形・法規の悩み

角地の狭小地は高く売れる?角地緩和の条件と、業者の見方

本ページにはプロモーション(広告)が含まれています。

「うちは角地だから、高く売れるはず」。そう思っている方は多いと思います。たしかに角地は、建ぺい率(敷地に対して、建物を真上から見た広さの割合)が上乗せされる「角地緩和」の対象になることがあります。

ただ、緩和があるから価格が上がる、という単純な話ではありません。買う側の建売業者は、緩和を使って実際にどんな家が建つのかから逆算して、土地の値段を考えます。

この記事では、角地緩和の条件を「売る側が知っておけばよい範囲」でまとめ、業者が角地をどう見るか、緩和が効かない土地や角地ならではのマイナス点、売る前に区役所で確かめることを説明します。

結論
角地緩和で建ぺい率が10%上がっても、容積率や高さの制限で頭打ちになれば、建てられる家はあまり増えません。
業者は「角地だから」ではなく、緩和を使い切った建物が建つか、隅切りなどで減る面積はどれくらいかで価格を決めます。
売る前に、区役所の建築指導課で「自分の土地が緩和の対象か」を確かめておくと、査定の話が早くなります。

角地は高く売れる?業者は建物の計画から逆算する

結論から言うと、角地であること自体が値段を決めるわけではありません。決めるのは、その土地に建てられる建物と、それが新築でいくらで売れるかです。

建売業者が土地を買うときの考え方は、建売業者に土地を売るには?で説明した「新築の販売価格から逆算する」流れが基本です。角地も同じ流れの中で、次のところに効いてきます。

角地が業者の逆算に効く場所(イメージ)

  1. 建築面積が増えるか角地緩和で建ぺい率が上がり、1階の広さに余裕が出るか
  2. その広さを使い切れるか容積率・道路斜線などの高さの制限で、頭打ちにならないか
  3. 減る面積はないか隅切り・セットバックで、使える敷地が小さくならないか
  4. 新築がいくらで売れそうか日当たり・駐車のしやすさなど、買い手に見える良さがあるか

角地には、よい面も不利な面もあります。業者はその両方を建物の計画に当てはめ、足し引きして仕入れ値を出します。つまり「角地だから○割高い」という決まった数字は、ありません。この記事でも、そうした数字は書きません。

角地のプラスとマイナス(価格に響く点)

価格に効きやすいプラス

  • 角地緩和で建ぺい率が上がることがある
  • 2方向から光と風が入り、日当たりを確保しやすい
  • 玄関や駐車場の位置を選びやすい

価格に効きやすいマイナス

  • 隅切りで、角の部分が使えなくなる
  • 2方向の道路から高さの制限を受ける
  • 道が狭いと、両方でセットバックが必要になる
  • 人通りや車の音、視線が気になる

狭小地では、数平方メートルの差が間取りに響きます。プラスとマイナスのどちらが大きいかは、土地ごとに違います。

角地緩和の条件|売る側が知っておくこと

角地緩和は、「角にあるから自動的に使える」制度ではありません。役所があらかじめ指定した角地だけが対象です。建築基準法の条文には「街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するもの」と書かれています。

ことばの解説:角地緩和

街区(道路で囲まれたひとまとまりの区画)の角にある敷地などで、役所が指定したものは、建ぺい率の上限に10%分が足される決まりです(建築基準法)。建ぺい率が60%の地域なら、70%まで建てられる計算になります。特定行政庁とは、建築の許可や指定を行う役所のことで、23区では区長が担う事務が多くあります(建築基準法)。どの役所が角地を指定しているかは、土地によって窓口が変わることもあるため、区役所に確かめてください。

条文には「角地」としか書かれておらず、どんな角地が対象かは、役所が決めた指定基準しだいです。道路が交わる角度、道路の幅、敷地が道路に接している長さなどが条件になることが多いのですが、数字や条件は区ごとに違います。この記事では数字を書きません。自分の土地が対象かは、区役所で確かめてください。

売る側として、次の3点だけ押さえておけば十分です。

確かめたいこと 中身 どこで聞くか
区の指定基準に当てはまるか 道路の幅・交わる角度・周囲の道路との接し方 区役所の建築指導課(地番を伝える)
隅切りが必要か 幅6m未満の道どうしが交わる角地では、角を底辺2mの三角形に空ける決まりがある(東京都建築安全条例。角の内角が120度以上なら対象外) 同じく建築指導課
ほかの緩和と重なるか 防火地域・準防火地域で、燃えにくい建物にすると別に10%上がることがある 都市計画図と建築指導課

最後の行は見落とされがちなので、少し補足します。建築基準法には、角地とは別に、防火地域や準防火地域で耐火建築物・準耐火建築物にすると建ぺい率が10%上がる決まりもあります。角地の条件と両方に当てはまれば、合わせて20%上がる計算です(根拠は建築基準法)。ただし、もとの建ぺい率が80%の地域の防火地域では、この10%の加算はなく、耐火建築物なら建ぺい率の制限そのものがなくなります。どの緩和が使えるかは、地域や建物の種類で変わるので、建築指導課で聞いてください。

つまり、建売業者は「準防火地域で準耐火の3階建てを建てる」ことを前提に、もともと10%上乗せした計画を立てていることがあります。そこへ角地緩和が加わるかどうかで、計画が変わります。

自分の土地が角地緩和の対象になるのか、区役所の建築指導課で何を聞けばよいか分からない場合は、聞くことの順番を一緒に整理します。

緩和が効く土地・効かない土地|仮の数字で計算してみる

緩和が効くのは、容積率に余裕があり、建ぺい率が先に上限にぶつかる土地です。容積率が先に上限になる土地では、緩和があっても建つ家はほとんど変わりません。

次の表は、15坪(約49.6㎡)の土地に木造3階建てを建てる場合の計算例です。数字はすべて仮のもので、特定の土地や実際の価格の話ではありません。前面道路の幅による容積率の制限や、高さの制限は考えていません。

条件A(容積率に余裕あり) 条件B(容積率が低め)
建ぺい率 60%(緩和で70%) 60%(緩和で70%)
容積率(仮) 200% 150%
1階の広さの上限 緩和なし:約29.8㎡/緩和あり:約34.7㎡ 同左
延べ床面積の上限 約99.2㎡ 約74.4㎡
3階建てで各階を同じ広さにすると 緩和なし:約89.3㎡/緩和あり:上限の約99.2㎡まで 緩和なしでも約24.8㎡×3階で収まる
緩和の効き方 延べ床が約10㎡(3坪ほど)増える 建築面積が足りているので、ほぼ効かない

条件Aでは、緩和で延べ床が約10㎡増えます。畳に直すと6畳分ほどですから、間取りに余裕が出ます。条件Bでは、容積率が先に頭打ちになるため、緩和があっても建てられる家は変わりません。

+10%角地緩和で上がる建ぺい率の幅(条文の定め)。ただし効くかどうかは、容積率や高さの制限しだい

実際の土地は、この表より複雑です。前面道路の幅が狭いと容積率が下がったり、高さの制限で3階が思うように取れなかったりします。15坪前後の土地の建築計画は、10坪・15坪の土地は売れる?建つ家と売り方と狭小地の間取りはどうなる?でも仮の数字で計算しています。

業者が見るのは、この「効くか、効かないか」です。緩和が効く土地は、仕入れの計算で見込める延べ床が増えます。効かない土地は、角地でも普通の土地と同じ計算になります。



10坪・15坪の土地は売れる?建つ家と売り方

角地で価格が下がりやすい4つの点

角地は、緩和のプラスを、隅切りや高さの制限が打ち消すことがあります。売る前に、次の4点に当てはまるか見ておきましょう。

1. 隅切りで、角の部分が使えなくなる。 道が交わる角を三角に空ける決まりで、空けた部分には、建物や、通行のじゃまになる塀などは建てられません(道路面から高さ4.5mを超える部分を除く)。この部分が敷地面積に数えられるかは、扱いが分かれることがあるので、区役所に確かめてください。詳しくはセットバックが必要な土地の売却の隅切りの項を見てください。小さな土地では、この三角形の分だけ、1階の広さが削られます。

2. 2方向の道路から、高さの制限を受ける。 建物の高さは、前面道路の幅に応じて制限されます(道路斜線)。角地は前面道路が2本あるので、それぞれの道路から制限がかかることがあります(建築基準法)。広いほうの道路の幅を、もう一方に当てはめられる緩和もあります(建築基準法施行令)。ただ、どこまで効くかは土地の形しだいです。緩和で1階が広がっても、3階の形が思うように取れないことがあるため、建築プランで確かめます。

3. 道が狭いと、両方でセットバックが必要になる。 前の道が幅4m未満の2項道路なら、土地を後ろに下げて道を広げる必要があります。角地で2本とも2項道路なら、2方向で面積が減ります。ここで減った面積は、角地緩和の10%分では取り返せないこともあります。

4. 2本の道の種類を、確かめておく必要がある。 家を建てる土地は、幅4m以上の道路に2m以上接していなければなりません(接道義務)。2本のうち1本が条件を満たせば足りますが、角地でも、2本とも条件を満たさなければ、そのままでは建築できません。道路の種類の調べ方は、接道義務とは?道路に2m接していない土地の売却方法で説明しています。

そのほか、角地は人通りと車の音、通行人の視線が気になるという声もあります。ただ、これは買い手の感じ方しだいで、業者の価格の計算に入るかどうかは、物件の場所によります。

ここに注意:古い家の建ぺい率

今ある古い家が、角地緩和を前提にして建てられていることがあります。その土地を売って建て替えるとき、緩和の対象かどうかが、昔と今で同じとは限りません。建ぺい率がオーバーしている家の売り方は、既存不適格建築物の売却で詳しく説明しています。

売る前に区役所で確かめる3つのこと

やることは3つです。角地緩和の対象か、隅切りが必要か、道路はどんな種類かを、区役所の建築指導課で聞いてください。

区役所の建築指導課に持っていくもの・聞くこと

  • 持っていくもの:地番か住所(登記簿謄本か、固定資産税の通知書に載っています)、あれば地積測量図
  • 聞くこと1:「この土地は、角地による建ぺい率の緩和の指定を受けられる敷地ですか」
  • 聞くこと2:「隅切りは必要ですか。寸法と、敷地面積に入るかも教えてください」
  • 聞くこと3:「2本の道路は、それぞれ幅員いくつで、どんな種類(公道・2項道路・位置指定道路など)ですか」
  • 用途地域、建ぺい率・容積率、防火地域・準防火地域の指定も、一緒に確認する

課の名前は区によって違い、「建築指導課」のほかに別の名前の区もあります。電話で聞けるか、窓口に行く必要があるかも区しだいです。迷ったら、区役所の代表電話に「建築の確認や指導をしている課はどこか」と聞いてください。事前に電話で、持っていくものを聞いてから行くと、二度手間を防げます。

角の境界や隅切りの位置は、測量図がなければ分かりにくいことがあります。確定測量が必要になるかは、確定測量が必要になるケースと費用の決まり方で説明しています。

聞いてきた内容は、メモに残して、査定を頼む会社に見せましょう。「緩和が使えるはず」という話だけでは、会社も根拠を確かめにくいものです。区に聞いた答えがあれば、話が早くなります。



接道義務とは?道路に2m接していない土地の売却方法

角地の狭小地を売るときの進め方

角地かどうかは、査定を頼む段階で、会社に先に伝えます。そのうえで、緩和を使った建築計画で見てもらえるかを聞いておくと、査定額の根拠が分かります。

査定額が会社ごとに違う理由は、狭小地の査定額はなぜ会社で違う?で整理しています。角地の場合、次の質問をすると、各社の見方の違いがはっきりします。

  • 角地緩和は、建築計画に入れていますか
  • 隅切りやセットバックで減る面積は、どう見ていますか
  • 近くで角地の取引があれば、角地でない土地と何が違いましたか

最後の質問は、取引の事例を聞く質問です。具体的な価格の話になるので、「角地だから高い」という説明だけで終わらず、根拠を聞くようにしてください。

売り先は、建売業者に直接売る、仲介で個人や業者を探す、買取を頼むの3つが基本です。違いは、狭小地の売却方法の比較と狭小地の買取と仲介の違いにまとめています。仲介会社を複数比べたいときは、一括査定サイトの使い方も参考になります。

相場の考え方は、土地の値段・相場の調べ方を先に読むと、角地の話もつかみやすくなります。三角形の角地など、形がいびつな土地は三角地・変形地の売却も見てください。



三角地・変形地(不整形地)は売れない?価値の決まり方と売り方

角地の土地がいくらくらいで売れそうか、まずは複数の会社の査定額を並べてみると、角地の見方の違いも含めて相場の幅がつかめます。

よくある質問

Q. 角地なら、建ぺい率は必ず10%上がりますか?

必ず上がるわけではありません。区の指定基準に当てはまる角地だけが対象で、条件は区ごとに違います。建築指導課で、住所か地番を伝えて確認してください。

Q. 角地緩和を使うと、容積率も上がりますか?

上がりません。角地緩和で変わるのは建ぺい率だけです。容積率は、用途地域の指定と前面道路の幅で決まります。

Q. 道路が2本あっても、角地緩和の対象にならないことはありますか?

あります。道路の幅や交わる角度、周囲の道路との接し方などの条件に当てはまらない場合は、対象外になります。2本の道路に面していても、街区の角でなければ対象になりにくいことがあります。

Q. 角地は、角地でない土地より必ず高く売れますか?

必ずとは言えません。緩和が使え、日当たりもよい土地なら評価されることがあります。一方、隅切りやセットバックで面積が減ったり、高さの制限が厳しかったりする土地では、差が小さくなります。価格は土地ごとに違うので、複数の会社の査定を比べて確かめてください。

Q. 古い家が建っている角地は、そのまま売れますか?

売れます。ただ、今の家が建ぺい率オーバーだと、買い手が建て替えるときに同じ大きさの家を建てられないことがあります。買い手の業者は、解体して新築する前提で計算します。詳しくは古家付き土地の売却も見てください。

まとめ

  • 角地緩和は、区が指定した角地に限り、建ぺい率が10%上がる制度。角にあるだけでは対象になるとは限らず、条件は区ごとに違う
  • 緩和が効くかは、容積率や高さの制限しだい。容積率が先に頭打ちになる土地では、角地でも建てられる家はほとんど変わらない
  • 建売業者は、緩和を使った建物が建つか、隅切り・セットバックで減る面積はどれくらいかを足し引きして価格を決める。「角地だから高い」という決まった数字はない
  • 売る前に、区役所の建築指導課で、緩和の対象か・隅切りは必要か・2本の道路の幅と種類を確かめて、査定の会社に伝える

角地かどうかの確かめ方や、査定で聞くことを整理したい方は、お気軽にご相談ください。

この記事の監修者:十坪とつぼさん(宅地建物取引士)
東京23区で土地の仕入れ営業を担当する宅地建物取引士。狭小地・旗竿地・古家付き土地など、小さくて売りにくい土地を日々見ている。

LINEで相談 PR今すぐ査定