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遠方の空き家を売るまでの管理|水道・郵便・火災保険の段取り

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実家を売ると決めた。でも自分は遠くに住んでいて、月に何度も通えない。売れるまでの数か月、空き家をどう持たせればいいのか。そう悩んで検索された方も多いと思います。

空き家の管理というと、ずっと持ち続ける話ばかりが目につきます。けれど、売るまでの管理は話が別です。引き渡しの日まで、傷ませず、困らせず、買い手に見せられる状態に保てればよいからです。この記事では、止めるもの・残すもの、郵便、火災保険、見回り、近所への連絡を、順番に整理します。

結論
売るまでの管理は、「水道は残す、郵便は転送する、火災保険は保険会社に空き家になったと伝える」の3つを先にやれば、あとは月1回ほどの風通しと、近所への連絡先の共有で回ることが多いです。
全部を完璧にしようとせず、買い手に見せる日と、引き渡しの日から逆算して、最小限に絞るのがコツです。

売るまでの管理は、持ち続ける管理と何が違うのか

売るまでの管理は、期間が区切られています。売り出してから引き渡しまで、数か月かかることが多いです。ゴールは「引き渡し」です。そのため、建物を長く守る手入れよりも、売る間に困らないことを優先します。

たとえば、庭木の本格的な剪定や、家の中の大掃除は、売れる前にやり切らなくてもかまいません。逆に、郵便物がたまる、雑草が伸びて近所から連絡が来る、といった「放っておくと面倒が増えること」は先に押さえます。

なお、売らずに持ち続けるときの管理や、放置を続けた場合に行政の対象になる流れは、特定空家とは?空き家を放置するリスクと固定資産税が上がる流れで整理しています。この記事では、そこには踏み込みません。

売ると決めてから引き渡しまでの管理の流れ(例)

  1. 最初の1か月郵便の転送、火災保険の確認、近所への連絡
  2. 売り出し中月1回ほどの風通し。内見の日だけ現地へ
  3. 売買契約のあと引き渡しに向けて、電気・ガス・水道の閉栓や解約を連絡
  4. 引き渡し鍵を渡し、保険の解約や変更を保険会社へ

電気・ガス・水道は止める?残す?|水道は残したほうが困らない

先に答えると、ガスは止めてよく、水道と電気は売り出し中は残すほうが困りにくいです。ただ、家の状態や売り方で変わるので、表で整理します。

項目 基本の考え方 理由
ガス 閉栓してよいことが多い 見に行くだけなら使わない。元栓を閉めて、ガス会社に連絡する
水道 残すことが多い 内見でトイレを見る、掃除で水を使う、排水の臭い止めの水を保つため
電気 残すことが多い 内見の照明、換気、掃除機が使えない。ブレーカーは必要な分だけ残す方法もある
ネット・固定電話 解約してよいことが多い 買い手の内見に使わない。ただし防犯カメラなどを使うなら別

水道を止めると、見学に来た人がトイレを流せず、掃除もできません。水道は「止めると困ることがある」と覚えておいてください。また、排水管の水(封水)が乾くと、下水の臭いが上がってくることがあります。月に1回、水を流すだけでも防げます。

一方で、水を通したままの家は、水道管が傷んだときに漏水(水もれ)が起きるおそれがあります。国土交通省の空き家管理のガイドラインでも、通電・通水を続けるときは漏電や漏水のリスクと料金がかかることが挙げられています。そのため、帰るときは水道の元栓を閉めておくと安心です。寒い地域では、冬のあいだは凍結で管が壊れないよう、水を抜く対応が要ることもあります。なお、見回りのときに水を持っていって流す方法もあり、そのときは水道を止めたままにできます。売り出し中にどちらにするかは、不動産会社に聞いてください。

ことばの解説:閉栓(へいせん)・休止

ガスや水道の使用をやめて、元栓を閉める手続きのことです。水道は「使用中止」や「休止」と呼ぶ自治体が多く、連絡先は水道局や市区の窓口です。呼び名や手続きは地域で違うため、検針票に書かれた連絡先に確認してください。

契約の名義が亡くなった親のままになっていることもあります。その場合も、検針票や請求書に書かれた連絡先に電話し、名義の変更や、使用の停止ができるかを聞いてみてください。亡くなったことの連絡のしかたや、必要な書類は、電力会社・ガス会社・水道局ごとに違うため、この記事では書いていません。電話でそのまま聞くのが早いです。

郵便物とポストの対応|転送届を出せば遠方でも困りにくい

郵便は、最初の1か月で手を打っておきたい項目です。ポストに郵便物があふれると、人がいない家だと外から分かってしまい、防犯の面でもよくありません。

一般には、日本郵便の転居届を出すと、旧住所あての郵便物を新しい住所に転送してもらえます。転送の期間は、届け出から1年間と案内されています。売るまでに1年を超えそうなら、期間の延ばし方を郵便局で聞いてください。手続きの細かい点は、日本郵便の案内か郵便局の窓口で確かめてください。

ただし、亡くなった親あての郵便は、家族への転送ができないとされています(差出人に返される扱いと案内されています)。そのときは、次の対応が現実的です。

  • ダイレクトメールや請求書の送り元に、住所の変更や送付停止を連絡する
  • ポストに「チラシ・広告お断り」と貼る
  • 近所の方や管理の代行を頼んだ人に、たまったら回収してもらう

大事な郵便(固定資産税の通知、保険会社や役所からの文書)は、見落とすと困ります。固定資産税の納税通知書は、毎年、役所から届きます。名義が亡くなった親のままだと、親あてか、親の家に届いてしまうことがあります。相続人が2人以上いるときは、書類を受け取る代表者を決めて役所に届け出る仕組みが、地方税法にあります。届け出の名前や様式は自治体で違います。窓口は、東京23区の土地・建物なら、区役所ではなく都税事務所です。ほかの地域では市区町村の税の窓口です。送り先を変えたいと伝えて、手続きを聞いてください。



相続した空き家にかかる税金|持っている間・相続のとき・売ったときの3つを一枚で

遠方の空き家の管理で、一番手間のかかる部分は、実は見回りよりも手続きの連絡です。ここまでが済んでいれば、残りはぐっと楽になります。

遠方の空き家で、何から連絡すればいいか分からないときは、手順を一緒に整理します。

火災保険は「空き家になった」と伝える|条件が変わることがある

売るまでの間に火事が起きると、近所への被害や、売買そのものが止まるおそれがあります。火災保険は、解約せずに、空き家になったことを保険会社へ伝えて確認しておくのが基本です。万一焼けてしまったときの土地の売り方は、火事で焼けた家の土地を売るときにまとめています。

大事なのは、保険の扱いは保険会社と契約の種類ごとに違うことです。「空き家だと入れない」とは言い切れません。人が住まなくなったことで、次のような変化が起きることがあります。

  • 住宅用の契約から、空き家向けの契約への変更を求められる
  • 補償の範囲が狭くなる、保険料が変わる
  • 契約はそのまま続けられるが、連絡が必要

「何も言わなくても大丈夫だろう」と黙っていると、事故のときの支払いに影響が出ることがあります。契約中の保険会社か代理店に電話で、「居住者がいなくなった、売却のために空き家になっている」と伝え、どう変わるかを聞いてください。保険料の金額は、会社・建物・補償内容で変わるため、この記事では書きません。

聞くことのメモは、次のとおりです。

保険会社に電話で聞くこと

  • 空き家になったまま、今の契約を続けられるか
  • 変更が必要なら、手続きと保険料がどう変わるか
  • 売買契約から引き渡しまでの間に事故があった場合の扱い
  • 引き渡しの日に合わせた解約・変更の手続き

三つ目の「売買契約から引き渡しの間の事故」は、売買契約書の決め方も関わります。契約書の内容は、売却を頼む不動産会社にも確認してください。

民法の考え方を、ざっと書いておきます。売買契約のあと引き渡しの前に、売主にも買主にも責任のない火事などで、建物が引き渡せなくなったとします。このとき買主は、代金の支払いを断ることができ、契約を解除することもできます。反対に、引き渡しがすんだあとの火事は、買主が代金を払う側になります。つまり、引き渡しまでは、売主の側が損を受けやすいのです。そのため、火災保険は引き渡しの日まで続けておきます。

ただし、実際の売買契約書には、引き渡し前に建物が壊れたときの扱いを決めた項目があることが多く、民法と違う内容になっている場合もあります。売主や買主に責任があるときも、話が変わります。契約書の案をもらったら、「引き渡しの前に火事があったらどうなるか」を、不動産会社に聞いてください。

ここに注意

亡くなった親の名義の契約が、そのまま残っていることがあります。契約者と、今の所有者(相続人)がずれていると、保険が使えない場合があります。相続人が複数いる場合は、保険の名義をどうするかも含めて、保険会社に確認してください。

見回りの頻度と、行けないときの代行の使い方

見回りは、月に1回を目安に考えるのが現実的です。これは、国が決めた回数ではなく、この記事の目安です。国の空き家管理の指針は、回数を決めず「一定の頻度で点検する」としています。国土交通省の令和6年(2024年)の空き家所有者実態調査では、月に1回以上管理している空き家は、構造上の不具合が見つかった割合が約15〜18%でした。年に1〜数回の空き家では約24%、数年に1回では約33%と増えています。売り出し中は、台風や大雨、大雪のあと、年末年始の前にも様子を見られると安心です。区によって案内が違うこともあるので、区の空き家の窓口にも聞いてみてください。

月1回売り出し中の見回りの目安(風通し・通水・郵便の回収。台風や大雪のあとは追加)

現地では、次のことをやれば十分です。点検の細かい一覧は、特定空家とは?の「空き家に行ったときの点検リスト」にもあります。

  • 窓を開けて、10〜20分ほど風を通す
  • トイレや台所、洗面で水を流し、排水の臭いを防ぐ
  • ポストの郵便とチラシを回収する
  • 屋根・外壁・塀に壊れた箇所がないか、外から見る
  • 雨漏りや虫、動物のあとがないか、天井や押し入れを見る

行けないときは、見回りの代行も選べる

遠方で月1回も行けないときは、空き家の見回りを代わりに行う代行サービスがあります。内容は、風通し・通水・郵便の確認・外から見た写真報告などで、会社によって差があります。

料金は、内容・回数・家の広さ・地域で変わります。会社を選ぶときは、見積もりで次を聞いてください。売却のあいだだけ、短い期間で契約できるかも大事な確認点です。料金の目安は、この記事では書いていません。作業の内容と回数、報酬は、契約の前に書面で示してもらってください。

代行を頼む前に聞くこと

  • 見回りの内容(室内に入るか、外から見るだけか)
  • 報告の方法(写真・メールなど)と頻度
  • 鍵の預かり方と、紛失したときの扱い
  • 契約期間と、途中でやめるときの条件
  • 台風など緊急のとき、連絡は来るか

区によっては、空き家の管理について相談できる窓口があります。業者の案内がある区もあれば、ない区もあります。担当の課の名前は、区によって違います(建築、都市計画、住宅などの課)。区役所の代表の電話に、「空き家の相談をしたい」と伝えると、担当につないでもらえます。そのうえで、地番か住所を伝えて聞いてみてください。

近所への伝え方|草木・ごみ・不審者の連絡先を渡しておく

遠方の空き家で、困りやすいのは、近所からの苦情の連絡が、直接こないことです。草が伸びた、枝が道路にはみ出した、ごみを置かれた。そうしたときに、誰に連絡すればよいか近所の方が分からないと、役所に連絡が行ってしまうことがあります。

そこで、売ると決めたら、両隣と向かいの家に、一度あいさつをしておきます。伝えることは次の3つで十分です。

  1. 売りに出す予定で、現地に来る頻度は少ないこと
  2. 連絡先(携帯電話の番号か、メールアドレス)
  3. 草木・ごみ・不審な人を見かけたときは、この連絡先に知らせてほしいこと

訪問できないときは、手紙でもかまいません。名刺か、連絡先を書いたメモを添えると、読んでもらいやすいです。町内会や自治会の担当の方に伝えておく方法もあります。

草木は、梅雨から夏にかけて一気に伸びます。庭の本格的な手入れまでは不要ですが、隣や道路にはみ出した枝と、背の高くなった雑草だけは、買い手の内見前に刈っておくと印象が違います。自分で行けない場合は、シルバー人材センター(地域の高齢者が、短期の仕事や軽い仕事を引き受ける公的な団体)や、地域の造園・草刈りの業者に、短期で頼む方法もあります。シルバー人材センターは、地域ごとにあり、引き受けられる作業や料金は違います。草刈りができるかは、問い合わせて確かめてください。



遺品整理の費用と、片付けずに売る選択|実家はどこまで片付ける?

買い手の内見に向けて、遠方からできること

内見の日に、鍵を開けて案内する人が要ります。遠方の場合は、不動産会社に鍵を預けて、案内を任せる方法があるか相談してみてください。売り方や会社によって、対応は違います。

家の中をどこまで片づけるかは、売り方の選び方によって変わります。片付けと費用の考え方は、遺品整理にかかる費用と片付けの選び方で詳しく比べているので、そちらを見てください。ここでは、見学の前に最低限整えたいのは、通り道・水回り・玄関のにおいの3点だけと覚えておけば足ります。

買い手が来る前にやること、というより、買い手が来たときに、鍵・電気・水道・トイレが使える状態にしておく。これが、遠方の空き家を売るときの最小限の準備です。

そのまま買い取ってもらう売り方では、見学や立ち会いの回数が少なく済むことがあります。ただし、買取の価格は、仲介で売れた場合より低くなりやすい点は、知っておいてください。遠方で通えない場合の考え方は、空き家の買取でも整理しています。

鍵や内見の段取りが決まらないときは、売り方の選択肢とあわせて整理します。

売るまでの管理と、売れるまでの税金・手続きの切り分け

この記事で書いたのは「建物を傷ませない、困らない」ための管理です。売れるまでの固定資産税や、特定空家に指定された場合に何が変わるかは、別の記事に任せています。

遠方の空き家は、ふつうの仲介では買い手が見つかるまで時間がかかることがあります。管理の負担を早く減らしたいときは、今の状態のまま買取価格を出してくれる専門の会社にも、見てもらう方法があります。買取は、仲介より価格が低くなりやすいこと、申し込むと電話やメールが来ることは、知っておいてください。

よくある質問

Q. 空き家の水道は止めたほうがいいですか?

売り出し中は、残しておくほうが困りにくいです。内見でトイレや水回りを見せる、掃除で水を使う、排水の臭いを防ぐために、水が使えると助かります。引き渡しが決まったら、水道局に使用の停止を連絡します。連絡先は検針票に書かれています。

Q. 空き家になったことを火災保険に伝えないと、どうなりますか?

契約内容によっては、事故のときに支払いが受けられないことがあります。扱いは保険会社ごとに違うため、契約中の保険会社か代理店に、売却のために空き家になっていると伝えて確認してください。

Q. 遠方で、月に1回も見に行けません。どうすればいいですか?

見回りの代行を使う方法があります。区の空き家の窓口に相談する、売却を頼む不動産会社に鍵を預けて内見を任せるなど、通う回数を減らす手立てもあります。売れるまでの期間に絞って、短く契約できるかを聞いてみてください。

Q. 郵便物は、どうすればいいですか?

生きている人あての郵便は、日本郵便の転居届で転送できます。亡くなった方あての郵便は、送り元に連絡して止めるのが基本です。納税通知書など大切な郵便は、送り先の変更を市区の窓口に聞いてみてください。

Q. 売るまでの間、固定資産税はどうなりますか?

固定資産税は、その年の1月1日の持ち主にかかります(登記の名義人。名義人が亡くなっているときは、実際に持っている人)。年の途中で引き渡すときは、引き渡しの日を境に買主と日割りで精算するのが一般的で、売買契約書で決めます。くわしくは相続した空き家にかかる税金で整理しています。

まとめ

  • 売るまでの管理は、引き渡しの日から逆算して、最小限に絞る
  • 水道と電気は、売り出し中は残すほうが内見や掃除で困りにくい。ガスは閉栓してよいことが多い
  • 郵便は転送や送付先の変更で手当てをする。納税通知書の送り先も確認する
  • 火災保険は、解約せずに、空き家になったと保険会社に伝えて、条件を確認する
  • 見回りは月1回が目安。行けないときは代行や、近所への連絡先の共有で補う

どの順番でやればよいか迷うときは、先に保険会社と郵便から手をつけてください。

管理を続けるか売り方を変えるか迷うときも、状況を聞いたうえで、選択肢の整理をお手伝いします。

この記事の監修者:十坪とつぼさん(宅地建物取引士)
東京23区で土地の仕入れ営業を担当する宅地建物取引士。狭小地・旗竿地・古家付き土地など、小さくて売りにくい土地を日々見ている。

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