください。状況は、画面の案内に従って伝えます。
よくある質問
Q. 差押えがついた家や土地は、売れませんか?
売れない、と決まったわけではありません。差押えをした債権者の同意が得られて、売却代金で返済できる見通しが立てば、売れる場合があります。ただし、同意が得られるかは事案ごとに違うため、分かりません。まず、差押えをした相手と、書面の内容を確かめてください。
Q. 差押えは、いつ解除されますか?
滞納した税金やローンの返済がすんだときなどに、債権者が手続きをして解除されるのが基本です。解除までの期間や手続きは、債権者と事案によって違います。「いつまでに」の目安は、この記事では書けません。書面に書かれた問い合わせ先に確認してください。
Q. 差押えの登記を、自分で消すことはできますか?
差押えの登記は、税務署や役所などの差し押さえた側が、解除のあとに法務局へ依頼(嘱託)して消すのが一般的です。競売の場合は、裁判所が同じように依頼します。持ち主が自分で消す手続きではない、と考えてください。登記のことで分からない点は、司法書士に相談できます。
Q. 差押えの通知が来たあとでも、家に住み続けられますか?
差押えがついた段階では、すぐに住めなくなるわけではありません。ただし、その後の手続きの進み方で変わります。競売などに進むと、いずれ住み続けられなくなる可能性があります。手続きがどの段階にあるかを、書面と債権者への確認で把握してください。
Q. 相続した不動産に差押えがついていた場合は、どうなりますか?
相続した不動産に差押えの記録があるときは、まず、誰のどんな債務によるものかを登記簿で確かめます。相続人が債務を引き継ぐのかどうかの判断は、法律の専門的な領域です。相続には、放棄などの手続きに期限があり、不動産を売ったり手放したりする前に確かめないと、選べる手段が狭まることがあります。売却や名義変更に進む前に、弁護士か司法書士に、早めに相談してください。
まとめ
- 差押えは、不動産を自由に売り買いできなくする手続きで、登記簿にも載る。名義は変わらないが、ふつうの買い手は付き合ってくれない。
- 税金なら役所、ローンなら金融機関と、差押えの相手で話す窓口と流れが変わる。期間の目安は事案で違い、この記事では書かない。
- 債権者の同意があれば、差押えがついたままでも売れる場合がある。同意なしに自分だけで売ることはできない。
- 最初の一歩は、登記事項証明書と届いた書面で、誰が・いくらで・いつまでに、を確かめること。
- 債権者との交渉や法的な手続きは、弁護士・司法書士の領域。買取は選択肢のひとつだが、価格は下がりやすく、差押えが自動で消えるわけではない。
差押えのあと、どの窓口に何を聞くか、売り方をどう並べるかを整理したい方は、ご相談ください。

