狭小地の間取りはどうなる?15坪で建つ家と、売る前の比べ方
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相続した小さな土地を前に、「ここに家を建てるとしたら、どんな間取りになるんだろう」と考えたことはありませんか。売ると決めていても、建てる場合の姿が分からないと、売るほうが良いのか判断のしようがありません。
この記事では、15坪前後の狭小地に建つ家の間取りが、何で決まるのかを見ていきます。そのうえで、間取りの案をどうやって手に入れるか、そして売る場合と建てる場合をどう比べるかまで整理します。
結論
狭小地の間取りは、広さよりも「間口(道路に面した幅)・道路の向き・階段の位置」で大きく変わります。
建てる場合の間取りと費用は、複数社に案を出してもらうと比べられます。売る場合の見積もりも並べて、どちらが得かは土地しだいと考えて決めるのが安全です。
狭小地に「どんな家が建つか」は、売る前に知っておくと役に立つ
売るか建てるかを決める前に、この土地に建つ家の姿を知っておくと、判断の材料が増えます。売る場合でも同じです。買い手はその家の姿を想像して、値段を考えるからです。
狭小地は、同じ15坪でも「建つ家」がまるで違います。道路との位置関係や形で、使える広さも、暮らしやすさも変わるためです。ところが、広さの数字だけを見て「小さいから無理」と決めてしまう方が少なくありません。
売る側にとっても、建てる側の情報は役に立ちます。例えば、建売業者(建売業者に土地を売るにはで説明しています)や個人の買い手が「この土地なら3階建てが建つ」と読めば、買う理由ができます。逆に、建てられる家のイメージがつかめない土地は、買い手も判断に迷います。
ただし、この記事は「建てたほうがいい」とも「売ったほうがいい」とも言いません。後半で、両方の数字を並べて比べる方法を説明します。
15坪・10坪で建つ家の目安
15坪は約49.6㎡、10坪は約33㎡です。ここに建てられる床面積の計算(建ぺい率・容積率・前面道路の幅による変化)は、別の記事に詳しくまとめています。この記事では繰り返さず、結果だけ受け取って間取りの話に進みます。
計算の手順と数字の例は、容積率・建ぺい率の計算例と売却先の比較で確認してください。
図は一例です。建てられる広さは、建ぺい率・容積率・道路の幅などの条件で変わります。自分の土地で何階建て・何坪の家が建つかは、建築士などの設計者と区役所に確かめてください。
建つ家の目安をつかむには、実際に狭小住宅が建っている様子も参考になります。中古の狭小住宅が市場でどう見られているかは、木造3階建ての狭小住宅の評価と売り方にまとめています。
覚えておきたいのは、床面積は「敷地の広さ」だけでは決まらないことです。道路の幅や用途地域、防火の規制で、同じ15坪でも建てられる家の大きさが変わります。そのため、まず自分の土地の前面道路と用途地域を調べることが、間取りを考える最初の一歩になります。
調べ方は、区役所の窓口で、地番(土地の登記上の番号)を伝えて聞くのが確実です。前の道の種類と用途地域は、別々の課が受け持つ区もあります。課の名前は区によって違うため、まず区役所の代表電話で「前の道の種類と用途地域を調べたい」と伝え、担当の課を聞いてください。電話では答えず、窓口での確認を求める区もあります。
持っていくものは、登記簿謄本(登記事項証明書)か固定資産税の納税通知書。これで場所の特定が早く済みます。
前の道が狭い場合は、建て替えのときに敷地を後ろに下げる決まりがあります。くわしくはセットバックが必要な土地の売却で説明しています。
狭小地の間取りで効くのは、幅・方角・階段の位置
狭小地の間取りを左右する主な要素は、間口の幅・道路が向いている方角・階段の位置の3つです。この3つが決まると、玄関や水回り、リビングの置き場所の大筋が見えてきます。実際に何ができるかは、建築士などの設計者に確かめてください。
こと
土地が道路に面している幅のことです。同じ面積でも、間口が広くて奥行きが短い土地と、間口が狭くて奥行きが長い土地では、建つ家の間取りがまるで違います。
間口の幅で、1階の使い方が変わる
間口が狭いと、1階に玄関・階段・駐車スペースを全部並べるのは難しくなります。階段の幅も、間口の中から取らなくてはなりません。
例えば、上の図よりも間口が狭い4m前後の土地(仮の数字です)に、駐車スペースと玄関を並べるとします。壁の厚みを引くと、使える幅はもっと狭くなります。駐車スペースを取るなら玄関は脇に寄せ、取らないなら1階を玄関と水回りに回す、といった判断が出てきます。
どちらを選ぶかは、車を持つかどうか、駐車場を近くで借りられるかで変わります。ここで変わるのは間取りだけではありません。買い手の層も変わります。
道路の向きで、リビングの階を決める
隣の家が近い狭小地では、窓を取れる面が限られます。土地によっては、前の道路側と奥側の2面だけになります。そのため、道路がどの方角に面しているかが、明るさに直結します。
南向きの道路に面していれば、南側の窓から光を取れます。ただ、1階は隣家の影になりやすい。そこでリビングを2階や3階に上げる間取り(よく「リビング階上」と呼ばれる形)がよく選ばれます。北向きの道路なら、奥側に光の入る面ができるため、奥にリビングや吹き抜けを持ってくる設計も考えられます。
方角が悪いから無理、と決めつける必要はありません。工夫できる余地があるかどうかは、設計者に聞いてみてください。
階段の位置で、使える部屋の広さが決まる
3階建てでは、階段が各階の面積を相当占めます。階段をどこに置くかで部屋の形が変わるため、設計者がまず考えるところです。階段を家の中心に置くか、壁側に寄せるか。置き方ひとつで、部屋が使いやすい長方形になるか、角が欠けた使いにくい形になるかが決まります。
ポイント:
間取り図を見るときは、広さの数字より階段と水回りの位置に注目してください。位置を変えられない部分が決まると、残りの部屋の使い方が見えてきます。
間取りの案は、複数社に出してもらって比べる
自分で間取りを描くのは難しいので、設計の案は、建築会社に出してもらうのが近道です。間取りの案や見積もりを、まとめて依頼できるサービスがあります。無料かどうかや、依頼後の流れは、サービスごとに違います。依頼の前に、費用がかかるかを確かめてください。
大事なのは、1社ではなく複数社に出してもらうことです。1社だけの案では、その間取りが良いのか、価格が妥当なのか、判断のしようがありません。2〜3社の案が並べば、同じ土地でも提案の違いが見えてきます。
依頼するときは、次の点を決めておくと話が進みます。
依頼する
- 土地の住所と面積(登記簿や納税通知書で確認)
- 家族の人数と、ほしい部屋の数
- 駐車スペースがいるかどうか
- 総予算の上限(ローンを使うかも含めて)
- 建てる時期のめど
注意点が3つあります。ひとつ目は、依頼すると会社から電話やメールで連絡が来ることです。連絡手段や時間帯は、依頼のときに伝えておくと安心です。ふたつ目は、土地の条件によっては、対応できる会社が見つからない場合があることです。狭小地や、前の道が狭い土地では、なおさらそうなります。みっつ目は、出てきた案の金額の中身です。含まれる費用の範囲を、各社に確認して、同じ条件にそろえて比べてください。
案が出てきたら、設計の根拠も聞いてみましょう。「なぜこの階数なのか」「なぜこの階段の位置なのか」。理由を説明してもらえると、納得して選べます。
このあたりの考え方は、売る側の一括査定でも同じです。複数社を並べて比べる方法は複数社の査定を並べて比べる方法で整理しています。
建てる場合の案が手元に集まったら、次は売る場合の見積もりと並べる番です。
「売る」と「建てる」は、両方の見積もりを取って比べる
売るか建てるかは、どちらが得かは土地しだいです。形や道路、お住まいの状況で、答えが変わります。だから、両方の見積もりを取ってから決めます。
売る場合と建てる場合の見方(例)
売る場合
- 見積もりは「売却の査定額」
- 仲介手数料や税金などを引いた手取りで見る
- 買い手が見つかるまでの期間がある
建てる場合
- 見積もりは「建築の総額」
- 解体・諸費用・ローンの利息も足して見る
- 完成までの期間と、その間の住まいが要る
売る場合のやり方は、狭小地の売却の3つの方法とコツで説明しています。
片方だけ見ると、判断を誤りやすい
建築の案だけを見ていると、「建てる」前提で考えが進みます。売却の査定だけでも、同じことが起きます。片方だけでは、もう一方と比べる物差しがないからです。
また、解体してから売ったほうが得かどうかも、土地によって変わります。建て替えできる土地は、更地のほうが買い手に選ばれることがあります。建て替えできない土地は、解体すると使い道がかえって狭まることがあります。解体の前に、建て替えできるかを区役所で確かめてください。建て替えできない土地の売り方は再建築不可の土地の売却、道路に2m接していない場合は接道義務の解説で説明しています。
解体の費用の見方は木造の解体費用の見積もりの取り方に、更地にしたあとの固定資産税は更地にすると固定資産税はどうなるかにあります。古い家が建ったままの売り方は古家付き土地の売却で比べられます。
ここに
どの見積もりでも、数字だけでなく金額の根拠を聞いてください。「この査定額はどの取引を参考にしたのか」「この建築費に何が含まれるのか」。説明を聞いて、他社の数字と並べると、比べやすくなります。
比べるときに見る4つの数字(売る側/建てる側)
比べるときは、「手元に残るお金」「かかる期間」「あとから出る費用」「暮らしの条件」の4つを並べます。見積もりの総額だけを見ず、同じ物差しで見ることが大事です。
| 見る数字 | 売る側 | 建てる側 |
|---|---|---|
| 手元に残るお金(または出ていくお金) | 売却額から、仲介手数料・測量費・解体費・税金などを引いた手取り | 建築費に、解体費・諸費用・ローンの利息を足した総額 |
| かかる期間 | 売り出してから引き渡しまで。買い手しだいで長引く | 設計・契約から完成まで。その間の住まいも要る |
| あとから出る費用 | 譲渡所得の税金(個別の判断は税理士へ) | 固定資産税など、持ち続けるかぎりかかる費用 |
| 暮らしの条件 | 売ったあと、どこに住むか | ローンが使えるか、家族の暮らしに合う間取りか |
同じ物差しで見るコツ
売る側の見積もりは「売却額」、建てる側の見積もりは「総額」と、数字の意味がもともと違います。そこで、売る側は手取り、建てる側は総額を出し、そのうえで2つを並べます。
手取りの出し方は土地売却の税金と費用の内訳にあります。仲介手数料は国の告示で上限が決まっていて、実際に払う額の確かめ方は仲介手数料の確かめ方で説明しています。これらを売却額から引いたものが、売る場合の手取りです。
売る側の相場の幅をつかむには、複数の会社の査定額を並べて見るのが近道です。調べ方は土地の値段・相場の調べ方にまとめています。査定額の違いが気になるときは、査定額が会社で違う理由も参考になります。
よくある質問
Q. 15坪の土地に、3階建ては建てられますか?
建てられるかどうかは、土地ごとに違います。前の道路の幅、用途地域、防火地域かどうかなどで、建てられる大きさが変わります。区役所の窓口に、地番を伝えて確認してください(担当課は区によって違います)。
Q. 狭小地の間取りは、自分で考えたほうがいいですか?
ご自身で間取り図まで描く必要はありません。ほしい部屋の数や暮らし方を書き出しておけば、建築会社や設計事務所が案にしてくれます。複数社の案を並べると、提案の違いが分かります。
Q. 間取りの案を依頼すると、必ず提案してもらえますか?
土地の条件によっては、対応できる会社が見つからないことがあります。狭い道に面した土地や、特殊な形の土地では、特にそうなりやすいです。依頼の前に、対応できる土地の条件を確かめておくと安心です。
Q. 間取りの案を依頼したら、売れなくなりますか?
そんなことはありません。案を出してもらうことと、売ることは別のことです。案を見たうえで売ると決めても構いません。連絡が来ることだけ、あらかじめ頭に置いておいてください。
Q. 売るのと建てるのと、結局どちらが得ですか?
土地の形、道路、お住まいの状況で変わるので、一概には言えません。売る場合の手取りと、建てる場合の総額を、同じ物差しで並べて比べてみてください。税金については、税理士に確認すると安心です。
まとめ
- 狭小地の間取りは、広さより間口・道路の向き・階段の位置で決まります。
- 建つ家の大きさは、前面道路の幅や用途地域で変わります。まず区役所の窓口で確認しましょう。
- 間取りの案は、複数社に出してもらうと比べられます。依頼すると、会社から連絡が来ます。
- 売る側と建てる側は、どちらかに寄せず、両方の見積もりを取って比べるのが安全です。
- 比べるときは、手元に残るお金・期間・あとから出る費用・暮らしの条件の4つを見ます。
売るか建てるか、どちらの道でも、何から手をつけるか迷う場合は、進め方を一緒に整理します。

