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実家じまいの進め方|片付けから相続手続き・売却までの順番

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親が施設に入ることになった。実家にはもう誰も住んでいない。あるいは、親が亡くなって、実家をどうするか考え始めた。「実家じまい」という言葉を、そんなタイミングで初めて目にした方も多いのではないでしょうか。

片付け、名義変更、税金の手続き、売却。やることが多すぎて、何から手をつければいいのか分からなくなるのは自然なことです。この記事では、実家じまいの全体の順番を地図のように示します。それぞれの詳しいやり方は、専門に扱う記事にご案内します。

結論
実家じまいとは、誰も住まなくなった親の家を、片づけて手放すまでの一連の作業を指す言葉です。法律用語ではありません。
順番はおおむね「①相続人と方針を決める → ②名義を変える → ③家財を片づける → ④建物の扱いを決める → ⑤売る・手放す」の5つです。
つまずきの多くは順番を間違えることから生まれます。片付けを急ぐ前に、まず相続人と方針を確認してください。

「実家じまい」とは?きっかけになる3つの状況

「実家じまい」に決まった定義はありません。親が住んでいた家を、片付けから相続の手続き、売却や解体まで含めて手放していく一連の作業を指す言葉として、ここ数年でよく使われるようになりました。

この言葉で検索する方の状況は、だいたい次の3つのどれかです。

  • 親が施設や子の家に移ることになり、実家が空き家になりそう
  • 親が亡くなり、誰も住まない実家が残った
  • 実家が空き家のまま数年経っていて、そろそろ何とかしないといけないと感じている

どの状況でも、やることの中身はほぼ共通しています。相続人を確認し、名義を整理し、家財を片づけ、建物をどうするか決めて、最後に売るか活用するかを決めるという流れです。この記事は、その全体の順番を示す地図の役目に徹します。片付けの具体的なコツや、税金の細かい計算は、それぞれの専門記事に譲ります。

なお、建物の状態や権利関係に個別の事情がある場合(再建築不可、境界未確定、借地権など)は、種類ごとに整理した訳あり不動産・訳あり土地とは?種類別の売り方も参考にしてください。

実家じまいの5つのステップ|何から手をつければいいか

答えから言うと、実家じまいの基本の順番は5つのステップです。順番を守ることが、後々のトラブルを避ける一番の近道になります。

実家じまいの5つのステップ

  1. ①相続人と方針を決める誰が相続するか、売るか残すかを話し合う
  2. ②名義を変える相続登記で、実家の名義を相続人に変える
  3. ③家財を片づける重要書類を先に確保し、形見分け・処分を進める
  4. ④建物の扱いを決める古家のまま残すか、解体して更地にするか
  5. ⑤売る・手放す売却、または国庫帰属などの制度を検討する

一つずつ、詳しく見ていきましょう。

①相続人と、これからの方針を決める

まず確かめたいのは、遺言書があるかどうかと、相続人が誰かです。戸籍をたどって相続人を確定させ、実家をどうするか(誰が引き継ぐか、売って代金を分けるか)を家族で話し合います。

親がまだ存命で、施設への入所をきっかけに実家じまいを考え始めた場合は、少し事情が変わります。売主が親本人になるので、時期の判断や税金の特例は実家の売却|相続・兄弟・税金と、後悔しない進め方で詳しく説明しています。

相続する土地に、正直あまり価値を感じていない。むしろ管理の負担の方が大きい。そう感じているなら、相続そのものを見直す選択肢もあります。相続放棄や国に引き取ってもらう制度との比較は、いらない土地を相続したら|相続放棄・売却・国庫帰属を比べるにまとめました。

②名義を、相続人に変える(相続登記)

親が亡くなっている場合、実家の名義を相続人に変える「相続登記」が必要です。相続登記をしないと、実家を売ることはできません。2024年4月からは、この手続きが法律上の義務にもなりました。

期限や、自分で申請するか司法書士に頼むかの選び方は、相続登記の義務化とは?期限・過料と、売る前にやることで解説しています。

③家財を片づける(遺品整理)

実家じまいという言葉で、いちばんイメージしやすいのがこの片付けの工程かもしれません。ただ、順番には少しコツがあります。庭に祠やお墓がある実家は、片付けだけでは済まないので、祠のある土地を売るときの進め方を先に見ておくと安心です。

まず確保したいのは、権利証(登記識別情報)・印鑑・通帳・保険証券といった重要書類です。片付け業者に一括で依頼する前に、家族の目で一度は確認しておくと安心です。そのうえで形見分けを行い、残った家財は自分たちで処分するか、業者に依頼して片付けます。

片付けの費用が何で決まるか、どこまで片付けてから売るかの比べ方は、遺品整理の費用と、片付けずに売る選択で整理しています。

家財が大量に残っていて、片付けに時間や費用をかけられない。そんなときは、片付けずに現状のまま買い取ってもらう方法もあります。空き家の買取|仲介で売れない家を業者に買ってもらう方法と価格の目安で、仲介との違いや向いているケースを紹介しています。



空き家の買取|仲介で売れない家を業者に買ってもらう方法と価格の目安

④建物の扱いを決める(残すか、解体するか)

古い家をそのまま売りに出すか、解体して更地にしてから売るか。ここは実家じまいの中でも、判断に迷う方が多いところです。

道路古家付きのまま売る築40年解体して更地で売る更地
古家付き土地:解体すると買い手は見つけやすくなる一方、解体費がかかり、固定資産税の軽減もなくなります。

どちらが正解かは、土地の条件と、手元の資金で変わります。古家のまま売れば解体費用はかかりませんが、買い手が見つかりにくくなることがあります。更地にすれば買い手の幅は広がりますが、解体費用を先に負担する必要があります。判断の材料は古家付き土地の売却|相場・注意点と解体するかの判断基準、解体費用の決まり方は木造の解体費用は何で決まる?見積もりの取り方と狭小地の注意で整理しています。



木造の解体費用は何で決まる?見積もりの取り方と狭小地の注意

なお、結論が出るまで実家をそのまま空き家にしておく場合、放置の期間が長引くほどリスクも積み重なります。固定資産税が上がる条件や、近隣トラブルの注意点は特定空家とは?空き家を放置するリスクと固定資産税が上がる流れを先に読んでおくと安心です。

⑤売る・手放す

方針が固まったら、いよいよ売却です。実家の売却では、相続空き家の3,000万円控除など、通常の土地の売却にはない税金の特例が使えることがあります。使えるかどうかの確かめ方は空き家の3,000万円控除|使えるかどうかの確かめ方と相談先、売却全体の税金・費用の流れは相続した土地を売る流れと税金|登記・特例・期限の注意点で説明しています。

売り先が見つからない、そもそも売れる見込みが薄い土地だった。そう分かった場合の最後の手段として、条件付きで土地を国に引き取ってもらう国に返す相続土地国庫帰属制度という制度もあります。



相続した土地を売る流れと税金|登記・特例・期限の注意点

つまずきやすい、実家じまいの順番の間違い

実家じまいでは、順番を間違えたために余計な手間が増えてしまうことがあります。代表的な3つを挙げます。

ここに注意

片付けを、相続人の話し合いより先に始めてしまうと、あとで揉める原因になります。実家じまいは「誰が何をどう扱うか」を決めてから、手を動かすのが基本の順番です。

  1. 片付けを先に始めて、相続人の間でもめる:遺言書や権利証を誤って処分してしまったり、一人が先に形見分けを済ませてしまったりすると、他の相続人との関係がこじれます。片付けは、相続人と方針が決まってから進めましょう。
  2. 名義を変えないまま、売ろうとする:相続登記をしていない実家は、そもそも売却の手続きに進めません。「そのうち登記すればいい」と後回しにした結果、いざ売ろうとしたときに登記から始めることになります。そこで数か月分の時間を失うケースは珍しくありません。
  3. 先に解体してから、売れない・損をすると気づく:更地にすると、固定資産税を軽くする住宅用地の特例が外れ、税額が上がることがあります。また、解体してから道路の接し方を確認したら、今と同じ大きさの家を建て直せない土地だった、ということもあります。建て替えの条件は、解体の前に区役所で確認しておくと防げます。再建築不可の土地は買取できる?売却方法と価格が下がる理由も参考にしてください。

順番に迷ったときは、一人で抱え込まず、状況を整理するところから始めても構いません。

実家じまいにかかる費用の全体像

実家じまいの費用は、片付け・相続登記・解体・税金という4つの区分に分けて考えると整理しやすくなります。それぞれ金額の幅が大きく、すべて足していくらとは一概に言えません。詳しい目安は、それぞれの記事で確認してください。

費用の区分 主な内訳 詳しく調べる記事
片付け・遺品整理 不用品の処分費、業者への依頼費用(家財の量で変動) (本記事③のステップを参照)
相続登記 登録免許税、司法書士への報酬 相続登記の義務化とは?
解体 建物の構造・延床面積・重機が入れるかで変動 木造の解体費用は何で決まる?
売却時の税金・費用 譲渡所得税、仲介手数料、印紙税など 土地売却の税金と費用|内訳と、税額を自分で見積もる手順

「実家じまいに合計いくらかかるか」は、家財の量・建物の構造・解体の有無で大きく変わります。費用の見当をつけたいときは、片付け・解体それぞれの見積もりを個別に取り、税金は仮の売却額で試算してみるのが確実です。仮に土地と建物を合わせて2,000万円で売れたとすると、譲渡所得税や仲介手数料の目安は土地売却の税金と費用の計算例で確認できます。

買い手の見方:費用を先に見積もると判断が早くなる

古い家がある土地を買う側から見ると、片付けと解体の見積もりを先に取っている売主ほど、話が早く進みます。「売った代金から差し引くといくら残るか」が見えていると、古家のまま売るか解体するか、仲介にするか買取にするかを、感覚ではなく数字で比べられるからです。見積もりは無料で出す業者も多いので、方針を決める前に取っておいて損はありません。

実家じまいの期限・時間の目安をまとめて確認する

実家じまいには、意識しておきたい期限がいくつかあります。ばらばらに調べると見落としやすいので、ここで一度まとめておきます。

3年以内相続で実家を取得したと知った日から、相続登記を申請しなければならない期限

実家じまいで意識しておきたい期限

ことばの解説:遺産分割協議

相続人が複数いるとき、誰が何をどれだけ相続するかを、相続人全員で話し合って決めることです。まとまった内容は「遺産分割協議書」という書類に残します。実家を売って代金を分ける場合(換価分割)も、この協議書にその旨をはっきり書いておくことが大切です。

期限が重なる時期は、精神的にも負担が大きくなりがちです。すべてを一度に片づけようとせず、まずは相続登記のように、後の手続きの土台になるものから順番に進めていくと気持ちが楽になります。

実家じまいは誰に相談すればいい?

実家じまいは、ステップごとに相談先が変わります。すべてを一人でやろうとせず、それぞれの専門家や窓口を頼ってください。

ステップ 主な相談先
相続人・方針の確認 家族での話し合い、必要に応じて司法書士や弁護士
名義変更(相続登記) 司法書士、自分で行う場合は法務局
家財の片付け 遺品整理業者、不用品回収業者
解体 解体業者(複数社から見積もりを取る)
売却・税金 不動産会社、税理士

窓口ごとの役割や費用の目安を、もう少し詳しく知りたい方は相談先ごとの費用の目安と向き不向きも参考にしてください。



土地を売りたいとき、どこに相談する?内容別の窓口ガイド

実家がどのくらいの価格で売れそうか、まずは相場の幅を知っておきたい。そんな方は、複数の会社の査定額を並べて比べてみると、判断の材料になります。

よくある質問

Q. 「実家じまい」と「実家の売却」は同じ意味ですか?

意味の範囲が違います。実家じまいは、片付け・相続手続き・建物の扱い・売却までを含めた一連の作業全体を指す言葉です。実家の売却は、その中の「売る」という一つの工程に当たります。売る時期や税金の特例を詳しく知りたい方は、実家の売却|相続・兄弟・税金と、後悔しない進め方をご覧ください。

Q. 親が存命でも、実家じまいは始められますか?

始められます。親が施設や子の家に移り、実家が空き家になる見込みがあるなら、家財の整理や書類の確認は元気なうちから進めておけます。ただし、親名義のまま家を売るには親本人の意思確認が必要です。詳しくは実家の売却の記事で説明しています。

Q. 実家じまいの費用は、だいたいどれくらいかかりますか?

家財の量、建物の構造や広さ、解体するかどうかで大きく変わるため、一概には言えません。片付けと解体はそれぞれ個別に見積もりを取り、税金は仮の売却額で試算してみると、全体の見当がつけやすくなります。

Q. 家財が多すぎて、片付けが終わりません。どうすればいいですか?

無理に一度で終わらせようとしなくて大丈夫です。重要書類だけ先に確保し、残りは時間をかけて進める方法もあります。家財が多く残ったまま、片付けずに専門の買取業者にそのまま買い取ってもらう方法もあります。詳しくは空き家の買取をご覧ください。

Q. 実家じまいは、家族だけで進められますか?

内容によります。相続人が一人で、家族の意見もまとまっているなら、家族だけで進められることも多いです。相続人が複数いて意見が分かれる、名義が複雑、建て替えの可否がはっきりしない。そういう場合は、司法書士・税理士・不動産会社など、ステップに応じた専門家に早めに相談すると進めやすくなります。

まとめ

  • 実家じまいは、片付けから相続の手続き、売却までを含めた一連の作業を指す言葉で、法律で決まった定義はありません
  • 基本の順番は「①相続人と方針を決める→②名義を変える→③家財を片づける→④建物の扱いを決める→⑤売る・手放す」の5つです
  • つまずきの多くは、片付けを先に始めたり、名義を変えないまま売ろうとしたり、解体してから気づいたりと、順番を間違えることから起きます
  • 費用も期限も複数の手続きにまたがるため、早めに全体像を把握しておくと、いざというときに慌てずに済みます
  • 各ステップの詳しいやり方は、それぞれの専門記事に譲っています。この記事は、実家じまいの道しるべとして使ってください

何から手をつければいいか分からない、順番が合っているか不安。そんなときは、実家の状況に合わせて一緒に整理するところから始められます。

この記事の監修者:十坪とつぼさん(宅地建物取引士)
東京23区で土地の仕入れ営業を担当する宅地建物取引士。狭小地・旗竿地・古家付き土地など、小さくて売りにくい土地を日々見ている。

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