形・法規の悩み

越境がある土地の売却と覚書|屋根・塀の対処と解消する方法

本ページにはプロモーション(広告)が含まれています。

「隣の家の屋根が、うちの敷地の上に出ている」。「測ってみたら、うちのブロック塀が数センチ隣に入っていた」。家と家の間が狭い23区の住宅地では、こうした話が出てくる土地があります。

建物や塀、配管、木の枝などが、境界線を越えて隣の土地に入り込んでいる状態を越境(えっきょう)といいます。越境があっても、土地は売れます。大切なのは、売り出す前に「何が、どこまで出ているか」を確かめ、どう扱うかを決めておくことです。

この記事では、越境の見つけ方、種類ごとの直し方、隣の方と交わす覚書の中身、買い手への伝え方、売り先の選び方までを、順番に説明します。

結論
越境がある土地も売却できます。必要なのは「越境の事実を確かめる」「直すか覚書にするかを決める」「買い手に書面で伝える」の3つです。
覚書があるか、建物本体の越境かどうかで、買い手や金融機関の見方はかなり変わります。売り出す前に対応を決めておくと、話がスムーズに進みます。
建物のように動かす先がなく解消できない越境は、使える敷地がその分減るため、もともと小さい土地ほど影響が大きくなります。

越境とは?狭い土地で起きやすい理由

越境とは、自分の土地にある物が隣に出ている、または隣の物が自分の土地に入っている状態です。どちら向きの越境でも、売却では説明が必要になります。

道路境界線あなたの家屋根が隣にはみ出している隣の家
越境:屋根・塀・配管などが境界線を越えている状態。覚書を結ぶか、是正してから売るのが一般的です。

23区の周辺区には、昭和の時代に小さく分けられた宅地があります。建物どうしの間が数十センチしかない場所もあり、次のような越境が起きやすいのです。

  • 屋根の軒先(のきさき)や雨どいが、隣の土地の上に出ている
  • ブロック塀やフェンスが、境界線をまたいで建っている
  • 水道管やガス管が、隣の敷地の地中を通っている
  • エアコンの室外機や換気扇のフードが、隣側にはみ出している
  • 庭木の枝や根が、隣に伸びている

古い家では、建てた当時に境界があいまいだったこともあります。後から測量して、初めて越境に気づくケースもあります。誰かが悪いことをしたというより、「昔のまま決めていなかった」だけ、という場合もあります。

境界を越えていなくても、外壁が境界ぎりぎりに建つ古家では、民法の決まりとの関係で別の確認が要ります。隣との境界ぎりぎりに建つ古家を売るときで説明しています。

ことばの解説:越境(えっきょう)

屋根・塀・配管・木の枝などが、土地と土地の境目(境界線)を越えて、隣の土地に入り込んでいる状態のこと。空中(屋根)や地中(配管)の越境も含みます。

越境の見つけ方|売る前に確かめること

越境は、見た目だけでは判断できません。境界がどこかが分からないと、はみ出しているかも決められないからです。まずは境界の位置を確かめるところから始めます。

境界標と測量図を探す

土地の角に、境界標(コンクリートの杭や金属のプレートなど、境目を示す目印)があるか見てみましょう。

次に、法務局で地積測量図(土地の形や面積を書いた図面)が取れるかを調べます。窓口で土地の地番(登記上の番号)を伝えれば、写しを請求できます。古い土地では、図面がなかったり、今の状態と合わなかったりすることもあります。

道路境界標が見つからないあなたの土地=境界標
境界標:土地の角にある杭やプレート。なくなっていると、隣の人の立会いのもとで境界を確定させる必要があります。

測量で越境が見つかることもある

売る準備として、隣の所有者に立ち会ってもらい境界を確定させる測量をします。これを確定測量といいます。その途中で、越境が見つかることもあります。

測量は、土地家屋調査士に依頼します。境界が決まっていない場合の進め方は、境界が未確定の土地の売却と確定測量で詳しく説明しています。確定測量にかかる費用の決まり方は、土地の測量費用にまとめました。



境界が決まっていない土地は売れる?隣が協力しないときの進め方

越境の種類別の対処法|直すか、覚書で済ませるか

対処は大きく2つ。「直す(撤去・移設する)」か「覚書を結んで今の状態を認め合う」かです。何が越境しているかで、向いている方法が変わります。

越境しているもの 主な対応 買い手・金融機関の見方
屋根・軒先・雨どい 覚書で「建て替えのときに解消する」と約束する方法がある 覚書があれば受け入れられやすい
ブロック塀・フェンス 覚書、または塀の撤去・作り直し 塀の持ち主と費用の負担がはっきりしているかを気にする
水道管・ガス管 覚書、または引き直し工事 物理的に解消できる越境かを見る
室外機・換気フード 移設先があれば移設で解消。なければ将来是正の覚書 移設先があれば問題になりにくい。ないと解消が難しい
木の枝・根 剪定・伐採で解消しやすい 解消済みなら問題になりにくい
建物本体(外壁など) 覚書。直すのは現実的に難しい場合がある 解消できないと、その部分を除いて使える敷地が減る

表の「買い手・金融機関の見方」は、あくまで目安の傾向です。越境がある物件への住宅ローン審査の扱いは、金融機関ごとに判断が異なります。詳しい基準は、実際に相談する金融機関に確認してください。

買い手はここを見る

越境がある土地を見るとき、買い取る会社の担当者が最初に確認するのは覚書があるかどうかです。同じ屋根の越境でも、覚書があって「建て替えのときに解消する」と約束されている土地と、口約束だけの土地とでは、評価がまったく違います。覚書がなければ、金融機関の融資が通りにくい前提で価格を組み立てることになります。

もう一つ見るのが、物理的に解消できる越境かどうかです。室外機や配管は、移設先さえあれば動かして解消できます。厄介なのは、隣の建物の壁のように動かす先がない越境です。買主が新築を建てるときは、建築確認(工事の前に、計画が建築基準法に合っているかを確認する手続き)で越境部分が問題になります。そのため、あらかじめ建築計画からその分を外して考えることになるのです。結果として、実際に建物を建てられる敷地の広さ(有効宅地面積)が減り、買取価格に響きます。もとの土地が小さい狭小地ほど、この影響は大きくなります。

直せるものは先に直す

室外機の移設や枝の剪定など、比較的少ない費用で済むものは、売る前に直しておくと話が早く進みます。解消されていれば、買い手に説明することも減ります。

木の枝は、民法の改正で扱いが変わった

2023年4月に施行された民法改正で、隣の木の枝が境界を越えているときの扱いが変わりました。原則は、木の持ち主に「枝を切ってほしい」と求めることです(民法は、持ち主に枝を切除させることができると定めています)。そのうえで、次のいずれかにあてはまるときに限って、自分で枝を切り取れます。

  • 木の持ち主に切るよう催告(さいそく。求めること)したのに、相当な期間がたっても切ってくれないとき
  • 木の持ち主が誰なのか、またはどこにいるのかが、調べても分からないとき
  • 台風の前に折れそうなど、差し迫った事情があるとき

なお、木の根が境界を越えている場合は、以前から自分で切り取ってよいことになっています。枝と根で扱いが違う点は、覚えておくとよいでしょう。

とはいえ、いきなり切るより、まず隣の方と話すほうが円満です。切ってよいか迷うときは、弁護士に相談してください。

売る前に、越境している枝・根を片づける手順

ここまでは、枝を切れる場合の決まりでした。売主として知りたいのは、売り出す前に、何から順に動けばよいかのほうでしょう。向きによって、やることが変わります。

自分の木の枝が、隣に出ているとき。 隣の方から、枝を切るよう求められる側です。民法には、土地の所有者が、隣の竹木の持ち主に枝を切らせることができるという定めがあります。売る前に自分で剪定しておけば、越境そのものがなくなるので、覚書は要りません。買い手への説明も、「解消済み」と伝えるだけで済みます。剪定の前後の写真は、日付が分かる形で残しておきましょう。告知書でそう伝えるときの裏づけになります。

隣の木の枝が、自分の土地に入っているとき。 測量や買い手の内覧のじゃまになるなら、売る前に片づけておきたいところです。順番は、次のとおりです。

隣の木の枝が入ってきているときの進め方

  1. 状況を写真に撮る枝がどこまで入っているか、日付が分かる形で残す
  2. 木の持ち主に切ってほしいと頼む口頭だけでなく、手紙などの記録が残る形にする
  3. 相当の期間を待つ何日で相当かは条文に書かれていない。事情による
  4. 切ってもらえなければ、自分で切り取る切除を頼んだ記録が、あとで効いてくる

2番目の「頼んだ記録」が大切です。条文は、切るよう催告(さいそく)したのに、相当の期間内に切除されなかったときに、自分で切り取れるとしています。頼んだ事実を示せないと、あとで「聞いていない」と言われかねません。

持ち主が分からない場合は、少し様子が違います。条文には、竹木の所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができないときにも、切り取れるという定めがあります。ただ、「知ることができない」と言えるかどうかは、どこまで調べたかが手がかりになります。隣地の登記事項証明書を取り、住所に手紙を出して戻ってきた、といった記録を残しておくと安心です。急迫の事情があるとき(台風の前に枝が折れそうな場合など)も、切り取れる場合として定められています。

「隣に言えば、すぐ自分で切れる」わけではありません

切り取れるのは、条文にある3つの場合のどれかにあてはまるときです。頼んだだけで、相当の期間を待たずに切るのは、3つのどれにもあたりません。相手の返事を待たずに切ってしまうと、あとで揉めるもとになります。

根は、順番がありません。 隣の木の根が境界を越えて入ってきているときは、根を切り取ってよいと民法に定められています。枝のように、先に頼む必要はありません。ただ、根を切ったことで隣の木が弱ると、別の話し合いが必要になることもあります。気になるときは、事前に一声かけておくほうが、売却前の隣づきあいとしては無難です。

枝や根は、伐採や処分までかかわってくると、庭木をどこまで片づけるかの話になります。売主がどこまで負担するかは、庭木・ブロック塀などの撤去と売主の負担の範囲で説明しています。

越境がある土地を売るまでの流れ

  1. 境界と越境を確かめる境界標・地積測量図を確認し、必要なら測量する
  2. 直すか覚書かを決める室外機や枝は直す。屋根や建物は覚書で対応する
  3. 隣の方と覚書を結ぶ測量図を付け、次の持ち主への引き継ぎも書く
  4. 買い手に書面で伝える告知書・重要事項説明・契約書の特約に書く

越境の覚書(確認書)の中身と結び方

直すのが難しい越境は、隣の所有者と覚書を結ぶ方法があります。覚書とは、越境している事実と、これからの扱いを、お互いに確認して書面に残すもの。「次の持ち主にも引き継ぐ」一文があるかどうかが特に大事です。

覚書に書く項目の例

  • 越境している物と、その位置・範囲(測量図を付けると範囲が示せる)
  • 越境の事実を、双方が確認したこと
  • 建て替えや塀の作り直しのときに、越境を解消すること
  • 土地を売ったとき、覚書の内容を次の所有者に引き継ぐこと

引き継ぎの条項がないと、買い手が覚書の効力を受けられるのかがあいまいになります。買い手が安心して買えるかどうかに直結する部分です。

上に挙げたのは、覚書に入れる項目の一例です。実際の文言や条項の組み立ては、土地の状況によって変わります。覚書そのものの作成は、土地家屋調査士・司法書士・弁護士に相談しながら進めるのが安心です。

隣の方への頼み方

覚書は、相手の協力がないと結べません。いきなり書面を持っていくのは避けましょう。

まずは、売却を考えていること、測量で越境が分かったことを話します。そのうえで、相手に不利な内容ではないことを丁寧に伝えます。確定測量の立ち会いをお願いするときに、あわせて相談する方法があります。

相手が応じてくれない、越境の範囲で意見が分かれる。そんなときは、法的な判断が必要になることもあります。一人で抱え込まず、土地家屋調査士や弁護士に相談してください。

隣の方と話す前に、何をどこまで準備すればよいか分からない場合は、売却の進め方を一緒に整理します。

越境が長年続いているとき|取得時効の考え方と売る前の動き方

越境が何十年も続いていると、「時効で、もう相手のものになっているのでは」「うちのものになっているのでは」と気になる方がいます。時効が成り立つかどうかは、この記事では決められません。弁護士が、個別の事情を見て判断する領域です。ここでは、条文にどう書かれているかと、売主がその前にできることだけを整理します。

ことばの解説:取得時効(しゅとくじこう)

他人の物でも、一定の期間、自分の物として使い続けると、その所有権を取得できるという民法の仕組みです。使っている側が取得できる、というのが基本の形です。

条文に書いてある期間と、使い方の条件

民法の所有権の取得時効の規定には、次のように書かれています。

  • 20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する
  • 占有の開始のときに、善意であり、かつ過失がなかったときは、期間は10年になる

占有(せんゆう)とは、その物を事実上、自分の支配のもとに置いていることです。善意とは、他人の物だと知らなかったこと。過失がないとは、知らなかったことに落ち度がないことです。

「所有の意思」「平穏」「公然」とは、ふつうの言葉でいえば、自分の物として、争わずに、隠さずに使っていたという意味合いです。ただし、実際の裁判でそれがどう判断されるかは、別の話です。

条文の言葉 ふつうの言葉にすると(目安)
20年間 基本の期間
10年間 占有を始めたとき、他人の物と知らず、落ち度もなかった場合
所有の意思 自分の物として使っている
平穏 争いなく使っている
公然 隠さずに使っている

表は条文の言葉の目安です。あてはまるかどうかの判定ではありません。

「20年たったから大丈夫」「取られてしまう」と決めない

越境の年数が条文の期間を超えていても、それだけで成り立つとは限りません。期間のほかに、占有の仕方の条件も満たす必要があるからです。「時効になっている」とも「なっていない」とも、売主が自分で言い切るのは避けてください。隣の方に「時効です」と伝えると、話がこじれるおそれもあります。

売る前にできること|はっきりさせる、覚書を結ぶ、弁護士に持っていく

時効の成否を決めなくても、売る前にできることがあります。

  1. 境界をはっきりさせる。 土地の境目の位置が分からないと、越境の範囲も決まりません。確定測量の進め方は境界が決まっていない土地の売却に、隣が立会いに応じないときの法務局の手続きは筆界特定制度の解説にまとめています。登記上の線と、所有権の及ぶ範囲は同じではない点も、後者に書いています。
  2. 越境の覚書を交わす。 越境している事実と、これからの扱いを、お互いに書面で確認しておきます。覚書の書き方が、後の権利関係にどう響くかは、弁護士に見てもらってください。
  3. 弁護士に持っていく。 時効の話が出そうなとき、または隣の方と意見が食い違うときは、早めに相談します。

弁護士に会うときは、次のものを持っていくと、話が進みます。

弁護士に持っていくもの

  • 越境している部分の写真(撮影日が分かるもの)
  • 昔の図面、測量図、航空写真など、越境の始まりが分かる資料
  • 建物の新築時期が分かる書類(登記事項証明書、建築時の書類など)
  • 隣の方とやり取りした手紙やメモ
  • これまで誰が、その部分をどう使ってきたかの聞き取りメモ

占有の年数は、前の持ち主が使っていた期間を合わせて主張できると、民法に定められています。ただし、前の持ち主の占有に条件の足りないところがあれば、それも引き継ぎます。親から相続した土地では、親の代からの使われ方も、あとで大切な手がかりになります。親御さんが元気なうちに、聞き取っておけるなら聞いておきましょう。

買い手への伝え方と契約書での扱い

知っている越境は、必ず買い手に書面で伝えます。伝えずに売って後から見つかると、売主が責任を問われるおそれがあるからです。売った物が契約の内容と違っていたときの売主の責任で、契約不適合責任と呼ばれます。

告知書と重要事項説明に書く

売主は、告知書(物件の状態を売主が買い手に伝える書面)に越境の内容を書きます。仲介会社が入る場合は、重要事項説明書にも載るのが通常です。覚書があれば、その写しも渡します。

契約書に特約を入れる

売買契約書には、「越境を承知したうえで買う」「覚書を買主が引き継ぐ」といった特約を入れる形があります。責任の範囲の考え方は、契約不適合責任と越境・境界のトラブル予防で詳しく解説しています。

ここに注意

「言わなければ分からないだろう」と越境を伏せて売るのはやめましょう。後から買い手に契約の解除や代金の減額を求められるおそれがあります。知っていることは、すべて告知書に書いておくのがいちばんの予防です。



契約不適合責任の免責とは?土地を現状のまま売るときの注意点

越境がある土地の売り方|仲介・買取・隣地のどれを選ぶか

向いている売り先は、越境の中身で変わります。覚書があるか、建物本体が出ているかが分かれ目です。

覚書が結べていて、越境も軽いもの。このケースなら、一般の個人の買い手に仲介で売る方法も十分に考えられます。

覚書がない、または建物本体が越境しているなら、住宅ローンを使う個人には売りにくいことがあります。

もう1つの選択肢が、越境している(されている)隣の方に買ってもらう方法です。越境の問題そのものがなくなるので、相手にとってもメリットがあります。

業者への売却を考えるなら、狭小地の買取と仲介の違いが参考になります。仲介・買取・隣地への売却の全体像は、狭小地の売り方3つの比較にまとめています。



狭小地の買取とは?仲介との違い・買取価格の目安・向いているケース

隣の方との覚書が結べない、または屋根や外壁など建物本体の越境で仲介が難航しそうな場合は、訳あり物件を専門に扱う買取会社に、今の状態のまま買取価格を出してもらう方法もあります。

申し込みのときは、物件の種類を選ぶ欄があります。選択肢は、共有持分・再建築不可・事故物件・借地・底地・空き家・その他です。いちばん近いものを選び、合うものがなければ「その他」を選んでください。状況は、画面の案内に従って伝えます。

よくある質問

Q. 越境していることを隠して売ったらどうなりますか?

知っていた越境を伝えずに売ると、後で買い手から契約の解除、損害賠償、代金の減額を求められるおそれがあります。知っている越境は、必ず告知書に書いて説明してください。

Q. 覚書は自分で作ってもよいですか?

当事者どうしで作ることもできます。ただ、越境の範囲を正確に示すため、測量図を付けると範囲が示せます。内容に不安があれば、土地家屋調査士や司法書士、弁護士、仲介会社に見てもらうと安心です。

Q. 隣の人が覚書にサインしてくれません。売れませんか?

覚書がなくても、売ること自体はできます。ただ、買い手が不安に感じやすく、価格や売れるまでの期間に響くことがあります。越境を直せないか検討するか、業者への売却と比べるのが現実的です。隣と法的な争いになりそうなら、弁護士に相談してください。

Q. 自分の家の屋根が隣に出ています。売る前に直すべきですか?

屋根を直す工事は費用が大きく、現実的でない場合があります。覚書で「建て替えのときに解消する」と取り決めて売る方法があります。古家を解体して更地で売る場合は、解体によって越境そのものがなくなります。

Q. 隣の木の枝が越境しています。自分で切ってもいいですか?

2023年4月の民法改正で、枝の切り取りに関するルールが変わりました。原則は、持ち主に切ってもらうよう求めることです。自分で切り取れるのは、切るよう催告したのに相当の期間内に切ってくれないとき、持ち主やその所在が分からないとき、差し迫った事情があるときの3つの場合です。頼んですぐに切れるわけではないので、まずは持ち主に声をかけ、頼んだ記録を残しましょう。木の根は、以前から自分で切り取ってかまいません。

Q. 越境が20年以上続いています。時効で、自分のものになっているのでしょうか?

条文には、20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ公然と他人の物を占有した者は所有権を取得する、という定めがあります。ただ、あなたの場合にあてはまるかどうかは、この記事では判断できません。占有の始まり方や使われ方で結論が変わるためです。境界をはっきりさせたうえで、弁護士に資料を持って相談してください。

まとめ

  • 越境があっても土地は売れる。ただし解消できない越境は、狭小地ほど価格への影響が大きい。
  • 室外機や枝など、簡単に直せるものは売る前に直す。2023年の民法改正で、催告しても切除されない、持ち主が分からない、急迫の事情がある、のどれかなら枝は自分で切り取れる。根は、もともと自分で切り取れる。
  • 越境が長年続いていても、時効が成り立つかは売主が決められない。境界をはっきりさせ、覚書を結び、弁護士に資料を持って相談する。
  • 移設先がない配管や建物本体の越境は、測量図付きの覚書を結び、次の所有者への引き継ぎを書く。覚書の作成は土地家屋調査士・司法書士・弁護士に相談する。
  • 建物本体のように解消できない越境は、その分だけ有効宅地面積が減り、買取価格に影響しやすい。
  • 越境は告知書・重要事項説明・契約書の特約で、買い手にきちんと伝える。
  • 覚書が結べない、建物本体の越境があるときは、訳あり物件の買取会社や隣地への売却も比べる。

越境がある土地を、仲介・業者の買取・隣地への売却のどれで売るのが合っているか迷ったら、選択肢を並べて一緒に考えます。土地の売却先そのものに迷う場合は、土地を売りたいときの相談先ガイドも参考にしてください。



土地を売りたいとき、どこに相談する?内容別の窓口ガイド

出典:e-Gov 法令検索「民法」(隣地の竹木の枝・根の切除、所有権の取得時効、占有の承継。版ID 129AC0000000089_20260624_508AC0000000045、施行日2026-06-24)。2026-10-12 に本文を確認。

この記事の監修者:十坪とつぼさん(宅地建物取引士)
東京23区で土地の仕入れ営業を担当する宅地建物取引士。狭小地・旗竿地・古家付き土地など、小さくて売りにくい土地を日々見ている。

PR今すぐ査定 LINEで相談 フォームで相談