再建築不可の家はリフォームして売る?そのまま売る?
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建て替えができない家を売ることになった。古くて傷んでいるところもある。少し直せば買い手がつくのか、それとも直さずに出したほうがいいのか。リフォーム会社に聞けば「直せますよ」、買取会社に聞けば「そのままで大丈夫」と言われそうで、どちらを信じればいいか迷う方も多いと思います。
この記事は、「再建築不可とは何か」の説明は最小限にして、売主が決める1点に絞ります。直してから売るか、今の状態のまま売るか。何を先に調べ、どこで道が分かれるのかを、順番に説明します。再建築不可そのものの仕組みや売り先の比較は、再建築不可の土地は買取できる?売却方法の解説にまとめています。
結論
迷ったら、工事をする前に、まず「今のまま」で買取や査定の見積もりを取るのが安全な順番です。直した費用がそのまま売値に乗るとは限らず、再建築不可の家は、大きな工事の前に建築確認が要るかどうかの確認も必要になるからです。
直す価値が出やすいのは、雨漏りのように「住めるかどうか」に関わる傷みを、買主が自分でローンを使わずに買う場合です。迷う材料が多いときは、直さずに専門の買取会社へ相談する道もあります。詳しくは再建築不可の売り方もあわせて見てください。
売主が決めるのは「直す」か「今のまま」かの1点
順番は、買い手の目線で「何が不安か」を先に知り、その不安を直すことで消せるかを考えることです。工事の見積もりから入ると、直すこと自体が目的になってしまいます。
再建築不可の説明は短くします。再建築不可とは、今ある家を壊すと、新しい家を建てられない土地のことです。多くは、家を建てる土地が道路に2m以上接していないといけないルール(接道義務)を満たしていないのが原因です。
建て替えができないので、買主はいまある建物を使い続ける前提で買います。つまりこの家は、建物の状態がそのまま価値になるわけです。ふつうの土地なら建物が古くても「壊して建てる」で済みますが、ここではそれができません。建物の傷みが、価格にも買い手の安心にも直接響いてきます。
判断の順番は、次の流れで考えると整理しやすくなります。
直すか、そのまま売るかを決める順番
- 建物の傷みを知る雨漏り・傾き・設備のどれが、どの程度かを確かめる
- 買主のローンを考える現金の買主か、ローンを使いたい買主かで、直す意味が変わる
- 工事の前に建築確認を確かめる設計事務所か役所の建築指導課に聞く
- 費用を回収できそうか見るかけた費用がそのまま価格に乗るとは限らない
- 今のままの見積もりと比べる買取や査定を、直す前の状態で取って比べる
直すと売りやすくなるもの、直しても価格に乗りにくいもの
買主が「住めるかどうか」を心配する傷みは、直す意味が出やすい部分です。反対に、好みで選べる部分は、直しても価格に乗りにくくなります。ここでは雨漏り・傾き・設備の3つに分けて見ます。
雨漏りは、直す意味が出やすい傷みです(再建築不可でない家の場合の考え方は雨漏りの告知と直す判断を参照)。屋根や外壁から水が入ると、柱や床が傷み、買主は「買ったあとにどれだけお金がかかるか」が読めなくなります。原因が屋根のずれのようにはっきりしていて、直し方も決まっているなら、売る前に手当てしておく価値があります。ただし、原因がよく分からないまま表面だけ塞いでも、買主の安心にはなりません。
傾きは、ちょっと違います。床や柱が傾いている家は、基礎や地盤が関わっていることがあり、直すと大がかりになりがちです。傾きの程度や原因を、専門の人に見てもらわないと、直す価値があるのかどうかも決められません。気軽に手を出すと、費用ばかりかさむことがあります。
設備(キッチン・風呂・トイレ)は、新しくしても価格に乗りにくい部分です。買い手のほうで、好みの設備に替えたい人が少なくないからです。汚れや故障がひどくて使えない、といった場合だけ、最小限の修理を考えます。
| 傷みの種類 | 直す意味 | 売る前に考えること |
|---|---|---|
| 雨漏り | 出やすい(住めるかどうかに関わる) | 原因を調べて、直した内容を説明できるようにする |
| 傾き | 原因しだい(大がかりになることがある) | 直す前に、専門の人に原因と程度を見てもらう |
| 設備・内装 | 出にくい(好みの問題になりやすい) | 使えないほど壊れていなければ、そのまま |
雨漏りなど、知っている不具合は、直す・直さないにかかわらず買主に伝えておく必要があります。現状のまま売るときの責任の扱いは、契約不適合責任の免責と現状渡しの注意点で説明しています。
買主がローンを使えるかで、直す意味が変わる
買主が住宅ローンを使えるかどうかで、直す意味は大きく変わります。再建築不可の家は、担保としての評価が低くなるため、住宅ローンの審査に慎重な金融機関が多いといわれています。ただ、扱いは金融機関ごと、物件ごとに違います。
ここで大事なのは、売主が決めつけないことです。買主が現金で買うなら、融資の審査はありません。見るのは建物の状態と値段だけです。この場合、雨漏りを直しておけば、買主は修繕費の不安なく検討できます。
買主がローンを使うなら、話が変わります。ローンの審査が通らなければ、建物をいくらきれいに直しても、買えません。つまりローンが使えない前提では、直しても買い手の数はあまり増えないのです。
売主ができる確かめ方はシンプルです。不動産会社に、「この物件にローンを使いたい買主は、実際にいますか。金融機関の反応はどうですか」と聞いてみてください。買取会社には、現金で買う前提で価格を出してもらえることがあります。
再建築不可の家を直すか迷っているときは、何を確かめてから決めるか、手順を一緒に整理します。
大きな工事の前に、建築確認が要るかを確かめる
大きな修繕や模様替えをするときは、工事の前に、建築確認が要るかどうかを確かめてください。建築確認とは、工事を始める前に、建築のルールに合っているかを役所や検査機関に確かめてもらう手続きです。
近年の建築基準法の見直し(いわゆる4号特例の縮小。小さな木造住宅などの工事で、建築確認を省けていた扱いを狭める見直しです)で、建築確認が要る工事の範囲が広がる方向になりました。これまで確認なしで進められた工事のなかにも、確認が要るものが出てきます。どの工事が当てはまるかは、建物の大きさや構造、工事の内容で変わります。この記事では、細かい線引きは書きません。
ここに
「再建築不可だからリフォームできない」とは言い切れません。できる工事もあります。一方で、工事の内容によっては、建築確認が必要になることがあり、確認が必要な場合、再建築不可の家では進められない可能性もあります。契約や着工の前に、設計事務所か、区役所の建築指導課で確かめてください。
確かめるときは、次のように動きます。
- 区役所の建築指導課に、地番(土地の番号)と建物の場所を伝える
- 「この家を、こういう工事で直したい」と、工事の内容を具体的に伝える
- 建築確認が要るか、要るならこの土地で通るのかを聞く
- リフォーム会社の「大丈夫です」は、役所か設計事務所にも確かめてから信じる
確認が要る工事かどうかを知らずに着工すると、あとで進められなくなることがあります。売る前の工事は、買い手に見せるための費用です。ここを確かめずに始めるのは、避けたいところです。
建物が既存不適格(建てた当時は適法だったが、今のルールには合わない状態)にあたる場合の見方は、既存不適格建築物の売り方で説明しています。再建築不可とは別の話ですが、似た場面で混同されがちです。
直した費用は、売値で回収できるのか
かけた工事費が、そのまま売値に上がるとは限りません。これが、リフォームして売るかを考えるときの出発点です。
買主は、「直してあるから高く買う」のではなく、「いくらなら自分が納得して買えるか」で値段を決めます。再建築不可の家は、買い手が限られるので、値段の上がり方にも限りがあります。たとえば雨漏りを直しても、買主が安心して払える金額の範囲が、少し広がるだけのことがあります。
回収できるかを考えるときは、次の3つを見てください。
- 直した結果、買い手が増えるか。 ローンを使えない買主しかいない場合は、直しても買い手の数はあまり変わりません。
- 工事が終わるまでの時間と手間を、待てるか。 工事中は売り出せず、固定資産税や管理の負担が続きます。
- 直した部分を、買主が評価してくれるか。 買主が自分で全部やり替えるつもりなら、きれいにしても評価されません。
業者の見積もりを取るときは、金額だけでなく、「その工事で売値がどう変わると見ていますか」を、不動産会社に聞いてみてください。リフォーム会社は工事の会社なので、売値がいくらになるかまでは見ていないことがあります。
費用の相場は、この記事では書きません。業者と工事の内容で大きく変わるためです。
今のままで買取に出すときに見られること
買取会社は、傷んだ家を直す前提で値段を出すため、売主が直さなくても売れることがあります。再建築不可の物件を専門に扱う会社は、貸す・直して売り直す・隣地と交渉するなど、自社の出口を持っているからです。
買取に出すときは、主に次の点が見られます。
- 道路との関係(なぜ再建築不可なのか。隣地の協力で解消できそうか)
- 建物の状態(雨漏り・傾き・シロアリなど。買取側が直す前提で計算する)
- 立地(駅や周辺の需要。貸しに出せるか)
- 権利関係(持分・境界・私道の承諾など)
つまり、売主が手をかけて直しても、買取の価格に反映されるとは限りません。見積もりは、直す前の今の状態で取るのが先です。何社かに出して比べると、「直してから売る」と「そのまま売る」のどちらが手元に残るかが見えてきます。買取会社の見分け方は、土地の買取業者の種類と見分け方にまとめています。
もう一つの選択肢が、解体して更地にすることです。ただし再建築不可の土地は、壊すと家を建てられないため、使い道が大きく減ることがあります。解体を考える前に、古家付き土地の売却で解体するかを決める基準と、木造の解体費用の見方を読んで、役所で確かめてからにしてください。
買取は
買取は価格が仲介より下がりやすい売り方です。早く確実に手放せる代わりに、高くは売れにくくなります。申し込むと、電話やメールで連絡が来ます。対象の物件や地域は会社ごとに違うので、見積もりを取って比べてください。
判断の分かれ目を、1枚にまとめる
ここまでの話を、直す・直さないの2つで比べます。どちらが正解かは、物件と買主の状況で変わります。
直してから売る/今のまま売る
直してから売る
- 雨漏りなど、原因がはっきりした傷みに向く
- 建築確認が要るか、先に確かめる
- 費用が売値に乗るとは限らない
- 売り出しまでの時間がかかる
今のまま売る
- 買取に出す場合は、直さずに値段を出してもらえる
- 工事の費用や手間がかからない
- 知っている不具合は、買主に伝える
- 価格は、直した場合より下がることがある
| 状況 | 向きやすい進め方 |
|---|---|
| 雨漏りの原因が分かり、現金の買主が見込める | 直してから売る(建築確認を確かめたうえで) |
| 傾きや大きな傷みがあり、原因が分からない | 今のまま、買取で見積もりを取る |
| 買主はローンを使いたい人が中心になりそう | 直す前に、ローンが通るか不動産会社に確かめる |
| 設備や内装が古いだけ | 今のまま売る |
| 工事の前に建築確認が要るか分からない | 先に建築指導課か設計事務所に聞く。分かるまで着工しない |
表の中で、迷う行があれば、それは「まだ確かめていないこと」があるということです。確かめてから、直す・直さないを決めれば遅くありません。
再建築不可の土地は、ふつうの仲介では買い手が見つかりにくいことがあります。訳ありの不動産を専門に買い取る会社なら、今の状態のまま買取価格を出してもらえることがあります。
よくある質問
Q. 再建築不可の家は、リフォームできないのですか?
できる工事もあります。ただ、工事の内容によっては建築確認が必要になることがあり、確認が要る場合は、再建築不可だと進められない可能性があります。契約や着工の前に、設計事務所か区役所の建築指導課で、工事の内容を伝えて確かめてください。
Q. 4号特例の縮小で、何が変わったのですか?
建築確認が要る工事の範囲が、広がる方向で見直されました。どの工事が当てはまるかは、建物の大きさや構造、工事の内容で変わります。この記事では細かい線引きは確かめられていないため書いていません。国土交通省の資料か、建築指導課で確かめてください。
Q. リフォームの費用は、いくらくらいかかりますか?
この記事では金額を書いていません。業者と工事の内容で大きく変わるためです。見積もりは複数の会社に取り、「その工事で売値がどう変わるか」を不動産会社にも聞いて、回収できそうかを見てください。
Q. 再建築不可の家に、買主は住宅ローンを使えますか?
使えるかどうかは、金融機関と物件で違います。慎重な金融機関が多いといわれていますが、売主が決めつけることはできません。不動産会社を通じて、ローンを使いたい買主がいるのか、金融機関の反応はどうかを確かめてください。
Q. 直さずに売ると、あとで責任を問われませんか?
知っている不具合を伝えずに売ると、あとで責任を問われるおそれがあります。直さない場合でも、雨漏りなどは買主に伝えてください。現状のまま売るときの責任の扱いは、売買契約の内容で決まります。
まとめ
- 売主が決めるのは「直してから売る」か「今のまま売る」かの1点。工事の見積もりより先に、買い手の不安を知る
- 雨漏りのように、住めるかどうかに関わる傷みは、直す意味が出やすい。設備や内装は、価格に乗りにくい
- 買主がローンを使えるかで、直す意味が変わる。ローンが使えない前提では、直しても買い手は増えにくい
- 大きな修繕や模様替えの前に、建築確認が要るかを、設計事務所か建築指導課で確かめる。「できない」とも「大丈夫」とも決めつけない
- 工事費は売値にそのまま乗るとは限らない。直す前の今の状態で、買取や査定の見積もりを取って比べる
直すか迷う家ほど、工事を決める前に確かめることが多いものです。順番を守れば、遠回りは避けられます。

