売る前に確かめる水道管・ガス管の引き込み|解体後の扱いと伝え方
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古い家を壊して更地で売ろうとしたら、「水道は前の道から入っていますか」「ガスは来ていますか」と聞かれた。家に住んでいたときは蛇口をひねれば水が出たので、管がどこをどう通っているかなど考えたこともない、という方は多いと思います。
この記事では、売る前に確かめておきたい水道管・ガス管の引き込みについて、調べ方と、他人の土地を通っていたときの考え方、古家を壊すときの管の扱い、直してから売るか現状で伝えるかの判断を整理します。
結論
売る前に確かめるのは3つです。前の道に本管があるか、自分の土地に管が引き込まれているか、その管が他人の土地を通っていないか。
問題が見つかっても、直してから売る道と、現状のまま買い手に伝えて価格に織り込む道があります。工事の費用は自治体や管の太さ、距離で変わるので、必ず見積もりで確かめてください。
先に答え|確かめるのは「本管・引き込み・通り道」の3点
売る前に見ておくのは、道路の下の本管、そこから自分の土地への引き込み、引き込み管の通り道の3つです。この3つが分かれば、買い手の「水道は大丈夫ですか」という質問に答えられます。
水道は、道路の下に走る太い管(配水管)から、自分の土地へ細い管を分けて入れています。この細い管を、ここでは引き込み管と呼びます。ガスも同じ形です。
こと
道路の下の本管から分かれて、敷地の中の建物まで水やガスを運ぶ管のことです。水道では「給水管」、ガスでは「供給管」と呼ぶことが多く、敷地内の部分は、ふつう土地の持ち主が管理する持ち物になります。古い家では、図面が残っていないことも珍しくありません。
売る前に確かめる順番
- 前の道に本管があるか水道は水道局、ガスはガス会社に、土地の場所を伝えて聞く
- 自分の土地まで引き込まれているかメーターの位置と、配管の図面で確かめる
- 管が他人の土地を通っていないか通っていれば、承諾の有無と引き直しの要否を調べる
- 古家を壊すなら、管の扱いを決める残す・止める・撤去する、のどれにするか
- 直すか、現状で伝えるかを決める費用と値引きの見込みを比べる
水道・ガスは、買い手が家を建てるときの費用に直結します。更地に管が来ていなければ、引き込み工事の費用が買い手の負担になり、そのぶん買い手は値引きを考えます。逆に、きちんと来ている土地だと分かれば、買い手は安心して検討できます。売主が先に確かめておく意味は、ここにあります。
前の道の本管と、自分の土地の引き込みを確かめる
最初にやるのは、水道局とガス会社の窓口に、地番(登記上の土地の番号)を伝えて聞くことです。東京23区の水道は、東京都水道局が窓口になります(区ごとの営業所・サービスステーションなど、担当の窓口は水道局のサイトで確かめてください)。ガスは、使っているガス会社です。都市ガスが来ていない地域では、LPガス(プロパン)の販売店になります。
配管の図面が見られるか、見られるなら誰が申し込めるか(所有者だけか、買い手や代理人もよいか)、手数料がかかるかは、この記事では書いていません。窓口によって案内が違うことがあるので、電話か窓口で聞いてください。
聞くことと、持っていくものを整理しておきます。
| 確かめること | 聞く先 | 持っていくもの |
|---|---|---|
| 前の道に水道の本管があるか | 東京都水道局(担当の営業所など) | 地番、住宅地図 |
| 自分の土地に引き込み管が来ているか、太さはどれくらいか | 同上。配管の図面が見られるか聞く | 納付書や検針票(お客さま番号が分かるもの)があれば。ほかに要る書類は窓口で聞く |
| 都市ガスの本管があるか、引き込みがあるか | 使っていたガス会社 | 地番、契約時の書類があれば |
| 排水管(下水)がつながっているか、他人の土地を通っていないか | 区役所の下水道の担当課、または東京都下水道局の事務所(どちらが窓口かは、地域によって違うことがあります) | 地番、住宅地図 |
排水管の窓口は、区役所で聞くと、必要なら正しい窓口を教えてもらえます。
現地でも手がかりが見つかります。家の敷地の道路側に、四角いふたのついた水道メーターの箱がないか見てください。道路に近い敷地の中にあることが多いのですが、建物や地域によって違います。メーターの箱が隣の家の敷地にあるときや、1つのメーターから2軒分の水が分かれているときは、他人の土地を通る配管の可能性があります。決めつけず、図面や水道局の窓口で確かめてください。
管の太さ(口径)が足りるか
引き込み管には太さ(口径)があります。昔の一戸建ては細めの管で引いてあることが多く、建て替えで水を多く使う設備を入れると、太い管に取り替えるよう求められる場合があります。どんなときに替えるかは水道局の基準で決まるため、この記事では条件を書いていません。買い手が建てる家の計画でも変わります。
売主が自分で「足りる・足りない」を判断する必要はありません。管の太さは、図面や水道局の窓口で確かめ、買い手に聞かれたら答えられるようにしておく、というのがちょうどよい線です。太さと工事の要否は、水道局や、指定給水装置工事事業者(水道局が工事をしてよいと指定した業者)に確かめてください。
他人の土地を通って引き込まれていたとき
水道管やガス管が、隣の土地や私道を通って自分の土地に来ていると、売るときに必ず話題になります。買い手の側からすると、将来の交換や修理のたびに、他人の土地を掘らせてもらう必要があるからです。
こうなりやすいのは、道路から奥まった土地です。旗竿地や、私道の奥にある土地、昔に分けられた土地などで、配管が最短の道ではなく、先に建っていた家の敷地を通って引かれていることがあります。
配管が他人の土地を通っているとき、売主が選べる道
承諾をもらって、そのまま残す
- 工事をしないので、費用を先に出さない
- 通行・掘削を認める書面を、持ち主から取る
- 持ち主が応じてくれるとは限らない
前の道から引き直す
- 他人の土地を通らなくなり、買い手に説明しやすい
- 工事費を売主が先に払う
- 道路を掘る許可や、順番の手続きがかかる
ポイント:
配管が他人の土地を通っているなら、持ち主に、管を置いたままにすること、将来、工事で掘ることを認めてもらい、書面にしておきます。口約束だけだと、持ち主が代わったときに「聞いていない」と言われることがあります。私道の持ち主の承諾書の取り方は、私道持分なしの土地の承諾書の取り方で詳しく書いています。
2023年4月の民法の改正で、ライフラインの引き込みのために他人の土地に管を設ける権利が、法律に書かれました。ただし、実際に承諾が得られずに工事が止まったときの進め方は、通知の手順や費用の分担など、細かい決まりがあります。ここは、司法書士や弁護士に相談する場面です。この記事では踏み込まず、私道の記事に任せます。
売主として、まずやることは次の3つです。
- 配管の図面と、メーターの位置で、どの土地を通っているかを特定する
- 持ち主が分かれば、過去に承諾をもらった書面が家の書類に残っていないか探す
- 持ち主が分からない、または話しにくいときは、不動産会社の担当者に、買い手への伝え方を相談する
トイレや台所の排水管が隣の敷地を通っているときの考え方は、排水管が隣の敷地を通っている土地の売り方で別に整理しています。
隣との間で境界がはっきりしないと、「どこまでが誰の土地か」から決める必要が出てきます。境界の話は境界が決まっていない土地の売り方で、前の道が私道か公道かの調べ方は位置指定道路か二項道路かで整理しています。
古家を壊すとき、引き込み管をどうするか
家を壊すと、引き込み管は「残す」「止めて残す」「撤去する」のどれかを選ぶことになります。どれを選んでも、壊す前に水道局とガス会社へ連絡しておくのが基本です。業者が勝手に管を切るのは危険です。ガスは、閉栓(使えない状態にすること)や供給管の扱いに、ガス会社の手順があります。
| 扱い方 | どういうことか | 売主が気にすること |
|---|---|---|
| 残す | 管を土の中に残したまま、使わない状態にする | 買い手が家を建てるときに、使えるか使えないかの判断が必要 |
| 止めて残す | メーターを外す、ガスを閉栓する。管は埋まったまま | 古い管は、買い手が建て替えのときに新しく引き直すことがある |
| 撤去する | 管を取り除く。どこまで撤去するかは、水道局・ガス会社の決まりによる | 費用と手続きがかかる。買い手は新しい管を入れやすい |
この
水道は、解体のときに水道局へ出す手続きの名前、申込み先、解体の何日前までに連絡するか。ガスは、閉栓や供給管の撤去の依頼先と、依頼から工事までの日数(都市ガスとLPガスで違います)。これらは、水道局やガス会社ごとに決まりが違い、確かめきれていないため書いていません。解体の日が決まったら、早めに水道局・ガス会社へ電話で聞いてください。なお、長期間使われていない給水管を水道局が撤去する取り組みが過去にあったようですが、いまも受け付けているか、対象は何かは、確認できていません。
水道は、解体工事で水を使うことがあります。工事の前に止めてしまうと、粉じんを抑える散水ができなくなるため、止める時期は解体業者と話して決めます。解体の手順と、ライフラインを止める順番は、木造の解体費用の記事にまとめています。ここでは重ねず、売主が決めたいことだけを書きます。
売主が決めたいのは、「撤去まで解体業者に頼むのか、止めるだけにして買い手に任せるのか」の1点です。買い手が家を建てるなら、新しい管をつなぎ直すことがあり、古い管を残しても支障が出ないケースもあります。ただ、古い管が土の中に残っていると、新しい基礎の工事で邪魔になることもあります。
撤去を頼むなら、解体の見積もりに「水道管・ガス管の撤去が含まれているか」を書いてもらいます。含まれていない見積もりは、あとで別料金が出やすいところです。確かめ方は後の節に書きます。
家を壊して更地にすると、固定資産税の扱いが変わるため、時期にも気をつけたいところです。詳しくは更地にすると固定資産税はどうなる?を見てください。
直してから売る?現状のまま買い手に伝える?
引き直しの工事費と、現状で売ったときの値引きを比べて、安いほうを選ぶのが基本です。迷うときは、先に工事をしないほうがやり直しがききます。工事は、やったあとに元に戻せません。
仮の数字で考えます。他人の土地を通る水道管を、前の道から引き直すのに、仮に50万円かかるとします。買い手が「配管の不安があるので30万円引いてほしい」と言うなら、現状のまま売ったほうが売主の手取りは20万円多くなります。反対に、買い手が80万円の値引きを求めてきたら、先に直したほうが得です。50万円も30万円も80万円も、考え方を見せるための仮の数字で、実際の工事費や値引き額ではありません。
ここに
他人の土地を通る配管や、使えない古い管があると分かっているのに、買い手に伝えずに売ると、契約のあとで修理や引き直しの費用を求められることがあります。分かっていることは、書面で伝えておきます。現状のまま売るときの契約書の書き方は、契約不適合責任の免責の記事で説明しています。
引き直しの費用は、動く数字です。新しく引き込むときに水道局へ納める費用があるか、あるなら名前と金額は、この記事では確認できていません。また、管の太さ、道路を掘る距離、舗装の復旧で大きく変わります。ここでは金額を書きません。東京都水道局の窓口、指定給水装置工事事業者の見積もりで確かめてください。
比べるときの手順は、次のとおりです。
直すか、現状で売るかを決める手順
- 現状のまま売った場合の反応を聞く不動産会社に、配管の状況を伝えたうえで、値引きの見込みを聞く
- 引き直しの見積もりを取る指定給水装置工事事業者から、内訳つきで受け取る(契約はまだしない)
- 費用と値引きを比べる安いほう、または売れやすいほうを選ぶ
- 契約書に書く配管の状況と、売主が直す範囲を、書面で決める
古家をつけたまま売るか壊すかの判断では、配管の事情も材料の1つになります。全体の考え方は、古家付き土地の売却の記事にまとめています。庭木や浄化槽、井戸など、水まわり以外の撤去は売る前に庭木・ブロック塀・浄化槽・井戸を撤去するかで扱っています。
引き込み管の扱いを、解体の見積もりで確かめておくと、直すか現状で売るかの判断がしやすくなります。
解体の見積もりで、引き込み管の扱いを確かめる
解体の見積もりを取るときは、水道管・ガス管の撤去が、見積もりの中に入っているかを必ず聞いてください。「一式」だけで済ませている見積もりは、あとから追加の費用が出ることがあります。
解体の
- 水道メーターの撤去や、水道局への連絡を、業者が代わりにやってくれるか
- ガスの閉栓と、ガス管の撤去は、見積もりに含まれているか。含まれないなら、誰がガス会社に頼むか
- 敷地内の古い水道管・ガス管を、掘り出して撤去する作業は、別料金になるか
- 地中に、古い管や浄化槽が見つかったとき、追加の費用はどう扱うか
- 管の撤去が、解体の期間(工期)に影響するか
見積もりは、1社だけで決めずに、複数の業者から取って並べてください。同じ家でも、業者によって「含まれる範囲」が違います。内訳の見方は木造の解体費用の記事に書いています。区によっては、古い建物の解体に助成を出していることがあるので、東京の解体助成金を区ごとに調べるページも見ておきましょう。
水道管・ガス管のほかにも、家を壊すと出てくる手続きがあります。取り壊しの後に、建物の登記を消す手続き(建物滅失登記)が必要です。手順は建物滅失登記とはで説明しています。
PR引き込み管の撤去が含まれるか、見積もりを並べて確かめる:解体工事比較ナビで、地域の解体業者へ、無料で一括見積もり。
引き込み管の扱いまで含めた解体の見積もりが分かると、「壊してから売る」「古家付きのまま売る」を、数字で比べられます。複数の会社の査定額を並べてみるのも、判断の材料になります。
よくある質問
Q. 水道管やガス管が、前の道から入っているかは、誰に聞けば分かりますか?
水道は、東京23区なら東京都水道局(担当の営業所など)、ガスは使っているガス会社が窓口です。土地の地番を伝えて、配管の図面が見られるかを聞きます。図面が残っていない古い家もあるので、そのときは、メーターの位置を目で見て確かめます。
Q. 水道管が隣の土地を通っていると、売れませんか?
売れないわけではありません。ただ、買い手が将来の工事を心配して、価格を下げたり、承諾書を求めたりすることがあります。持ち主の承諾書を取る、前の道から引き直す、現状で伝えて価格に織り込む、のどれにするかは、費用と売りやすさで比べます。
Q. 家を壊したあと、引き込み管は売主が撤去しないといけませんか?
撤去が義務かどうかは、水道局やガス会社の決まりで変わり、この記事では確認できていません。撤去まで頼むかどうかは、買い手が新しく管を入れる前提かどうかでも違うので、解体の見積もりで聞いて、水道局とガス会社にも連絡して確かめてください。
Q. 水道の引き込み工事は、自分で業者を選べますか?
水道法では、水道局が工事のできる業者を指定し、指定を受けた事業者(指定給水装置工事事業者)の工事であることを、水を送る条件にできると定めています。引き込みや引き直しも、この指定業者に頼むのがふつうです。ただし、細かい扱い(小さな変更など)は水道局で違うので、東京都水道局に、どの業者に頼めるか聞いてください。複数の事業者から、内訳つきの見積もりを取って比べましょう。
まとめ
- 売る前に確かめるのは、前の道の本管、自分の土地への引き込み、他人の土地を通っていないか、の3つ
- 窓口は、水道が東京都水道局、ガスがガス会社。地番を伝えて、配管の図面が見られるかを聞く
- 他人の土地を通っていたら、承諾書を書面で取るか、前の道から引き直すかを、費用と売りやすさで比べる
- 家を壊すときは、水道局・ガス会社に連絡し、管を残すか止めるか撤去するかを、解体の見積もりで確かめる
- 引き直しの費用は動く数字なので、見積もりで確かめる。分かっていることは、買い手に書面で伝える
引き込み管の扱いと、直すか現状で売るかの考え方を、売り方の整理から一緒に確かめます。



