遺品整理の費用と、片付けずに売る選択|実家はどこまで片付ける?
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実家の中には、家具も、食器も、押し入れいっぱいの衣類もそのまま残っている。遺品整理の業者に見積もりを頼もうか迷って、「費用はいくらかかるのだろう」と検索した方も多いと思います。
ただ、先に考えたいのは金額よりも、そもそもどこまで片付けてから売るのかという点です。ここが決まると、片付けにかける手間もお金も変わってきます。この記事では、片付けてから売る場合と、荷物が残ったまま売る場合を並べて、選び方を整理します。親にあたる記事は実家じまいの進め方です。全体の順番はそちらに任せ、ここでは片付けの判断だけを掘り下げます。
結論
実家は、全部片付けてからでないと売れないわけではありません。荷物が残ったまま、今の状態で引き取ってもらう売り方もあります。
片付けてから売れば高く売れる場合があり、残置物のままなら手間は減りますが価格は下がりやすくなります。どちらが得かは、土地の状況と、通える距離と、かけられる時間で決まります。
どちらを選ぶにしても、権利証・通帳・写真だけは先に探してください。
遺品整理の費用は何で決まるか|金額より先に仕組みを知る
遺品整理の費用は、荷物の量・家の広さ・運び出しやすさ・処分する物の種類の4つでほぼ決まります。同じ広さの家でも、荷物の量が違えば費用は大きく変わります。この記事では金額は書きません。業者によって、そして荷物によって桁が変わるため、一律の相場がそもそも当てになりにくいからです。
仕組みを順に見ていきます。
- 荷物の量:いちばん効きます。住んでいた年数が長い家ほど、押し入れや物置の中身が多くなります。
- 家の広さと階数:部屋数が多いほど作業の人数と日数が増えます。
- 運び出しやすさ:階段だけの2階、道の細い場所、トラックを家の前に停められない場所は、人手がかかります。
- 処分する物の種類:エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機のような家電や、仏壇、金庫、ピアノなどは、別の手順や別の費用になることがあります。
こと
家や土地に残されたままの家財や荷物のことです。売るときは「残置物あり」「残置物は買主が処分」のように書かれます。
もう一つ、遺品整理と似た言葉に特殊清掃があります。遺品整理は物を仕分けして片付ける作業、特殊清掃は人が亡くなった痕の汚れや臭いを処理する作業で、別のものです。特殊清掃が要る場合は、孤独死があった家の特殊清掃と費用の考え方で順番と費用の考え方を整理しているので、そちらを先に読んでください。
見積もりは複数から取り、「何が含まれるか」で比べる
費用を知るいちばん確かな方法は、見積もりです。ここで大事なのは、合計の金額だけでなく、何が含まれているかを並べて比べることです。
家の中を見てもらう訪問見積もりが基本で、写真だけの見積もりは、当日に荷物が増えて金額が変わる原因になりがちです。2〜3社に同じ条件で見てもらうと、含まれる作業の違いが見えてきます。確かめる項目は、あとの節でまとめます。
片付けてから売る場合のメリットとデメリット
片付けてから売る方法は、買い手の目に空き家がきれいに映り、条件の良い売り方を選びやすいのが強みです。その代わり、売り出すまでに時間と費用がかかります。
メリット:見てもらいやすく、選べる売り方が広がる
荷物が片付いた家は、広さや日当たり、傷み具合が分かりやすく、内覧のときの印象もよくなります。買い手が個人の場合、荷物だらけの家を前にすると、広さを想像しにくいものです。
また、中身が空になると、家の状態を細かく確かめてから売る選択もしやすくなります。仲介で時間をかけて買い手を探す方法も取れます。
デメリット:時間・お金・通う負担
片付けには、思った以上に日数がかかります。業者に頼めば短くなりますが、その分の費用が先に出ていきます。しかも、片付けにかけたお金が、売値の上乗せで戻ってくるとは限りません。
遠方に住んでいる場合は、通う交通費と時間もかかります。週末ごとに実家へ通っているうちに、体力も気持ちも消耗してしまう方は少なくありません。
残置物のまま売る場合のメリットとデメリット
荷物が残ったまま売る方法は、片付けの手間と先払いの費用を減らせるのが最大の利点です。引き換えに、買い手が処分の手間と費用を見込むぶん、価格は下がりやすくなります。
どんな売り方があるか
主に、不動産会社が今の状態のまま買い取る方法です。訳ありの不動産や空き家を専門に買い取る会社は、残置物ごと引き取ることを前提にしている場合があります。ただし、対応できる物件や地域は会社ごとに違うので、申し込む前に条件を確認してください。仲介でも「残置物あり」のまま売り出すことはできますが、買い手が見つかるまで待つことになります。
メリット:手間と時間が省ける
家財を一つずつ仕分けする作業を、買い手側に任せられます。遠方に住んでいる方、体調に不安がある方、仕事で時間が取れない方には大きな助けになります。親の家を整理するのは、気持ちの面でも重い作業です。その負担を減らせることも、実は大切な点です。
デメリット:価格が下がりやすい・条件が付く
買い取る会社は、処分にかかる費用や手間を、買取価格から差し引いて考えます。仲介で売るときより、価格は低くなりやすいと考えてください。「買取だから必ず片付けも込みで安心」と思い込まず、片付けの扱いを契約の前に書面で確かめる必要があります。
売ったあとの責任についても確認してください。家の不具合を後から言われないよう、売主の責任を免れる特約をどう付けるかは、契約不適合責任の免責とは?土地を現状のまま売るときの注意点で説明しています。
荷物が多い実家を片付けるか残すか見通しが立たないときは、売り方の整理から一緒に進められます。
片付けてから売る・残置物のまま売るの比較
どちらが正解というより、状況によって向き不向きが分かれます。次の比較を、自分の状況に当てはめてみてください。
片付けてから売る/残置物のまま売る
片付けてから売る
- 見た目がよく、買い手が選べる
- 高く売れる場合がある
- 先に費用と時間が出ていく
- 遠方だと通う負担が大きい
残置物のまま売る
- 片付けの手間と先払いが減る
- 早く手放しやすい
- 価格は下がりやすい
- 対応できる会社・地域は限られる
| 比べる点 | 片付けてから売る | 残置物のまま売る |
|---|---|---|
| 手間 | 大きい(自分か業者が片付ける) | 小さい(買い手側が処分) |
| 先に出るお金 | 片付けの費用が先に出る | 片付け費用は先に出ない |
| 売値 | 高くなる場合がある | 処分の手間と費用のぶん、下がりやすい |
| 向いている人 | 時間があり、近くに住んでいる人 | 遠方・多忙・体力に不安がある人 |
| 売り方 | 仲介も選びやすい | 買取が中心。仲介でも売れるが待つ |
| 気をつけること | 業者の見積もりの中身 | 片付けの扱いを契約書で確かめる |
迷ったときは、片付けの見積もりと、残置物のままの買取価格の両方を出してもらうのがいちばん確実です。「片付けの費用を引いても、片付けて売るほうが手元に残る」場合もあれば、その逆の場合もあります。やってみないと分からないので、両方の数字を並べて決めてください。
片付けるなら、何から手をつけるか
片付けを始めるときは、先に探すのは大事な書類、そのあとで形見分け、最後に処分の順番です。いきなり捨て始めると、あとで取り返しがつきません。
片付けの進め方
- 大事な書類・貴重品を探す権利証、通帳、印鑑、保険証券、写真を先に確保
- 形見分けをする相続人で話し合って、残すものを決める
- 残りを処分する自分で出すか、業者に頼む
- 最後に掃除をする売り方に応じて、必要なら仕上げる
先に探したい物
捨ててしまってから困るのは、次のものです。
処分する
- 権利証(登記識別情報の通知書)、登記済証、固定資産税の通知書
- 通帳、印鑑、キャッシュカード、保険証券、年金の書類
- 遺言書、エンディングノートのような書き置き
- 家を建てたときの図面、購入時の契約書、境界に関する資料
- 写真、アルバム、手紙(あとで探しても戻りません)
権利証は、売るときに必ず用意したい書類の一つです。見つからないときの対処は土地売却に必要な書類一覧|権利証・登記識別情報をなくしたときの対処で説明しています。「なくしたら売れない」わけではありませんが、手間と日数は増えます。
通帳や契約書の中には、親が結んでいたローンや、他の権利関係が分かる物もあります。家の登記に関わる手続きは、相続登記の義務化と土地の売却も合わせて読んでください。
相続の話し合いより先に、手をつけない
ここに
遺品の扱いは、相続人の間で話し合ってから進めてください。一人で先に捨てたり、価値のありそうな物を持ち帰ったりすると、あとで揉める原因になります。相続放棄を考えている場合は、家財に手をつける前に、司法書士か弁護士に相談してください。相続人が財産を処分すると、相続を認めたものとみなされ、放棄できなくなるおそれがあるとされています。どこまでが処分に当たるかは、ここでは線を引けません。
相続放棄を考えている場合の考え方は、孤独死があった家を相続したらの「片付ける前に確かめること」の節もご覧ください。
業者に頼むときに確かめること
業者に頼むときは、見積もりの中身と、追加料金の条件を、作業の前に書面で確かめることです。ランキングで選ぶのではなく、聞くべきことを聞いて選んでください。
見積もりで
- 見積もりは訪問で出したか(写真だけではないか)
- 含まれる作業は何か(仕分け、搬出、処分、簡単な掃除など)
- 追加料金が出るのはどんなときか(荷物が増えた、階段がある、など)
- 家電、仏壇、金庫など、別扱いの物をどう処理するか
- 処分した物が、どう処理されたかの証明をもらえるか
- 家庭から出る物を運ぶ許可を持っているか、持っている業者と組んでいるか(名称と手続きは自治体で違うため、業者に直接聞く)
見積もりが他社より極端に安い場合は、あとから追加料金が積み上がることがあります。安さだけで決めず、何が含まれているかで比べてください。
自分で片付ける場合と、区のごみの窓口
業者に頼まず、自分で少しずつ出す方法もあります。粗大ごみの出し方や、家財の処分に対する支援は、区によって違います。まず区のごみの窓口(清掃やごみの担当)に、実家のある区のルールを確かめてください。電話で、「実家の片付けで粗大ごみがたくさん出る」と伝えると、出し方を教えてもらえます。
ここで、実家が遠方で行けない場合は、業者に任せる部分と自分でやる部分を分けるのも手です。書類と形見分けだけは自分が立ち会い、重い物の搬出だけを任せる、という形です。
狭小地・旗竿地は、搬出の経路で費用が読みにくい
狭い土地や旗竿地の家は、荷物を運び出す道が狭いと、同じ荷物の量でも作業が大変になり、費用が読みにくくなります。金額はここでも書きませんが、仕組みは知っておくと役立ちます。
旗竿地は、道路から家までの細い通路が1本あるだけの形です。トラックが家の前まで入れない場合、荷物を台車や手運びで通路を通って運ぶことになり、人手と時間が増えやすくなります。木造の古い家で階段が急な場合も同じです。
業者に見てもらうときは、道路から家の玄関までの通路の幅と、トラックを停められる場所を、必ず見積もりの前に見せてください。これを伝えないまま見積もりをもらうと、当日になって追加料金が出ることがあります。
古家を壊して更地で売る場合は、荷物を先に出すよう求められることがあります。解体の見積もりと、片付けの見積もりは、別々に取って比べてください。解体費の仕組みは木造の解体費用は何で決まる?見積もりの取り方と狭小地の注意にあります。狭小地は搬出も解体も同じ理由で手間が増えやすく、片付けないまま現状で買い取ってもらう選択も、候補に入ってくる場面です。
訳ありの土地をまとめて確かめたい方は、訳あり不動産・訳あり土地とは?種類別の売り方と買取の使いどころから種類ごとの売り方を辿れます。買取会社を見比べるときの視点は、土地の買取業者の選び方にまとめました。
片付けが進まないときは、全部をきれいにしようとせず、「書類と形見分けだけ先に済ませ、残りは残置物のまま売る道も残す」という考え方が現実的です。人が住まない家は傷みも固定資産税の負担も続くので、止まったままにしないことが大切です(空き家を放置するリスク、古家のまま売る考え方は古家付き土地の売却)。
荷物が残ったままの実家は、ふつうの仲介では買い手が見つかりにくいことがあります。訳ありの不動産を専門に買い取る会社なら、今の状態のまま買取価格を出してもらえることがあります。ただし価格は、仲介で売るより低くなりやすく、片付けてから売ったほうが手元に残る場合もあります。片付けの費用と並べて、両方の数字を比べてみてください。
よくある質問
Q. 遺品整理の費用は、いくらくらいかかりますか?
荷物の量、家の広さ、運び出しやすさ、処分する物の種類で大きく変わるため、ここでは金額を書いていません。実際の費用は、複数の業者から訪問で見積もりを取り、何が含まれているかを並べて比べるのが確実です。
Q. 実家の荷物を残したまま、家や土地を売れますか?
売れます。今の状態のまま買い取る会社もありますし、仲介でも「残置物あり」で売り出せます。ただし、買い手が処分の手間と費用を見込むため、価格は片付けてから売るより下がりやすくなります。片付けの扱いは、契約の前に書面で確かめてください。
Q. 片付けと買取、どちらが得ですか?
状況で変わります。片付けて売ったほうが手元に残る場合もあれば、片付けずに買い取ってもらったほうが、手間と時間を含めて楽な場合もあります。片付けの見積もりと、残置物のままの買取価格を両方出して、並べて比べてください。
Q. 片付けの前に、何を探せばいいですか?
権利証(登記識別情報)、通帳、印鑑、保険証券、遺言書、写真を先に探してください。売るときに必要な書類は、土地売却に必要な書類一覧で確かめられます。
Q. 特殊清掃が必要な場合はどうしたらいいですか?
遺品整理とは別の作業です。まず孤独死があった家の特殊清掃費用と売却の順番で、順番と費用の考え方を確かめてください。
まとめ
- 実家は、全部片付けてからでないと売れないわけではありません。残置物のまま売る方法もあります
- 遺品整理の費用は、荷物の量・広さ・運び出しやすさ・処分する物の種類で決まります。複数の業者から訪問で見積もりを取り、含まれる作業で比べてください
- 片付けてから売れば高く売れる場合があり、残置物のままなら手間は減るが価格は下がりやすい。どちらが得かは、両方の数字で決めます
- 片付けの前に、権利証・通帳・印鑑・写真を先に探します。相続人で話し合ってから処分してください
- 狭小地・旗竿地は搬出の経路で作業が増えやすいので、通路の幅と停められる場所を、見積もりの前に業者へ伝えます

