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いらない土地は寄付できる?自治体・法人に断られる理由と手放し方

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使わない土地を持ち続けるのが重荷で、「タダでいいから誰かに引き取ってほしい」と考える方は少なくありません。固定資産税は毎年かかりますし、草が伸びれば近所からも言われます。

そこで出てくるのが「役所に寄付できないか」という発想です。結論から言うと、自治体が土地を受け取るのは、ごく限られた場合だけです。

この記事では、自治体・法人・個人に寄付しようとしたときに断られやすい理由と、寄付できないときに残る道を整理します。

結論
いらない土地の寄付は、自治体も法人も個人も、原則として「受け取る側に得があるとき」にしか成立しません。使い道のない土地は、まず断られると思っておいたほうが安全です。
手放す道は寄付だけではありません。国に引き取ってもらう制度、お金を払って引き取ってもらう業者、隣の土地の持ち主への売却。この3つを順に確かめると、行き先が見えてきます。

土地の寄付は、なぜ簡単に受け取ってもらえないのか

答えは単純で、土地をもらった側にも、税金と管理の負担がずっとついてくるからです。

土地は、持っているだけで毎年の固定資産税がかかります。草刈りもゴミの片づけも要ります。事故があれば所有者の責任を問われます。ほしい理由がない土地を、お金を払ってまで持ちたい人は、ほとんどいません。

これは自治体でも同じです。自治体のお金は住民の税金なので、使い道のない土地を増やすと、住民への説明がつきません。

寄付の相手ごとの、受け取りやすさ(一般的な傾向)

自治体(区・市)

  • 道路や公園など、公共で使う予定があるときだけ検討する
  • 条件は自治体ごとに違う

法人(会社・団体)

  • 事業で使えるなら話が進むことがある
  • 使い道のない土地は、まず断られる

個人(知人・親族)

  • 相手が望めば成立する
  • 受け取った側に税金がかかることがある

どこに頼めそうか、手放す道はどれかの整理がつかないときは、売り方の整理から一緒に進めることもできます。

自治体に断られる理由|土地 寄付 自治体の実際

自治体への寄付は、「受け取ってください」と頼む側ではなく、自治体が「ほしい」と思うかどうかで決まります。

寄付を受け付ける基準を決めている自治体もあれば、基準がなく、その都度判断する自治体もあります。中身は区や市で違うため、この記事では書いていません。ただ、断られやすい理由には共通点があります。

一般に断られやすい理由 自治体の側の事情
公共で使う予定がない 使い道がないと、管理費だけがかかる
家や塀などが残っている 解体や撤去の費用を自治体が負担することになる
境界がはっきりしていない 隣との争いを、あとから自治体が引き受けることになる
抵当権など、他人の権利が付いている 受け取っても、自由に使えない
道路に接していない・形がいびつ 使いにくく、将来の活用も見込めない
土の中に埋設物や汚染のおそれがある 撤去や処理の費用が読めない

上の表は一般的な理由で、すべての区に同じ基準があるわけではありません。23区ごとの基準や窓口は、この記事では確かめられていません。

窓口は、区役所の財産や用地を担当する課になることが多いですが、名前は区ごとに違います。区役所の代表窓口で「土地の寄付を相談したい」と伝えると、担当課を教えてもらえます。持っていくものは、登記簿謄本(登記事項証明書)、地番が分かる資料、土地の写真です。

ここに注意

寄付を申し出る前に、勝手に建物を壊したり、樹木を切ったりしないでください。受け取ってもらえなかったとき、解体費用だけが残ります。まず「今の状態で受け取れるか」を聞いてからにしましょう。費用の考え方は木造の解体費用は何で決まる?見積もりの取り方と狭小地の注意にまとめています。

ちなみに、セットバックが必要な土地では、道路にあたる部分だけを自治体に寄付する手続きがあります。これは土地まるごとの寄付とは別の話で、セットバックが必要な土地の売却で説明しています。

法人・個人への寄付で起きること

自治体以外にも、会社や団体、知人や親族に頼む方法はあります。ただ、ここにも落とし穴があります。

法人に寄付するとき

会社や団体が受け取るのは、事業に使える見込みがある土地です。ただし、個人が法人に土地を寄付すると、寄付した時の時価で売ったものとみなされて、所得税(譲渡所得)がかかることがあります(みなし譲渡。出典:国税庁タックスアンサー No.3108)。買ったときより値上がりしていれば、お金を1円も受け取っていないのに、税金だけ発生するおそれがあるわけです。

例外もあります。国や地方公共団体への寄付は、この税金がかかりません。公益を目的とする法人への寄付も、国税庁長官の承認を受ければかからない場合があります。ただし、申請の期限や使い道の条件があります。

個別の税額や、承認を受けられるかは、状況で変わります。寄付を決める前に、税理士か税務署に確認してください。

個人に寄付するとき

親族や知人に土地を渡す場合は、法律上は「贈与」になります。もらう側には、贈与税、登録免許税、不動産取得税などの負担がかかることがあります。贈与税は国税庁、不動産取得税は都道府県税(東京都なら都税事務所)、登録免許税は名義変更の登記にかかる税です。金額や条件によっては、かからない場合もあります。個別の判断は、税理士や税務署に確認してください(出典:国税庁タックスアンサー No.4402、地方税法)。

タダでもらっても、あとから税金の通知が届いて関係がこじれる、という話はよくあります。いらない土地を押しつける形になると、相手の負担を先に説明して、納得してもらうことが欠かせません。



土地売却の税金と費用|内訳と、税額を自分で見積もる手順

寄付できないとき、手放す3つの道

寄付で断られても、そこで終わりではありません。残る道は主に3つです。

土地を手放す道を確かめる順番(一例)

  1. 隣地の持ち主に聞く隣の土地とつなげて使えるなら、買ってもらえることがある
  2. 国庫帰属の要件を確かめる建物がない・境界がはっきりしているなどの条件を満たすか
  3. 引き取り業者・買取会社に聞くお金を払うことになる場合があるので、費用と契約内容を比べる

隣の土地の持ち主に売る(または譲る)

いちばん現実的なのが、隣の土地の持ち主です。隣にとっては、自分の土地が広くなったり、形が整ったりする利点があります。ほかの人には使いにくい土地でも、隣の人にとっては価値があることがあります。

値段をつけるのが難しいときは、安くても構わないので売る、という進め方もあります。境界があいまいなら、先に整理しておくと話が早いです。進め方は境界が決まっていない土地は売れる?隣が協力しないときの進め方で説明しています。

国に引き取ってもらう(相続土地国庫帰属制度)

相続で取得した土地なら、国に引き取ってもらう制度があります。建物がない、境界が明らかなど、条件はあります。申請のときの審査手数料(土地1筆につき14,000円)のほか、承認後に、10年分の管理費にあたる負担金を国に納めます。負担金は、土地の種類で計算が変わります。
宅地(市街化区域などにある、すぐ建物を建てられる土地)は、面積に応じて計算され、20万円を超えます。例えば50㎡の宅地なら、約41万円です(仮の例。条文どおりに計算した額です)。宅地以外の土地は、20万円が基本です。ただし、農地と森林は面積で計算される場合があります(出典:相続土地国庫帰属法施行令。額は政令で決まっており、変わることがあります。申請前に、法務局の相談窓口で確認してください)。

対象になる土地・ならない土地、手続きの流れは国に返せる土地の確かめ方と申請の流れにくわしく書いています。相続(相続人への遺贈を含む)で取得した土地だけが対象で、購入した土地は使えません。

お金を払って引き取ってもらう(引き取り業者)

「無料で引き取ります」「処分します」とうたう業者もいます。土地によっては本当に引き取ってもらえますが、費用は土地の状態や地域で大きく変わります。業者によって、見積もりに含まれるものも違います。

ここに注意:高い費用を請求されることがあります

「無料」とうたいながら、あとから手数料や管理費、測量費などの名目で高額な請求をされる相談があります。契約を急がせる、電話で突然勧誘してくる、費用を先に振り込ませる、といった業者は避けてください。契約書に署名する前に、家族や信頼できる人に見せ、不審に感じたら消費生活センター(消費者ホットライン188)に相談しましょう。この記事では、特定の業者の名前や費用の相場は挙げていません。

引き取り業者に頼む前のチェック

  • 見積書に、引き取り費用の内訳が書いてあるか
  • 名義変更(所有権移転登記)まで済ませてもらえるか
  • 引き渡したあと、土地の管理責任から外れると契約書に書いてあるか
  • 売買契約なのか、別の契約なのか、書面で説明があるか
  • 2社以上の見積もりを並べて比べたか

業者の選び方は土地の買取業者の選び方|見積もりで確認すべき5つの点と業者の種類でも整理しています。名義が移らないまま「引き取り」と言われたら、管理責任は残ったままです。必ず、登記まで済んだことを確かめてください。

20万円〜国庫帰属が承認されたとき、1筆の土地について国に納める負担金の最低ライン。宅地・農地・森林は面積に応じて高くなる(50㎡の宅地で約41万円、仮の例)

寄付や引き取りの費用を払うくらいなら、今のまま売れる可能性も一度は確かめたいところです。再建築不可の土地や、古家が建ったままの土地でも、状況によっては買い手がつくことがあります。

訳ありの土地は、ふつうの仲介では買い手が見つかりにくいことがあります。訳ありの不動産を専門に買い取る会社なら、今の状態のまま買取価格を出してもらえることがあります。買取の価格は、仲介で売るより低くなりやすい点には注意が必要です。申し込むと電話やメールで連絡が来ますし、対象の土地や地域は会社ごとに違います。それでも、寄付を考える前に一度見てもらう価値はあります。

寄付も国庫帰属も難しいとき、先に確かめること

どの道も当てはまらない土地は、なぜ使えないのか、原因をはっきりさせることから始めます。原因が分かれば、その部分だけ手を入れて道が開けることもあるからです。

ポイント:原因から逆算する

建物が残っているなら、解体の見積もりを取る。境界が不明なら、測量の費用を調べる。道路に接していないなら、通行の権利を確かめる。原因ごとに、土地を手放すためにかかる費用が見えてきます。

たとえば、古い家が建っているなら古家付き土地の売却|相場・注意点と解体するかの判断基準が参考になります。道路に面していない土地なら袋地・無道路地の売却、再建築できない土地なら再建築不可の土地は買取できる?で、その土地ならではの売り方を整理しています。

ことばの解説:管理責任

土地の持ち主として、草木の手入れや崩れの防止など、土地を安全に保つ責任のことです。土地から事故が起きたときは、持ち主が賠償を求められるおそれがあります。持ち主でなくなるまで、この責任は続きます。

一方で、売れない原因を探すのに時間がかかるなら、土地を持ち続ける間の負担も考えておく必要があります。放置すると、空き家なら特定空家とは?空き家を放置するリスクと固定資産税が上がる流れのような問題につながることがあります。売れない理由の見分け方は寄付の前に土地が売れない原因を見分ける方法にあります。



いらない土地を相続したら|相続放棄・売却・国庫帰属を比べる

まだ相続していない土地なら、相続放棄という選択肢もあります。ただし、放棄しても管理の責任が残ることがあります。そこは上の記事で比べています。名義を自分に変える手続きの期限は相続登記の義務化とは?を確認してください。

共有名義の土地で、自分の持ち分だけ手放したい場合は、共有持分を放棄するとどうなる?売却との違いと現実的な手放し方が近い話です。

どこに何を相談すればいいか分からないときは、売り方の整理から一緒に進めることもできます。

よくある質問

Q. 土地を自治体に寄付できますか?

できる場合もありますが、ごく限られます。道路や公園など、自治体が公共のために使う予定がある土地が中心です。使い道のない土地は、断られることが多いと考えてください。基準は区や市で違い、この記事では確かめられていません。役所の担当課に確かめてください。

Q. 土地を無料であげれば、税金はかからないのですか?

かかることがあります。法人に渡すと、売ったとみなされて所得税がかかる場合があります。個人に渡すと、受け取る側に贈与税などがかかります。個別の判断は、税理士か税務署に確認してください。

Q. 寄付した土地の固定資産税は、いつから払わなくていいですか?

固定資産税は、その年の1月1日時点で、登記簿に所有者として載っている人に課されます(地方税法)。年の途中で名義が変わっても、その年の分の通知は1月1日の所有者に届くのが原則です。名義が変わるのが1月1日の前か後かで、払う年が変わります。個別の扱いは、東京23区なら都税事務所、そのほかの市は市役所の税の担当課に聞いてください。

Q. 相続した土地なら、必ず国に引き取ってもらえますか?

いいえ。国庫帰属は審査があり、建物がある土地や境界が不明な土地などは対象外です。承認されても負担金がかかります。

Q. 「無料で引き取る」という業者は信用できますか?

業者によります。見積もりの内訳、名義変更まで済ませてもらえるか、契約書に管理責任から外れると書いてあるかを確かめてください。1社だけで決めず、2社以上を並べて比べると安心です。

まとめ

  • 土地の寄付は、受け取る側にも負担がつくため、使い道のない土地はまず断られる。
  • 自治体は、公共で使う予定のある土地が中心。基準は区や市で違うので、担当課に確かめる。
  • 法人や個人に渡すと、税金がかかることがある。税理士か税務署に確認する。
  • 手放す道は、隣地への売却、国庫帰属、引き取り業者の3つ。順に確かめる。
  • 売れない原因をはっきりさせると、道が開けることがある。

寄付が難しいと分かったら、次に何を確かめればいいか、一緒に整理することもできます。

この記事の監修者:十坪とつぼさん(宅地建物取引士)
東京23区で土地の仕入れ営業を担当する宅地建物取引士。狭小地・旗竿地・古家付き土地など、小さくて売りにくい土地を日々見ている。

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