古家・空き家・相続

築古の家が売れないとき|土地と建物の、どちらが原因かの見分け方

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古い家を売りに出したのに、内覧の申し込みがほとんど来ない。そんなとき、「家が古いからだ」「直さないと売れないのか」と考えるのは自然です。ただ、築年数の古い家を買う人の多くは、家そのものを見ていません。

築古の家を探している買い手が見ているのは、たいてい土地です。この記事では、売れない原因が建物にあるのか、土地にあるのかを見分ける方法と、建物のせいなら「土地として売る」道へ切り替える手順を説明します。「家が売れない理由」を一通り並べる記事ではありません。見分けて、次の一手を決めるところまでです。

結論
築古の家が売れない原因は、「この家が更地だったら売れるか」と考えると、建物と土地に分けられます。更地なら売れそうなら、原因は建物です。土地として売る形に切り替えると、動く可能性があります。更地でも売れそうにないなら、原因は土地にあります。壊しても直しても解決しないので、先に原因を調べてください。

築古の家は、買い手に「建物」として見られていないことが多い

築年数の古い家は、買い手の頭の中では「土地についてくるもの」として扱われます。建物に値段がつかないか、ついてもわずかです。買い手は、買ったあとに壊して建て直すか、手を入れて使うかを前提に探しています。

だから、売主が「キッチンを替えたばかり」「柱はしっかりしている」と思っていても、価格にはあまり響きません。反対に、家が傷んでいても、土地が良ければ売れます。古い家が売れないときは、傷み具合を気にする前に、「買い手が見ているのは土地かもしれない」と考え方を変えてみてください。

ことばの解説:古家(ふるや)付き土地

古い建物が建ったまま、土地として売り出すこと。建物の値段は付けず、土地の値段で売ります。詳しい相場の考え方は、古家付き土地の売却で説明しています。

ここで大事なのは、「建物が悪いから売れない」と「土地に問題があるから売れない」では、打つ手がまったく違うことです。建物が原因なら売り方を変えれば動きます。土地が原因なら、売り方を変えても動きません。

原因を分ける問い|「この家が更地だったら売れるか」

分け方は一つの問いだけです。建物をなくした更地の状態を想像して、買い手がつきそうかどうかを考えます。この問いに、次の3つの確認で答えます。

原因が建物か土地かを分ける3つの確認

  1. 前の道と接し方幅4m以上の道路に2m以上接しているか。区役所で確かめる
  2. 建て直せる大きさか狭すぎて建てても使いにくい土地ではないか、既存の建物が今のルールを超えていないか
  3. 近くの動き周りの更地・古家付きの土地が、売りに出て動いているか

1つ目は、一番大事です。家を建てる土地は、道路に2m以上接していないといけません。このルールを接道義務といいます。満たしていないと、今の家を壊したあとに新しい家を建てられません(建て直せない土地を、再建築不可といいます)。確かめ方は接道義務とは?道路に2m接していない土地の売却方法に書きました。

2つ目は、広さと、建物の大きさのルールです。小さな土地でも、買い手が建売や自宅用に使えるなら売れます。ただし、今の建物が建ぺい率・容積率(敷地に対して建てられる建物の大きさの上限)を超えていると、建て替えのときは今のルールに合わせる必要があり、今より小さな家しか建てられないことがあります。古い家には、建てた当時は問題なくても、あとからルールが変わって超えてしまったものがあるためです。これは既存不適格建築物の売り方で扱っています。

3つ目は、近くの動きです。同じ地域で、更地や古家付きの土地が売りに出て、動いているかを見ます。不動産ポータルサイトで、自分の土地の近くを検索してみてください。売り出し中の土地がいくつもあって、買い手がついているなら、土地としての需要はあります。

ポイント:役所で聞くのは2つだけ

区役所の建築指導課など(担当課の名前は区によって違います)に、地番か住所を伝えて、「前の道は建築基準法の道路か」「今の敷地で建て替えができるか」を聞いてください。この2つで、更地にしたときの価値が大きく見えてきます。

3つとも問題がなければ、原因は建物側にある可能性が高いです。どれか1つでも引っかかったら、原因は土地側にあります。名義や境界など、この3つに入らない土地の問題もあるので、後の章で触れます。次の章から、それぞれの進め方を説明します。

建物が原因だったら|土地として売る道に切り替える

更地なら売れそうなのに家が売れないのなら、建物をなくす必要はありません。「建物を売る」という見せ方をやめるだけです。

具体的には、次の3つを順番に試します。

まず、古家付き土地として、建物の値段をつけずに売り出します。買い手は、解体して建て直すことを前提に、土地の価値で検討できます。建物の売り込みをやめると、「古いから」という理由で断られることが減ります。

次に、建物の責任を負わない特約をつけます。売ったものが契約と違っていたとき、売主が買い手に負う責任を契約不適合責任といいます。築古の家は、雨漏りやシロアリなど、見えない傷みがあっても不思議ではありません。そのため、売主が個人のときは、建物については責任を負わない特約(免責特約)をつけて売ることがよくあります。ただし、買い手との合意が必要で、つけられないこともあります。また、売主が知っていた不具合を伝えなかった場合は、特約があっても責任を免れません。知っていることは、告知書に書いておきましょう。なお、不動産会社が売主になる売買では、買い手に不利な特約が法律で制限されていて、この説明はそのまま当てはまりません。シロアリはシロアリ被害は売るとき伝える?、免責特約の注意点は契約不適合責任の免責とは?に詳しく書いています。

最後に、建物のために先にお金を使わないことです。リフォームや修繕、荷物の大がかりな整理に費用をかける前に、買い手が建物を使うつもりかどうかを不動産会社に聞いてください。壊す前提の買い手が多い土地で、先に直しても、その分が価格に乗るとは限りません。再建築不可の家に限った考え方ですが、再建築不可の家はリフォームして売る?そのまま売る?でも同じ順番で整理しています。



古家付き土地の売却|相場・注意点と解体するかの判断基準

解体は、売れる見通しが立ってからにしましょう。人が住む家が建っている土地は、固定資産税が軽くなる仕組み(住宅用地の特例)があり、税額は毎年1月1日の状態で決まります。壊して1月1日に更地だと、軽減が外れることがあります。東京23区の固定資産税は、区ではなく東京都の都税事務所が担当です。自分の土地にどう当てはまるかは、都税事務所か税理士に聞いてください。解体費用の見積もりの取り方は木造の解体費用は何で決まる?に、区の助成制度は東京23区の解体助成金・補助金まとめにあります。費用の額は建物や立地で変わるため、この記事では書きません。複数の会社から見積もりを取って確かめてください。

土地が原因だったら|壊しても直しても解決しない

更地でも売れそうにないときは、原因は土地にあります。ここで建物に手を入れると、お金を使っただけで終わるおそれがあります。

特に気をつけたいのは、建て直せない土地の家は、壊すと家を建てられなくなることです。今の家があるから、リフォームして住む、貸すといった使い道が残っています。壊す前に、必ず役所で確かめてください。

原因が土地なら、読む記事は原因によって決まります。

更地にしても売れないとき、次に読む記事

道路や形・法規の問題

  • 道路に接していない・幅が足りない
  • 私道や境界、越境で話が止まる
  • がけや高低差、擁壁がある

権利や名義の問題

  • 兄弟で共有している
  • 建物の登記がない
  • 差押えや借地権がある

土地側の原因をまとめて確かめたいときは、土地が売れない原因の見分け方が入り口になります。買い手が「何をできないか」から、原因を5つに分けています。個別の原因は、再建築不可の土地の売却、私道持分なしの土地の売却、境界が決まっていない土地の売却などで、売り方まで説明しています。建物の登記がない場合は未登記建物を相続したとき、名義が兄弟で分かれている場合は共有名義の土地の売却をどうぞ。

ここに注意:「古いから売れない」と決めつけない

原因が土地にあるのに、「家が古いから」と思い込んで、リフォームや片付けに費用をかける方がいます。先に、更地の問いと役所の確認をしてください。原因が決まらないうちは、お金のかかる手を打たないのが安全です。

築古の家を土地として売る3つの道

原因が建物側だと分かったら、次は売り先です。土地として売る道は、大きく3つあります。どれが良いかは、土地の状態と、売主の急ぎ具合で変わります。

売り方 買い手 向いているケース 気をつけること
古家付きのまま仲介で売る 建て直す個人・建売業者 時間に余裕があり、土地の条件が普通 売れるまで数か月かかることがある。荷物は原則売主が片づける
解体して更地で仲介で売る 家を建てたい個人・建売業者 解体の費用を先に出せて、買い手の反応が良い 解体費は売主の負担。1月1日に更地だと税が上がることがある
業者の買取 不動産会社 早く確実に手放したい。傷みが強い 仲介より価格が下がりやすい。荷物をそのままでよい会社もある

仲介と買取のどちらにも良い面があるので、片方に決める前に並べて比べてください。空き家を業者に買い取ってもらうときの価格の目安と流れは空き家の買取|仲介で売れない家を業者に買ってもらう方法に、業者の選び方は土地の買取業者の選び方にまとめています。複数の会社の見積もりを並べたいときは、一括査定サイトの使い方も参考になります。



空き家の買取|仲介で売れない家を業者に買ってもらう方法と価格の目安

買い手の候補は、不動産会社だけではありません。隣の土地の持ち主が、広げて使いたいと考えていることもあります。売り先の全体は不動産会社・買取業者・一括査定サイトの違いで整理しています。

古い家を土地として売る道が、自分の家で通用するのか、役所で何を聞けばいいのかが分からない場合は、手順を一緒に整理します。

狭小地の築古は、土地の見え方がさらに大切になる

15坪前後の小さな土地に建つ古い家は、建物のことより、土地に何が建つかで決まる傾向が強くなります。狭い土地では、建てられる家の大きさが限られるからです。

例えば、土地が小さくて、前の道が狭いとします。買い手は「ここに家が建つのか」「どのくらいの大きさか」を、まず知りたがります。建物が古いかどうかより、その答えが先です。小さな土地の売り方の全体像は狭小地の売却|小さい土地を売る3つの方法に、建つ家の大きさの目安は10坪・15坪の土地は売れる?建つ家と売り方にあります。

反対に、狭い木造3階建てのような建物そのものが評価されるケースもあります。その場合は、建物を売る見せ方を残した方がよいこともあります。狭小住宅(木造3階建て)は売れない?で、評価される点を解説しています。

相続した家で、持ち主が複数いたり、遠方に住んでいたりすると、確かめることが増えます。名義や手続きの順番は相続した土地を売るときの名義と手続きの順番で、実家全体の進め方は実家の売却|相続・兄弟・税金と、後悔しない進め方で説明しています。

売れないまま持ち続けるときの注意

「売れないなら、そのまま置いておこう」と考える方もいます。ただ、空き家は持っているだけで、税金と管理の負担が続きます。

建物が崩れそうなほど傷んでいたり、草木が荒れていたりすると、区から改善を求められることがあります。空家等対策特別措置法(空家法)では、放っておくと危ない家を「特定空家」、その手前の家を「管理不全空家」と呼びます。区はまず指導をし、それでも直さないと勧告をします。勧告を受けた家の敷地は、住宅用地の固定資産税の軽減が外れます(地方税法の定め)。指導の段階では、まだ外れません。勧告のあとに従わないと、特定空家では命令へ進みます。そうなる前に、家と庭を管理しておくことが大切です。どんな流れで進むのかは特定空家とは?空き家を放置するリスクに書きました。

更地だったら売れるかを調べるチェックリスト

  • 登記事項証明書(法務局で取れる)で、建物の築年と構造を確かめた
  • 区役所の建築指導課で、前の道の種類と接する幅を聞いた
  • 建て替えできるか、今の建物が今のルールを超えていないかを聞いた
  • 近くの更地・古家付き土地の売り出し状況を、ポータルサイトで見た
  • 建物の傷みで、自分が知っていることを書き出した(告知書のために)

一部だけ片づけてから出す、というのも一つの手です。ただ、どこまでやるかは買い手の層で変わるため、先に不動産会社に聞いてから決めてください。住みながら売る場合の準備は住みながら家を売るときのコツに書いています。

売れない家のなかには、事故物件や孤独死があった家も含まれます。その場合は、建物の傷みとは別に、買い手に伝えるべきことがあります。事故物件(孤独死・自殺)の売却・買取で、告知の考え方を説明しています。

築古の家を、専門の買取会社に見てもらうとき

原因が土地側にあって、仲介で買い手が見つかりにくいときは、その状態のまま買い取る専門の会社を並べる道があります。再建築不可・共有持分・借地などの訳あり不動産を扱う会社は、土地や建物の事情を前提に、価格を出します。種類ごとの売り方は種類別の売り方と買取の使いどころで整理しています。

ただ、買取は仲介より価格が下がりやすいです。申し込むと、電話やメールで連絡が来ます。対象の土地や地域は、会社ごとに違います。仲介の査定と並べて、条件を比べてください。

築古の家が建て直せない土地や、建物が傷みすぎていて仲介で動かないときは、そのままの状態で買取価格を出してもらえる会社があります。専門の買取会社に、一度見てもらう方法もあります。

よくある質問

Q. 築古の家は、リフォームしてから売ったほうが売れますか?

買い手が壊して建て直す前提なら、リフォームの費用が価格に乗らないことがあります。先に不動産会社に、買い手の層(建て直す人か、住む人か)を聞いてください。建物を使う買い手が多いと分かってから、直すかどうかを決めても遅くありません。

Q. 更地にしたほうが、早く売れますか?

必ずしもそうとは限りません。解体費用は売主の負担になり、1月1日に更地だと固定資産税が上がることもあります。建て直せない土地では、壊すと価値が大きく下がるおそれがあります。解体は、買い手がつく見通しが立ってからにしましょう。

Q. 空き家が売れないとき、無料で手放す方法はありますか?

無料や安い値段で引き取る買い手を探す、自治体や法人への寄付(いらない土地は寄付できる?)を相談する、国に引き取ってもらう制度を使うといった道があります。ただ、どれも条件があり、誰でも使えるわけではありません。国に返す制度は国に返せない土地の5つの条件で、条件を確かめられます。

Q. 売れない家の固定資産税は、解体すると安くなりますか?

多くの場合は、安くなりません。家を壊して更地になると、住宅用地の軽減が外れ、税額が上がることがあります。税額は毎年1月1日の状態で決まるため、解体の時期は慎重に考えてください。東京23区の固定資産税は、区ではなく東京都の都税事務所が課税しています。自分の土地の税額がどうなるかは、都税事務所か税理士に確認してください。

まとめ

  • 築古の家は、買い手に「土地についてくるもの」として見られることが多い。建物の傷みより、土地の条件が価格に響きやすい。
  • 売れない原因は、「この家が更地だったら売れるか」で、建物か土地かに分けられる。前の道の接し方と、建て替えできるかを、役所で聞く。
  • 建物が原因なら、建物の値段をつけずに土地として売る。免責特約をつけ、解体やリフォームは、買い手の見通しが立ってからにする。
  • 土地が原因なら、壊しても直しても解決しない。原因を調べ、仲介と専門の買取も比べる。
  • 仲介と買取は、どちらにも良い面がある。条件を並べて、自分の土地に合う方を選ぶ。

築古の家を土地として売れるのか、役所で何を聞けばいいのかを、一緒に整理します。

この記事の監修者:十坪とつぼさん(宅地建物取引士)
東京23区で土地の仕入れ営業を担当する宅地建物取引士。狭小地・旗竿地・古家付き土地など、小さくて売りにくい土地を日々見ている。

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